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COMPUTER MUSIC SONAR 7 Producer Edition 第10回:いけ!いけ!ぼくらのV-Vocalの巻  BLIND LOOP MASTER

ヨシノリ(Y):前々回の"第8回目"の冒頭で制作現場をレポートさせてもらったアルバム『Lovers Style』が、インペリアルレコードより3月26日に発売になります! 我ら兄弟による別ユニットOKYD(オーケーヤード)名義でのリリースになりました。作品が世に出るというのは、何とも嬉しいものですねぇ~。

タカユキ(T):このアルバムは、SONAR 7の機能やツールをフル活用して作ったわけですけど、今回は、デモ制作の過程で大活躍した“ビクトリーVocal”機能を紹介したいと思います!

Y:コラ! V(ビクトリー)ガンダムじゃないんだから! Vは「ブイ」でいいの! V-Vocal機能をちゃんと説明してくださいよ。

T:V-Vocalとは、1年戦争中に連邦軍が極秘裏に進めていた作戦“V作戦”の一環で、ガンダムやホワイトベースとともに研究、開発された秘密兵器なんです!

Y:大ウソつくな!!! 久しぶりにガンダム・ネタを思いついたからって調子乗るなよ~っ! SONARシリーズでお馴染みのV-Vocalは、ボーカル編集ツールでしょうがっ! SONAR 7では、このV-Vocalがバージョン1.5へと進化したので、これを機会に改めてV-Vocalに着目し、今月はその活用術と新機能を紹介していきたいと思います!

SONAR 7 Producer Edition

▲画像1:SONAR 7 Producer Edition

V-Vocalとはナンだ!?

V-Vocalは、SONAR 5からビルドインされているSONAR特有のボーカル編集ツールです。ピッチ修正、タイミング修正、フォルマント修正、ダイナミクス修正など、ありとあらゆる編集が行える万能ツール! そんなV-VolcalがSONAR 7ではバージョンアップを果たし、新機能「Pitch to MIDI」が追加搭載され、より強力ツールとなったのです。V-Vocalについては、MC Club時代の連載『Meets the SONAR 5~第4回目』で、井桁学さんが、とても分かりやすく使い方を解説しているので、操作方法はそちらを見ていただくとして、こちらの連載では、V-Vocalの活用術を基本編と応用編に分けて紹介しましょう。

V-Vocal活用術 基本編:ピッチ修正~コーラス・パート作りに挑戦!

V-Vocalで何かできるのかをおさらいしてみましょう! これまでも紹介してきた基本的な内容ですが、ボーカル素材のピッチを修正し、そこからコーラス・パート作ってみたいと思います。まずは、V-Vocalで編集する前の素材を聴いてみましょう。

V-Vocalの画面

▲画像2:オーディオ・クリップ上で、右クリックしてメニューから[V-Vocalエディタ]を選択すると、V-Vocalが起動します。

▲ボーカルのメロディーを分かりやすくするために、ドラムと一緒に聴いてください。

●STEP1:ピッチの自動修正

V-Vocalの画面を見ても分かる通り、ピッチが若干ズレているところが何箇所かあります。これらを一気に自動修正します。やり方は簡単、修正したい範囲を選択し、[CORRECT]ボタンをクリックするだけです。V-Vocal登場前までの技術であれば、ボーカル素材のピッチをちょっと変えただけでもサウンドが劣化しましたが、V-Vocalならば大胆な修正を加えてもその劣化をほとんど感じることはありません。

ピッチ修正後のV-Vocal画面

▲画像3:オレンジ色が修正前のピッチで、黄色が修正後の状態。ピッチの修正具合がはっきりと分かりますね!

▲サウンドの劣化をほとんど感じさせないのが、V-Vocalの凄いところ!

●STEP2:曲線ツールで細かくマニュアル修正

自動でできなかった部分の修正や、細かくニュアンスを調整したい場合は、“曲線ツール”を使用します。マウスで描いた通りのピッチに、元の素材のピッチを変更してくれます。今回は、2小節目を調整してみましょう。

曲線ツールで修正後のV-Vocal画面

▲画像4:曲線ツールを使えば、実に細かくピッチを修正できます。凝り始めると、アッと言う間に時間が過ぎていくので要注意!(笑)

▲これならピッチも自由自在です。

●STEP3:1つの素材からコーラス・パートを作り出す

STEP2までの流れで使っていたV-Vocalのオーディオ・クリップを他のトラックへ移動しましょう。そして新たにV-Vocalのエディタ画面を開き、元のピッチに対して3度上げたり、5度上げにしたりすれば、ハモリのコーラス・パートを作り出すことができるのです。

