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COMPUTER MUSIC SONAR 7 Producer Edition 第17回:SONAR 7でバンド・サウンドのミックスに挑戦してみよう!~後編の巻  BLIND LOOP MASTER

タカユキ(T):そいえば、そろそろ毎年恒例の、SONARのバージョン・アップの時期なんではないかい!? 新しいSONAR 8、もう気になるよなぁ。

ヨシノリ(Y):そう思って、私は10月18日に秋葉原で開催された「MEET THE SONAR 8 Premium Day」に潜入調査してきたのです!!!

T:そうか! 「秋葉原に行く」って言ってたけど、アイドルの撮影会のほうじゃなかったの!?

Y:「秋葉原=アイドル」かよ! まじめに新しいSONARをチェックしに行ってきました! 大きい会場だったけど、立ち見の人が出るほどたくさんの人が集まってたよ。

▲写真1:「MEET THE SONAR 8 Premium Day」の様子。左がメイン会場、右が第2会場

T:そうかぁ、SONAR人気を実感するね。噂では、新たなプラグインが増えるなんていう話しを聞いたけど......。

Y:今回もプラグインはたくさん増えてました!D-Proが"LE"から"フル・バージョン"になってたり、ピアノ音源やサンプラーも増えてて、ますます充実のラインナップ! そんな中でも一番嬉しかったのが、あのGuitar Rig 3 LE! SONAR 8 PRODUCERに付属されるんですが、ギター録音する機会が多い我々にとっては、これは強い味方となること間違いなし! それと、同時に発表されたSONAR専用コントローラーのV-STUDIO 700に注目が集まってたのも印象的だったね。コンソールとオーディオ・インターフェース、そしてハードウェア・シンセFantom VS音源が合体したすごいやつなんだよ!

T:なに! 合体!? もちろん超合金なんだろうな! さすが秋葉原!!!

Y:超合金って......、合体ロボじゃないから! 合体だからって、ロボットを連想しないの! SONAR 8の最新情報は、もっとディープに調査をして次回以降で詳しく紹介することにして、今回は、これまで3回に分けて連載してきた『SONAR 7でバンド・ミックス企画』の第3回目にして最終回にあたる『後編』をお送りします! 復習がてら、『前編』と『中編』も再度チェックしてみてください!

T:さらに巻末では、ヨシノリくんがSONARイベントの帰りに立ち寄った、秋葉原の美味しいカレー屋さんも紹介するからね!

Y:しません! ま、チーズ・ナンが美味しかった、とだけは言っておきます(笑)。

SONAR 7 Producer Edition

▲画像2:SONAR 7 Producer Edition

【工程4-4】各パートの音作り~ボーカル編

今回ミックスを依頼されたロック・バンド"counterparts"のボーカル・レコーディングは、ハードディスク・レコーダーとマイクのみで行ったそうです。つまり、ごく一般的な宅録スタイルですね。...とは言っても、最近の宅録は決して侮れませんよ。とんでもなく、いい宅録環境でレコーディングをしている人たちも多いと思います。

そんな話はさておき、ボーカルのミックスに関しては、「ボリュームとリバーブの調整くらいで、あとはあまりいじらないで欲しい」とのアーティストからの依頼でした。しかし、録り音を聴いてみると「う~む、そうもいかないな......。」と判断。ちょっと手を加えてみました。

今回もらったの素材は、メイン・ボーカルのトラックが1つ、コーラス・パートが3トラック。ちなみに、コーラスのダブル(注)はありませんでした。

 
・ワンポイント

【注】ダブル:同じパートを2回レコーディングして、各トラックのパンをそれぞれ左右に振ることで、ワイド感と音の厚みを演出するレコーディング・テクニックです。

 

まずは、録音した直後のドライな素材(いわゆる"素の録り音")を聴いてみてください。

▲画像3:ミックス前のボーカル・パート。メイン・ボーカルに、コーラスが3トラックありました。

いまひとつ音の抜けが悪く、ところどころで音量差を感じます。そこで、これらの点を整えていきましょう。


・ステップ1:EQで音抜けをよくする

まずは、SONAR 7付属のパラメトリック・イコライザー"Sonitus:EQ"を使ってEQ処理をします。

100Hz付近でハイパスして、不要な低域をカットします。また、音抜けの悪さを解消するために、8kHz付近を思い切ってブーストしてみました。そして、モコモコしてしまう400~500Hzあたりも少しカットしてみましょう。これでスッキリした......かな? EQ処理後の音を聴いてみてください。ボーカルの抜けがよくなりましたね!

▲画像4:"Sonitus:EQ"の画面。低域はシェルビング・タイプでロー・カット。大胆に443Hzをカット、7550Hzをブーストして音抜けをよくしました。


・ステップ2:コンプで質感をコントロール

コンプレッサー(以下、コンプ)は、かけ過ぎてしまうと、ボーカルの抑揚が平坦になってしまったり、表現や雰囲気が損なわれてしまうので注意が必要です。それともうひとつ、各プラグインはそれぞれ独特のサウンド・キャラクターを持っていますが、ボーカルにかけるコンプは、あまり音色に影響が出ないナチュラルなタイプがいいですね。

そういう意味では、"Sonitus:fx Compressor"はまさに最適なのですが、今回はあえてSONAR 7付属の強力なプラグイン"VC-64 Vintage Channel"を使って、思い切ってボーカルの印象まで変えてみましょう。まずは、ボーカル用のプリセット・プログラムがいくつか用意されているので、それらのサウンドを聴き比べてみましょう。

▲画像5:"VC-64 Vintage Channel"には、さまざまな楽器に合わせたプリセット・プログラムがあるほか、ミックス用のプログラムまで用意されています。

▲プリセット「Fat Vocal」

▲プリセット「Hard Vocal」

どちらのサウンドも迫力がありますが、「Fat Vocal」のほうが、楽曲のイメージに近いので、このプリセットに決定! あとはスレッショルド値の設定でコンプのかかり具合を調節して作業完了です。


・ステップ3:リバーブでオケに馴染ませる

リバーブのかかり具合を調整するために、ボーカル・トラックに直接プラグインを挿さずに、「VO FX」というバスを作り、そこにリバーブ"Lexicon Pantheon"を挿します。ボーカル・トラックのセンドを利用して、ボーカルにかけるリバーブ量を調整しました。リバーブ処理後のサウンドを聴いてください。

▲画像6:リバーブには"Lexicon Pantheon"を使用。あまり深くかけると音像がぼやけるので注意しましょう。

このプラグインも、便利なプリセットがあらかじめ用意されています。リバーブ・サウンドの調整の仕方が分からない場合や音作りに迷った際には、まずはプリセットの中から好みの響きに一番近いものを選び、そこから少しずつエディットしてみるといいでしょう。今回は、「Vocal Spread」というプリセットを使用しました。

 
・ワンポイント

"Lexicon Pantheon"にあらかじめ用意されているプリセットの簡単な説明をCakewalkのWebサイトで見ることができます。ぜひ参考にしてみてください。