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COMPUTER MUSIC SONAR 6 第3回:それにしてもいいリバースだ。ますます気に入ったよ!の巻  BLIND LOOP MASTER

タカユキ(T):我々兄弟は、7月末に苗場で行われたフジロックフェスティバル'07に遊びに行ってきたんですよ。

ヨシノリ(Y):前夜祭から合わせると、なんと4日間! 音楽と自然とビールに酔いしれてきました!

T:俺は、今年で9年目。高3の頃から毎年行っているコテコテのフジロッカーなんですよ。弟は3年ぶりに行ったので、6回目の参加だったんだよね。

Y:久しぶりだったこともあったけど、ほんと楽しかったなぁ。朝から晩どころか、次の日の朝までライブやDJを堪能して、たくさんのインスピレーションを得てきました。

T:が……。帰って来るや否や、毎日暑くて暑くて、もうグッタリ。何も手に付きません……。汗で目が霞んで、原稿が書けないようぉ~。

Y:甘ったれるな! 連載を任されたからには、貴様はパイロットなのだ! この連載を守る義務がある!

T:い、言ったなぁ~!

Y:こう言わざるを得ないのが、現在の我々の状態なのだ。やらなければ、今からでもサイド7に帰るんだな!

T:やれるとは言えない、けど、やるしかないんだ、僕にはあなたが……って、いつの間にかガン○ム・コントが始まってる気がするんですが。

Y:はいはい、おふざけはその辺にしてね。今回は、前回に紹介したリバース・テクニックの応用編として、リバースを使ってサンプリング素材のリリースを補正する裏ワザを紹介します。さらなるリバース・テクニックの奥深さをご覧ください!

SONAR 6 Producer Edition

▲SONAR 6 Producer Edition

リズム編:タンバリンの"ブツ切れ感"をリバース・テクでナチュラルに!

サンプリングしたオーディオ素材の中から、気に入ったネタをSONARのオーディオ・トラックに貼り付けてみたのはいいけれど、ネタの長さと自分が作っているトラックの長さが合わなくて、ネタの音が途中で切れてしまう……、ということは、実際のトラック作りでもよくあります。

このような場合、オーディオ・スナップやグルーブ・クリップを使えば、タイム・ストレッチをかけてネタの長さを伸ばしたり縮めたりすることができます。ところが、ネタの長さを縮める場合は、まだ音質の変化が少なくてすみますが、伸ばす場合は、あまり極端にやり過ぎてしまうと、素材の音色が変化しまい、使えたものではなくなってしまいます。

気に入ったサンプリング素材は、どうしても使いたい。でも、タイム・ストレッチをかけると音色が壊れてしまう……。

そんな時にこそ、リバースです!

ということで、早速、キックとスネアのサンプル素材をオーディオ・トラックに貼り付け、ハイハットの代わりにタンバリンのサンプル素材を配置してみました。しかし、タンバリンのサンプルが、音の消え際で途切れてしまっているので、どうしてもブツ切れ感が出てしまいます。それ以上に、なんか聴こえが悪いっ! このようなブツ切れ感をうまく活かした楽曲もありますが、ここではもっとスムーズなリズム・トラックを作りたいですよね。なんとかならないかなぁ~。

タンバリンのサンプル素材

▲画像2:タンバリンのサンプル素材は、本当は8分音符くらいの長さが欲しいところだが、残念ながらサンプルが短かすぎ。そのため、余計にブツ切れ感が出てしまう。

▲オリジナルのタンバリン・サンプル素材

このブツ切れ感を解消するには、いくつかの方法があります。まず、タンバリンにリバーブをかけてリリースを伸ばすという方法です。この方法では、リズム・トラック全体のバランスが悪くなってしまったり、リバーブの設定によっては音像がぼやけてしまうため、なかなか難しい処理となってしまいます。そこで、リバースを使ってみましょう。

●ステップ1:

タンバリンのサンプル素材から、リリース部分の波形の一部をカットします。そのカットしたクリップ(波形)をコピーして、オーディオ・トラックの空白の部分に貼り付けます(ペースト)。

リリース部分をコピー&ペースト

▲画像3:赤い囲みの部分がハサミ・ツールでカットしたクリップ。それをコピーして新たに貼り付けたクリップが、黒く反転表示されているクリップ。元ネタの終わり部分に隙間を空けずに貼り付ける。

●ステップ2:

コピーしたクリップをリバース(反転)させ、音の長さを調節します。

リバース処理

▲画像4:ステップ1で貼り付けた波形をリバースさせた状態。リバース処理は、波形を選択して[プロセス]→[オーディオ]→[リバース]で実行できる。

これで、タンバリンのブツ切れ感がなくなりましたね! こうして作り出した1拍分のクリップを1小節分コピー&ペーストすれば、リズム・トラックの完成です。では、そのリズムを聴いてみましょう。

完成画面

▲画像5:リバース・テクニックで、タンバリンのリリース部分を自然に伸ばしたリズム・トラック。

▲タンバリンのリリースを補正したサウンド

 
・ワンポイント

カット&ペースト&リバースで新しく作ったクリップが、もしうるさく聴こえるようでしたら、そのクリップのゲインを下げてみましょう。

試しに、上のサンプル音では-6.0dBと思い切ってゲインを下げています。これは極端な例ですが、これくらい、ほぼ無音と言ってもいいくらいの状態までゲインを下げても、リバース波形があるために、十分にサンプルとサンプルの間を自然に埋めてくれるのです。

その一方で、逆にリバース波形のゲインを上げると、タンバリンとはニュアンスの異なるリズム楽器、例えばシェイカーのようなリズムを作り出せ、スウィング感を強調することができます。

▲リバースのゲインを上げたサウンド

 

ギター編:リバース&クロス・フェードで、リリースの長さは自由自在!

ギターのサンプル素材でも、このリバース・テクニックを使ってみましょう。本当は1小節分の長さが欲しかったのですが、残念ながら短いサンプル素材しか用意できなかったとしましょう。

ギターのサンプル素材

▲画像6:1小節の長さよりもやや短めのギターのサンプル素材をオーディオ・トラックに貼り付けた状態。

▲オリジナルのギター・サンプル素材

この場合も、タンバリンの時とまったく同じ方法で、元ネタのクリップからリリースの一部分をカットし、コピーしたうえでフレーズの終わりに貼り付けていきます。

リリース部分をコピー&ペースト

▲画像7:リリース部分をカットし、そのクリップをコピー&ペーストした状態。

そして、コピーしたクリップをリバースさせて、元ネタのリリース部分につなげます。この作業をクリップの数だけ行えば完成です。

完成画面

▲画像8:リバース・テクニックで、ギターのリリース部分を自然に伸ばしたギター・トラック。

▲ギターのリリースを補正したサウンド

 
・ワンポイント

この時、より自然にギターのリリースを伸ばすために、元ネタのクリップの最後とコピー&リバースさせたクリップの先頭を少し重ねたうえで、クロス・フェード処理を施します。こうすることで、波形を継ぎ足した部分での音量差や音色差が生じなくなり、スムーズに音がつながります。もちろん、クリップのつなぎ目でノイズが発生するようなこともありません。

クロス・フェード処理

▲画像9:波形の中に描かれている曲線が、音量の大小を表している。元ネタのリリース部分をフェード・アウトさせ、リバース波形の頭をフェード・インさせることで、2つの波形をスムーズにつなげられる(クロス・フェード処理)。このような作業を行う場合は、グリッド表示を細かくすると、作業がしやすい。