ピッチを平行移動させたV-Vocal画面

▲画像5:素材全体のピッチを上下に平行移動させられるので、この機能を利用して、コーラス・パートを制作しましょう。

▲同じ素材からハモリのパートを作り出せます。

●STEP4:変化した声質を元に戻す

ボーカル素材は、ピッチを変えると声質まで変わってしまいます。そこでFORMANT CONTROL(フォルマント・コントロール)によって、元のオリジナルの声質に戻しましょう。声質、すなわちフォルマントは、FORMANT画面の赤いラインと、右下にある[PITCH FOLLOW]、[SHIFT]の2つのツマミで調整します。そうして調整したハモリの素材と、オリジナルの元素材を同時に再生すれば、コーラス・パートの完成です。

V-Vocalのフォルマント・コントロール画面

▲画像6:ピッチを修正するだけではなく、このように声質までをも簡単に修正できることが、V-Vocalの大きな特徴の1つです。

▲これで"1人ハモリ"もバッチリ!

このような操作の他にも、[TIME]で発音タイミングを調整したり、[DYNAMICS]で発声の音量差をコントロールすることも可能です。これらについても手順を紹介したいところですが、そうすると基本編だけで今月は終わってしまうので(笑)、ぜひ皆さん、実際にSONAR 7で試してみてください。

V-Vocal活用術 応用編:大流行中の“ロボ声”に挑戦!

ダフト・パンク「ワン・モア・タイム」のヒットによって、ダンス・ミュージック・シーンで大ブームを巻き起こしたロボット・ボイス。この、通称“ロボ声”は、次第にダンス・ミュージックだけでなく、アメリカのヒップ・ホップやR&B、そしてレゲエ・シーンにまでも飛び火して、今や全米のヒット・チャートは、“ロボ声”で溢れ返っています。日本でもperfumeが、この“ロボ声”を全面に押し出したテクノ・サウンドで大人気となっていますね。そんなジャンルを飛び越えていたるところで耳にする“ロボ声”も、このV-Vocalで作り出すことができるのです! それでは、その手順を紹介していきましょう。

●STEP1:ピッチの揺れをなくして"ロボ声"にする

V-Vocal画面の真ん中下にある[VIBRATO]を[0(ゼロ)]にして、[SENSE]を[100]にします。それから[CORRECT]ボタンをマウスでクリックすれば、たったこれだけで自動的にボーカル素材が“ロボ声”に変身するのです。タネ明かしをすると、声の抑揚をなくして平坦な歌声にしてしまうことで、人間っぽさが消えて、ロボット的な発音になるというわけです。

ピッチを平坦にしたV-Vocal画面

▲画像7:【問題】人間の声は、ピッチが一定ではなく、波のように揺らいでいます。このピッチの揺らぎをなくして一直線にしてしまうと、果たしてどんな歌声になるのか!?

▲【答】見事ロボットっぽい声になりました!

●STEP2:大胆にピッチを変化させる

ここでは“直線ツール”を使って、部分的にピッチを大幅に変更してみましょう。こうすることで、さらにロボットっぽい感じが増してきますね。

ピッチを変化させたV-Vocal画面

▲画像8:1~3小節目の間で、ボーカルのピッチを大きく変更してみました。画像7と見比べると、ピッチの違いが分かりますね。

▲急激に、ピッチが上がったり下がったりするほうがロボットっぽい!

●STEP3:フォルマントの変化を加える

海外のクラブ・シーンでは、ボーカルを“ロボ声”にするだけでなく、さらに一部分だけの声質を変えるという手法も流行っているようです。ブリトニー・スピアーズの復帰作『ブラックアウト』からの2ndシングル「ピース・オブ・ミー」などは、その代表例ではないでしょうか。そんなテクニックも、[FORMANT]をいじれば、簡単に実現できます。ここでは効果が分かりやすいように、ちょっと大げさに声質を変えてみました。さらにロボっぽくなりましたね!

フォルマントを大きく変化させたV-Vocal画面

▲画像9:ピッチの変更により変わってしまった声質を元の状態に近づけるといった使い方だけでなく、あえてオリジナルとはまったく違う声質にしてしまうという使い方もアリなのです!

▲ますます機械的かつ不気味な声に! どんどん声を壊していけるのが面白い。