mnavi Academy

COMPUTER MUSIC SONAR 6 第1回:Return of Planet SONAR/リズム・プログラムとはいつも2手3手先を考えて行うものだ! の巻 BLIND LOOP MASTER

タカユキ(T):MC Clubに引き続き、我らBLIND LOOP MASTERがmnavi Academyの連載を書かせていただくことになりました! どうぞよろしくお願いいたします。

ヨシノリ(Y):リニューアルということで、タイトルも変えてみようと悩みに悩んだ挙句、"Return of Planet SONAR"になりました。

T:ほんとは、「~Z」とか「逆襲のSONAR」とかが良かったんだけどねぇ。それか今風に「ぷら☆そな」とか、「涼宮ソナーの憂鬱」とかでもいいよね。

Y:何の連載か分かんねーだろ。ガンダム好きのみならず他のアニオタの皆さんにまで媚を売ろうとしてるだろ。逆に敵増やすぞ!

T:じゃあ、「~フルスロットル」とかは?

Y:どこをターゲットにしてるか分かんないよ! 最低続編賞送りつけられるって。早く本題戻りなさい。

T:前回の連載では、SONAR6の新機能紹介がメインでしたが、今回からは、我々が普段から作っているヒップホップ、ハウス、テクノなどクラブ・ミュージックの制作テクニックを中心に書こうと思います。様々な機能を駆使していくので、ほかのジャンルの音楽を作っている人にも参考になると思いますよ。

Y:「ヒップホップを作るなら○○○○じゃないと!」、「テクノなら○○-○○○でしょ!」というような感じで、この音楽ならこの機材、というセオリーみたいなものはあるとは思います。しかし! SONARを使えば大丈夫。むしろ、もっと自由自在に使えて、ハイ・クオリティなトラックが作れるという点をアピールしていきたいですね!

T:では、第1回目となる今回は、我々の得意分野である、オーディオ素材を使ったリズム・プログラミング術を紹介いたします!

SONAR 6 Producer Edition

▲SONAR 6 Producer Edition

オーディオ素材から作るヒップホップのリズム・パート(基本編)

オーディオ・サンプルを使ってカッコいいビートを組みたい! そう思っても、「一体、何から始めればいいのだろう......?」という人も多いでしょう。そういった人たちのために、最初にリズム・パート作りの基本をマスターしましょう。

ここでは、オーディオ素材を切り貼りするやり方と、サンプラーを使うやり方の2つの方法で、ヒップホップのリズム・パートを作ってみましょう。

●オーディオ切り貼り編
○ステップ1:クールなネタを探そう!

何はともあれ、リズム・作りはネタ探しからスタートです。我々は、日々コツコツとサンプリングネタを収集しており、膨大な"マイ・ライブラリ"を作っています。今回はその中から、とある素材をチョイスしてみました。ここでは仮にこの素材を"ヒップホップ・ビート"と名付けておきましょう。

「わざわざサンプリングネタを収集するのは面倒だ!」という人は、今や数多くのサンプリングCDや素材集が発売されているので、それらを利用してみるのもよいでしょう。カッコいいネタが見つかれば、曲のクオリティも格段によくなります。ネタ探しは念入りに!

オーディオ素材の貼り付け後の画面

▲画像1:ループエクスプローラからオーディオ素材をドラッグ&ドロップでトラック・ビューに貼り付ける

[ 元ネタの"ヒップホップ・ビート" ]

○ステップ2:オーディオ・スナップでドラム解体!

SONAR6の新機能であるオーディオ・スナップ使って、ステップ1で取り込んだ"ヒップホップ・ビート"のドラムを解体します。オーディオ・スナップに関しては、バックナンバー「見せてもらおうか、オーディオ・スナップの性能とやらを! の巻」で詳しく解説しているので、そちらをジックリとチェックしてみてください。

オーディオ・スナップの設定画面

▲画像2:オーディオ・スナップを使うと、オーディオ素材からビートを検出し、自動的にテンポ・マップが生成される。摘出されたトランジェット・マーカー(波形を分割している白い線)の中から、不要なもの(赤で選択されている線)は「無効」に設定しておく

○ステップ3:クリック一発でパーツをバラバラに!

