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第34回:V-STUDIO 20 ~前編~ Overview:今までのDAWソフトとは異なる簡単な操作性

3/24からドイツ・フランクフルトで開催されているヨーロッパ最大の楽器トレードショー「フランクフルト・ミュージック・メッセ 2010」。ここで発表された新製品『ケークウォークV-STUDIO 20(以下、VS-20)』は、ギタリストやバンドマンのために開発されたオールインワン・レコーディング・ツールです。ギタリスト目線のハードウェアとソフトウェアをパッケージした製品で、パソコン操作が苦手だという方でも、MTRライクなアナログ的操作感で簡単かつ手軽にレコーディングが楽しめます。とにかく、「手軽で簡単!」がキーワードのレコーディング・ツールなのです。

今回から2回連載で、私、ギタリストの井桁学がこの新製品を紹介させていただくことになりました。本来はBLIND LOOP MASTER鈴木貴幸氏と鈴木善典氏によるSONAR 8.5連載ページですが、特別編として2ヶ月間だけ、どうぞお付き合いください。それでは、VS-20が一体どんな製品なのか、早速紹介していきましょう。

V-STUDIO 20

▲画像1:V-STUDIO 20

単体レコーダー感覚のVS-20ハードウェア

VS-20のハードウェア部分は、オーディオ・インターフェース/マルチ・エフェクター/コントローラーが一体となっています。入力部分には、ギターやベース用のHi-Z入力端子はもちろんのこと、ステレオのライン入力、ボーカル用のマイクの接続もできるXLR端子も搭載。もちろん、ファンタム電源に対応しているので、コンデンサー・マイクも使用できます。

▲写真2:右側のサイドパネルには、インプット端子がまとめられています。

▲写真3:左側のサイドパネルには、アウトプットやUSB、エクスプレッション・ペダルなどの端子を装備しています。

驚くのは、ハードウェアの上部にステレオ仕様のコンデンサー・マイクがビルトインされている点です。これを利用すれば、わざわざマイクを接続しなくても、アコースティック・ギターやパーカッションなどを手軽に高音質で録音することができます。もちろん、作曲時のスケッチや鼻歌まで、アイデアが浮かんだ時にバンバン録りためていくことも可能です。

▲写真4:本体上部の左右にあるのがビルトインされているコンデンサー・マイク。コントロール関係は、このトップ・パネルで調整します。

Powered by BOSS!~ボスCOSMエフェクトを内蔵

さらに注目すべき点は、VS-20ハードウェアにDSP処理によるボスCOSMモデリング・エフェクトが内蔵されていることです。つまり、パソコンのCPUには一切の負荷をかけないため、まるでマルチ・エフェクターを使っているような感覚でギターの音作りが行え、レイテンシー(パソコン内部での信号処理により発生する発音遅れ)が「ゼロ」のギター・レコーディグが可能となっています。多くのギタリストたちが、パソコン・レコーディングを行う際にいだくレイテンシーという不安材料が、このVS-20には存在しないわけです。これは、とても大きな魅力と言えるでしょう。

ボスCOSMモデリング・エフェクトには、新開発の「ULTRA METAL」を含む12種類のプリアンプ・タイプと、36種類のエフェクトが搭載されています。パソコン画面上で音作りを行う「エフェクト・エディター」の画面は、まさにボス製マルチ・エフェクター"MEシリーズ"を彷彿とさせるデザインとなっています。

これらの内蔵エフェクトについては、後半で詳しく紹介しましょう。

▲画像5:背景がボスMEシリーズとそっくりなエフェクト・エディター画面。本体の[TUNER]ボタンを押すと、お馴染みのボス・チューナー画面まで登場します!

