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第52回:V-Drums ローランド電子ドラムの歴史 第52回:V-Drums ローランド電子ドラムの歴史

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今やひとつの楽器としての地位を確立したV-Drums。自宅で静かに叩けるドラムとしてのメリットと、楽器としての豊かな表現力や、アコースティック・ドラムには出せないサウンドを持ち合わせていることが、多くのドラマーの心をつかみ、世界中で使われるようになったと言えるだろう。

そんなV-Drumsが今のようなハイ・クオリティな楽器に成長するまでには、数々の歴史があった。現行のV-Drumsを深く理解する意味でも、V-Drumsが生まれてきた背景も知りたいところだよね。さあ、ローランドの電子ドラムの歴史をたどってみよう!

▲写真1:TD-20KX-S

ローランド製品1号機はリズム・マシン

ローランドの創業とドラムのサウンドには大きな関わりがあったんだね。電子楽器メーカーとして創業したローランドの最初の製品は、リズム・マシンだったのだ。当時、リズム・マシンは電子オルガンなど、楽器演奏の伴奏用として多く使われていたわけだ。そしてこのリズム・マシンが、後の電子ドラムの音源モジュールに進化していったんだね。では、まずはローランドのリズム・マシンの遍歴を見てみよう。

第1世代リズム・マシン

1972年8月にローランドは最初の製品、TR-33、TR-55、TR-77の『TRシリーズ』を発売し、これらが市場を湧かせた。

この時代のリズム・マシンは、シンプルなアナログ回路を使用したもので、メーカーがプリセットした1、2小節のリズム・パターンを繰り返し演奏するタイプのものだった。ユーザーが設定できるのは、テンポのみだけど、それでも当時としては画期的な製品だったんだね。

▲写真2:ローランド創業1号機のリズム・マシンTR-77(1972年)。

リズム・マシン第2世代

リズム・マシンからスタートしたローランドは、その後、ギターやベース向けエフェクター、ギター・アンプ、そしてシンセサイザーなどの開発・製造も手がけるようになり、電子楽器メーカーとして躍進することとなったのだ。そして、1978年12月に新たに登場したのが、コンピュ・リズムCR-78だ。これは初めてマイクロ・コンピュータを搭載したリズム・マシンとして注目を浴びたんだ。内蔵されたメモリーにリズム・パターンを記憶することで、パターンの数を大幅に増やしたんだね。また、ユーザーのオリジナル・パターンを4つ記憶することができ、音色も10種類の打楽器音が使えるようになった。

CR-78は改めて楽器としてのリズム・マシンを生き返らせた機種となり、そのサウンドは、当時の日本国内や海外の多くのテクノ・ポップ・アーティストのアルバムのレコーディングでも使われたんだね。

▲写真3:マイクロ・コンピュータを搭載したリズム・マシンCR-78(1978年)。

翌年の1979年には、電池駆動可能でコンパクトなリズム・マシン、ボスDR-55を発売。テクノ少年の必須アイテムとなり、かなり普及したんだ。このDR-55が、現在も人気の高いボスのドクター・リズム・シリーズの記念すべき第1号機なんだね。僕も、のちのドクター・リズムにドラムのパターンを打ち込んで、それに合わせてリズムを正確に刻む練習をしたもんだ。

▲写真4:ボスのドクター・リズム・シリーズ第1号機、DR-55(1979年)。

リズム・マシン第3世代

世界で初めてソングが組めるプログラマブル・リズム・マシンTR-808を、1980年12月に発売。初の本格的なステップ・ライト入力や、ピッチや音色の変更など、画期的な機能を誇っていたんだね。

初期のヒップ・ホップやヨーロッパのニュー・ウェイブ・アーティストたちがこぞって使うようになったこのTR-808、日本国内では"ヤオヤ"の愛称で呼ばれ、広く愛用された。TR-808のサウンドは、今でもダンス系音楽では欠かせないものとなり、現在のV-Drumsにも音色が搭載されているよ。

▲写真5:一世を風靡したTR-808(1980年)。

PCM技術によって進化した第4世代

楽器のサンプリング音が元になっているPCM音源を採用したリズム・マシン、TR-909を1983年に発売。リズム・マシンはPCM音源の新しい時代に入った。

TR-909は、発売当時はあまりヒットしなかったんだ。しかし、後の1980年代後半ごろから、ダンス・ミュージックのドラムは打ち込みが主流になったことで、TR-909が脚光を浴びるようになった。個性的な音と優れた機能が高く評価され、ハウスやテクノの代名詞的な名機となり、多くのアーティストが好んでTR-909を使うようになったんだね。このTR-909のサウンドも現在のV-Drumsに搭載されているよ。

▲写真6:ハウスやテクノの代名詞となったTR-909(1983年)。

翌年1984年11月発売のTR-707が、ハウス・ミュージックの定番リズム・マシンとなるほどヒット。そして、1986年発売のハイ・コスト・パフォーマンス機TR-505は、大ヒット製品となった。

▲写真7:左がハウス・ミュージックの定番TR-707(1984年)。右が大ヒット製品 TR-505(1986年)。

1988年発売のR-8は、リズム・マシンでありながら、人間らしいフィーリングが出せる“ヒューマン・リズム”を搭載し、新世代の標準機となった。ドラムやシンバルの、打点による音色の違いや、音量による音色の変化まで可能にしたのだ。

そして、ヒューマン・リズムにさらに磨きをかけたR-70を1992年に発売。打点位置による音の違いを表現できる大きいボタン式パッドを装備し、またリズム・パターンとソングを自動的に作り出すリズム・エキスパート機能なども内蔵していたんだ。マシン自体が使う人の創造性をアシストするまで、高機能なものに進化してきたんだね。

▲写真8:左がヒューマン・リズムを搭載したR-8(1988年)。右がさらに進化したR-70(1992年)。

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Profile

山崎 彰(やまざき あきら)

山崎 彰(やまざき あきら)

大阪府池田市出身。熱いファンク・グルーヴを得意としながらも、宮本亜門のミュージカルから、LOVE PSYCHEDELICOの全米ツアーなど、ジャンルの壁を越えて活躍するドラマー。また、V-Drumsのデモ・パフォーマンスを日本全国及び海外でも公演するV-Drumsの伝道師?!でもある。自己のバンドLIFE ON EARTHで、2006年、日本人アーティストで初めてザ・ローリング・ストーンズ中国・上海公演のオープニング・アクトで演奏するなど、現在も様々なアーティストのレコーディングやライブでも活躍中。

Akira Yamazaki Official Website:
http://home.catv.ne.jp/nn/akira/

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