mnavi Academy

【工程2】ミックスの方向性を決めよう!

次に、どういう方向性でミックスしていくかを決めます。今回は、バンドからあらかじめ「フランツ・フェルディナンドやブロック・パーティのような、UKロックっぽい感じで」というリクエストがありました。そこで、最近のUKロック・バンドの中でもポスト・パンク色が強めのCDをザッと聴いてみて、音質や定位感などの特徴をつかもうと考えました。

ただし、これらのCDはあくまでも参考であって、絶対に参考曲とは同じ仕上がりにはならないので、あまり参考曲を聴き込み過ぎないほうがいいでしょう(聴き込み過ぎると、かえってダメかもね)。

【工程3】オーディオ・トラックの整理とバスの作成

ミックスしやすいように、オーディオ・トラックを並び替えます。ボーカルやドラムなど、複数のトラックを持っているパートについては、まず各トラックをフォルダに収納し、個々のパートに対してバスを作り、各トラックがバスに出力されるように設定します。このように複数のトラックを1本のバスにまとめることで、例えば、各パーツのバランスを調整したドラム・キット全体の音量をバスのフェーダー1本で手軽に調整できたり、バスにコンプレッサーをかけることで、ドラム・キット全体にまとめてコンプをかけたりすることが可能となります。

▲画像5:個々のトラックをオーディオ・フォルダにまとめたり、バスを作って個々のトラックの出力先をまとめると、ミックス作業もしやすくなります!

【工程4】各パートの音作り~ドラム編

ここから各パートの音作りをスタートします。今回、我々はドラム、ベース、ボーカル、ギターの順番で音作りを行いました。今回はドラムの音作りを紹介します。ベース、ボーカル、ギターについては、次回に紹介します。


●ドラム・ミックス

・ステップ1:
まずは、ドラムのミックス前の音を聴いてみましょう。全体的に、サウンドが曇った感じ。バスドラムのアタック感がもっと欲しいところですね。

▲ドラムのミックス前の音。

・ステップ2:
バスドラムとスネアは、各マイクに被っている余計な音をゲートでカットし、コンプをかけて音量を均等に整えます。さらにEQでサウンドを作り込みましょう。これらのすべての作業を一挙に行えるプラグインが、SONAR 7に付属されているVintage Channel VC-64です。では、VC-64をかける前と後のサウンドを聴き比べてみましょう。

▲画像6:Vintage Channel VC-64は、コンプ、ゲート、EQの役割を併せ持っており、さらにルーティング(各エフェクトに音が通過する順番)も変えることができます。

▲バスドラムのビフォー

▲バスドラムのアフター

これで、かなりスッキリ、ボトムもしっかりとしたある音に仕上がりました。スネアにも同様の処理で音作りを行いました。

・ステップ3:
ハイハットとオーバーヘッド・マイクの音は、トラックにビルド・インされているSonitus EQで音作りを行いました。ハイハットは思い切りハイパス処理をして高域成分だけ残し、シャリシャリな音に。一方のオーバーヘッドは、ライドの主要帯域あたりを意識してイコライジング処理をしています。

▲画像7:ハイハットのEQカーブ。877Hz以下をカットし、5140Hzをピンポイントでカットすることで、抜けをよくしています。

▲ハイハット&オーバーヘッドのビフォー

▲ハイハット&オーバーヘッドのアフター

それでは、バスドラム、スネア、ハイハット、オーバーヘッドを組み合わせたドラム・サウンドを聴いてみましょう

▲抜けのいいクリアなドラムになりました!