VS-20+PCでモバイル・レコーディング

コントロール部分には、付属のレコーディング・ソフト『Calkwalk Guitar Tracks 4』の録音や再生などの操作が行えるトランスポート部が搭載されています(『SONAR』や、他のDAWソフトを操作することも可能です)。4系統×8本のトラック・フェーダーで、録音やミックス・バランスの調整も手軽に行えます。

このハードウェアを初めて触った時、「えっ、これ本物?」と思ってしまうほどの軽量さに、私は驚きました。ハードウェアのサイズや重さを考えると、ノート型パソコンとセットで気軽に持ち運べるので、モバイル・レコーディングにもとても重宝しそうです。

しかも、先ほど紹介したように本体にDSPが内蔵されており、パソコンのCPUだけに頼らずエフェクト処理やレコーディングが行えるので、最近流行りのネットブック・タイプのパソコンと組み合わせても、スムーズなレコーディングが実現できるでしょう。

▲写真6:単体レコーダー感覚でパソコン・レコーディングが楽しめます。

ギタリスト専用にデザインされたレコーディング・ソフトウェア

次に、ソフトウェアを見てみましょう。VS-20には、ギタリスト専用にデザインされたレコーディング・ソフト『Cakewalk Guitar Tracks 4』が付属されています。"ギタリスト専用"と言うだけあって、パソコンが苦手な人でも分かりやすく工夫された画面が特徴的。VS-20のハードウェアとパソコン上のコンソール画面がほぼ同じデザイン配置となっていて、さらに動作までリンクしています。つまり、ハードウェアのボタンやフェーダーを動かすことで、コンソール画面を操作できるのです。このように、ボスBRシリーズのような単体レコーダーを触る時と同じアナログ的な感覚で、パソコン・レコーディングが楽しめるようになっています。

●手軽ながらも本格仕様のソフトウェア

Guitar Tracks 4は、最大32ステレオ・トラックまでに対応し、ミックスやマスタリング用のものも含んだ計11種類のプラグイン・エフェクトを装備しています。また、ソフト・シンセ「TTS-1」を装備した再生専用のMIDIトラックも用意されています。次に紹介する付属フレーズ・データを読み込んで簡単にバッキング・トラックを再生できるうえ、パートごとにミュートの設定も行うなど、いろいろと便利な機能が盛り込まれています。もちろん、付属フレーズ・データだけでなく、市販のものや、インターネットで入手したMIDIデータを活用することも可能です。

▲画像7:ハードウェアとほぼ同じ配置となっているコンソール・ビュー画面。

▲画像8:Guitar Tracksは、32オーディオ・トラックの録音が可能です。

●手軽にセッションが楽しめる付属フレーズ・データ

初めてパソコン・レコーディングに挑戦する方が、より手軽に、そして安心してギターを楽しめるように、約300種類にもおよぶ多彩なジャンルのバッキング・データ&オーディオ・ループが付属されており、Guitar Tracks 4をインストールすると、すぐに利用することができます(次ページの最後に、サンプル音を紹介しています)。

このフレーズ・データには、高品質かつカッコいいバッキング・トラックがたくさん用意されています。そのため、チェックするつもりが、ついついセッションをしているような感覚となって、長時間ギターを弾いてしまう......そんな自分がいました(笑)。

こうしてセッション気分でギター・プレイを楽しむ以外にも、ギターの練習に活用したり、バッキング・フレーズを聴きながら曲作りのアイデアを練るといったことにも活用できます。このように、ギターを弾くうえでのさまざまな楽しさを体感できることが、VS-20の最大の特徴だと思います。

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Profile

井桁学

井桁学(いげたまなぶ)

ギタリストとして20歳より本田泰章のサポートを始め、その後も多数のアーティストのライブ・サポートを行い、近年ではエイベックスのライブ・イベント「a-nation」にも参加。現在は、レコーディングやアレンジング、プログラミングなどのスタジオ・ワークを中心に活動。並行して、音楽教則本の執筆や監修も数多く手がけ、音楽専門誌(サウンドデザイナー/リットーミュージック/オリコンエンタテインメントなど)での執筆や、楽器メーカーのセミナー/デモンストレーションなど幅広く活動中。1998年よりWeb「井桁学のギター・ワークショップ」をスタート。

井桁学のギター・ワークショップ:
http://www.guitar-workshop.net/