「拍をクリップに分割(ハサミのツール・ボタン)」をクリックすると、トランジェット・マーカーを基準に"ヒップホップ・ビート"が分割され、キック、スネアなどの各パーツを取り出せるようになります。SONAR6登場以前では、波形を見ながらひとつひとつのパーツをマニュアルで分割していたのですが、オーディオ・スナップを使えば、ひと手間もふた手も省けて実に楽チンなのです!

オーディオ・スナップ分割後の画面

▲画像3:オーディオス・ナップを使えば、ビートに合わせてオーディオ素材をバラバラにできる

○ステップ4:音色ごとにパーツを移動!

キック、スネア、ハイハット用のオーディオ・トラックを新規に作成し、分割したパーツの音をチェックしながら、それぞれのトラックにデータを移動します。

分割データ移動後の画面

▲画像4:この時点では、各パートの時間軸(音が鳴る順番)は変わってないので、元のフレーズとまったく同じビートが再生される

○ステップ5:パーツを組み替えて新ビート完成!

分割した各パーツの順番を入れ替えるなど、バラバラにしたオーディオ素材の発音タイミングを変えていけば、"ヒップホップ・ビート"の"音色"を使いながら、まったく新しいビートが簡単に作り出せるのです。

スナップモードの設定画面

▲画像5:ビートを組み替える際には、グリッドに合わせる必要がある。グリッドの設定で、スナップモードを「絶対移動」に変更してから、分割した個々のパーツを移動するのと、自動的にグリッドに合わせてくれる。まさに、一石二鳥だ!

完成したヒップホップ・ビートの画面

▲画像6:ムーブやコピー&ペーストを使って作った、まったく新しいビート。元の素材の"ヒップホップ・ビート"と聴き比べてみよう

[ "ヒップホップ・ビート"から作った新しいビート ]

●サンプラー活用編
○ステップ1:Cycloneで波形をスライス!

SONAR6に標準搭載されているDxiインストルメントCycloneを立ち上げ、オーディオ素材を読み込みましょう。すると、「snap」で設定している拍に合わせて、オーディオ素材が自動的にスライスされるのが分かると思います。オーディオ素材がスライスされたら、そこから欲しいパーツをPad Editorのパッドに割り振っていけば、MIDIを使ってスライスした音色を鳴らすことができます。

Cycloneの設定画面

▲画像7:バラバラにスライスされたオーディオをパッドに割り当てれば、リズムマシン感覚で使えるようになる

○ステップ2:オーディオ素材をMIDIで打ち込み!

ピアノロールを使って、好きなリズムを打ち込んでいきましょう。

ピアノロール画面

▲画像8:ソフトシンセやリズムマシンを使って打ち込むのとまったく同じやり方で、Cycloneのパッドにアサインした波形でリズムを打ち込んでいく

[ MIDIで打ち込んだビート ]

マウスを使って打ち込んでいくだけでなく、MIDIキーボードなどを使ってリアルタイムにデータを打ち込んでいくのも、なかなか面白いですよ。マニュアル入力していくと、どうしてもジャストなタイミングからの"ズレ"が生じてしまうのですが、ヒップホップのリズムを作るうえでは、このズレこそが"味"を生み出したりするものなのです!

MIDIキーボードでの打ち込み

▲画像9:MIDIキーボードでドラムを打ち込む! 不慣れな人は、1本指でスネア、ハイハット、と個別に打ち込んでいけばよい

PDRシリーズのパッドでの打ち込み

▲画像10:MIDIキーボード・コントローラー"PCRシリーズ"の最新モデルPDR-300/500/800には、リズムの打ち込みに便利なパッドが搭載されています。「ヒップホップは、やっぱりパッドでしょ!」という人は是非ともお試しアレ!

マニュアルで打ち込んだリズムを聴いてもらえば分かると思いますが、やっぱり機械的に打ち込んだビートとは、グルーブ感が違いますよね。マニュアル入力で、カッコいい"ズレズレ感"を追求してみましょう。

マニュアル入力後のピアノロール画面

▲画像11:微妙な突っ込みやモタリ感がナイスなグルーブを作り出す。赤丸部分の微妙なズレ具合をチェック!

[ これがカッコいい"ズレズレ感"! ]

以上が、ヒップホップのリズム・パートを作る基本的な手順です。

これらの手法を応用して、次はハウス・ミュージックのリズム・パート作りにチャレンジしてみましょう!