・ステップ4:
まだまだ終わりじゃないですよ! ここでセンドを利用して、ドラムにリバーブをかけることで迫力感を演出してみました。エフェクト用に「drumFX」というバスを作って、そこにリバーブ系プラグイン・エフェクターLexicon Pantheon Reverbを立ち上げます。そして、ドラムの各パートに「drumFX」のセンドを挿入して、リバーブの効き具合を調整します。

▲画像8:Lexicon Pantheon Reverbの効き具合は、バス「drumFX」へのセンド・レベル(送り量)で調節します。

▲リバーブで広がり感のあるドラムになりました。

・ステップ5:
最後にドラム・キット全体にコンプレッサーをかけます。あらかじめ、『工程3』でドラムの各パートの出力が「drum」というバスにまとめて送れるように整理しておきました。このバス「drum」にSonitus Compressorを立ち上げることで、ドラム・キット全体にまとめてコンプをかけることができるのです。

▲画像9:Sonitus Compressorの画面。アタック・タイムを速めに設定することで、サステイン感のあるスネアに仕上げてみました。

▲コンプを使うことでさらにドラムが引き締まりましたね!

これでドラム・キットが完成です! 次回は、引き続いてベース、ギター、ボーカルの音作り、そしてマスタリングの工程を紹介いたします。こうご期待!!!

 

ヨシノリ(Y):ミックスに関しては、ほぼ独学かつ行き当たりバッタリのフィーリング任せなんで、決して偉そうなことは言えませんが、SONAR 7はトラック/バスの自由度が非常に高いということと、高品質なプラグイン・エフェクトが豊富に揃っているということが皆さんに伝わればイイなぁ、と思ってます。

タカユキ(T):バンドのプリプロ時にSONAR 7を使っているという人も多いと思いますが、バンドの演奏を実際に録音して、そしてミックスするというのもSONAR 7の醍醐味なので、ぜひトライしてみて欲しいですね。

Y:さて、次回は残りのリズム隊であるベースと、ギターやボーカルなどのリード・パートの音作りに挑戦してみます。

T:僕は上位クエストで、さらに強力なモンスター狩りに挑戦してみます。

Y:こらっ! またあのゲームの話かっ!! いい歳なんだからさ、ゲームはほどほどにしなさいよ。

T:偉そうなこと言って、お前もハマってるくせにー!

Y:ミックスもゲームも、時間をかけ過ぎると上手く進まない時があるので、休み休みやりましょう!

T:なんとも強引なシメですな......。では、また次回!

 

BLIND LOOP MASTER


Lovers style-memories of summer breeze

profile:BLIND LOOP MASTER(鈴木貴幸/鈴木善典)
2000年、岩手県盛岡市で鈴木貴幸、弟の鈴木善典、佐々木崇により結成。ヒップホップ、ブレイクビーツを中心に様々な音楽を吸収し続け、従来のヒップホップユニットとは違った独自のユニットに発展。2004年にCDデビュー。アルバム『クロスロード』では、最もリスペクトするマッシヴ・アタックの元エンジニアでブリストルを代表するアーティストALPHAをゲストで迎えている。現在は、DJやライブのみならず、プロデュース、リミックス、CM音楽の制作、執筆など多岐にわたり活動を継続。WINDOWSマシンでの楽曲制作においては10年以上のキャリアがあり、メイン機材としてCakewalkシリーズを使用。現在は「SONAR」シリーズを使用し、レコーディングからミックスまで行っている。また鈴木貴幸と善典の両氏は、プロデュース・ユニット"OKYD(オーケーヤード)"としても活動しており、ラバーズ・ロック・スタイルによるJ-POPカバー・アルバム『This is Japanese Lovers Vol.1~Cover』をトータル・プロデュース。3月26日には、次作『Lovers Style』がリリースされた。7月23日にはその第2弾として『Lovers style-memories of summer breeze』が発売。SONAR 7を核として制作が行われ、J-popの夏の名曲をスゥイートかつエレクトロニックなラヴァーズロック・スタイルのレゲエミュージックとしてカヴァーしている。J-POPカヴァー好きやレゲエ好きはもちろんのことSONAR 7で作った音に興味があるという人にもオススメなアルバムとなっている。
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Blind Loop Master Myspace:
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