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GUITAR 第4回:ツイン・ペダル・シリーズ 究極のフット・エフェクトを一挙紹介! 中野豊

前々回に紹介した"SPACE ECHO"RE-20と、前回紹介した"GIGA DELAY"DD-20を含め、全7種類がラインナップされているボス・ツイン・ペダル・シリーズ。今回は、残りの5機種をまとめてレポートします。どれも高音質+高機能で、単一エフェクターながら、コンパクトだけでは表現し切れないサウンドを充分に楽しめるモデルばかりですよ!

今回紹介する5機種

▲写真1:今回紹介するのはこの5機種!左上から時計回りにEQ-20、CE-20、RC-20XL、RT-20、OD-20。

あらゆる歪みを1台でカバーする"DRIVE ZONE"OD-20

OD-20

▲写真2:"DRIVE ZONE"OD-20

OD-20は、ボスのデジタル技術を駆使した、歪み系エフェクターの集大成的な製品です。コンパクトの歪み系エフェクターは、それぞれのモデルによってサウンド・キャラクターが固定されているのに対し、OD-20はあらゆる歪みを1台で作り出すことが可能です。

●モデリングを含めた多彩な歪みは全22タイプ

搭載されている歪みのタイプは、なんと22種類。ボス・コンパクトのモデリングは6種類が用意されており、お馴染みの"BLUES DRIVER"BD-2、"DISTORTION"DS-1や"METAL ZONE"MT-2といった歪みに加え、すでに生産完了になっている名機"OVER DRIVE"OD-1や"HEAVY METAL"HM-2などのサウンドもモデリングされています。

さらに、定番のオーバードライブ/ディストーションからビンテージ・ファズや高価なブティック系まで、10種類の歪みも搭載されているほか、アンプで作った歪み感を狙ったサウンドなど、オリジナルの歪みタイプも6種類が搭載されています。

歪み系エフェクターは、アンプとのコンビネーションによってサウンドが大きく変わるのはご存じですね? 通常は、音を鳴らしつつ、アンプを変えたり接続し直したりと大変ですが、そういった試行錯誤も、接続を変えずにツマミだけで行えるのがOD-20の大きなメリットになると思います。セッションやリハなど、スタジオに行くまでどんなアンプを使って演奏するのか事前に分からない場合などには、特に威力を発揮するでしょう。

お気に入りのサウンドを見つけるためには、それなりの時間と経験が必要です。歪み系エフェクターの特性を理解するうえでも、このような製品を気軽に使って様々な実験をしてみると、多くの発見があると思います。

タイプ一覧

▲図3:タイプ一覧。モデリングによってシミュレートされているエフェクターの種類についての詳細は、サポート・ページのQ&A『モデリングによってシミュレートされるエフェクターには、どういった種類のものがありますか?』をご覧ください。

●オリジナル・モデルを超える幅広いサウンド・メイキング力

シンプルなツマミ操作と音作りのしやすさがコンパクト・エフェクターの魅力ですが、その一方で、「基本的には好きなサウンドだけど、もうちょっと○×ならいいのに!」って、思ったこともあるかもしれません。その点OD-20なら、可変幅の広いトーン(TONE)とボトム(BOTTOM)のツマミで歪みのキャラクターを微調整できるうえに、歪みそのもの(ドライブ量)も、モデリングしているオリジナル・モデルよりも幅広く変化させることが可能で、より深い歪みを作り出すことができるのです。

OD-2のツマミ

▲写真4:コンパクト・タイプと比べて、多くのツマミが搭載されているのがツイン・ペダル・シリーズの特徴だ。

 
・ワンポイント

トーンを左に回すとマイルドな歪み、右に回すとシャープな歪みになります。低域を調節するボトムは、左に回すと低域がカットされ、右に回すと低域が強調されます。いずれも、タイプ(TYPE)で選んだ歪みの種類に合わせた変化をするように最適化されます。

 
●新感覚の歪みを作り出すユニークな2つのツマミ

アタック・シェイプ(ATTACK SHAPE)とヘビー・オクターブ(HEAVY OCTAVE)の2つのツマミは、一般の的な歪み系エフェクターでは見かけないユニークなパラメーターですが、とても面白い機能だと思います。

アタック・シェイプは、アタック音を強調したり、弱くすることが可能なツマミです。例えば、クリーン系のアンプとの組み合わせで、アタック感が強過ぎて演奏しづらい時にスムーズ(SMOOTH)側にツマミを回したり、逆に歪み系アンプを使用した時に音が立ちにくい場合には、エッジ(EDGE)側に設定すると、音抜けがよくなります。

ヘビー・オクターブは、低音域にのみにオクターブ下の音を付加できるツマミです。これを用いることにより、ヘビーなリフやメロディを演出できます。

●瞬時に歪みを切り替えられる便利なメモリー機能

マニュアル・セッティングと4つのメモリー設定を切り替えて使用できます。コンパクトの歪み系エフェクターを使う場合、バッキング用、リフ用、ソロ用など、それぞれの歪み用に複数のコンパクトを使うギタリストも多くいますが、OD-20なら1台ですべての歪みを切り替えて使うことができます。もちろん、お気に入りのコンパクトと組み合わせて、基本のサウンドはコンパクトで作り、ピンポイントでOD-20の歪みをフィーチャーする、という使い方もいいですね!

OD-20とコンパクトの組み合わせ

▲写真5:OD-20とコンパクトの組み合わせもオススメ!前回のDD-20でも紹介した『メモリーの切り替え方の設定(ペダル・モード)』は、OD-20でも可能です。

●実用性に優れた数々の便利機能

OD-20本体から、アンプ側のチャンネル切り替えを設定できるアンプ・コントロール機能(DD-20などの他のエフェクターのオン/オフもコントロール可能! アンプ・コントロールの設定は、メモリーに保存することができます)や、スピーカー・シミュレーター的な回路が搭載されたライン・アウト/ヘッドホン・ジャック(LINE OUT/PHONES)も搭載されているなど、コンパクトなボディながら、実用的な機能がたくさん内蔵されています。

往年のロータリー・サウンドはコレで決まり! "ROTARY ENSEMBLE" RT-20

RT-20

▲写真6:"ROTARY ENSEMBLE"RT-20

ロータリー・スピーカーとは、"ローター"と呼ばれるメカで音源を機械的に回すことで、独特な揺らいだ響きを作り出せる製品です。元々はオルガン用に開発されたスピーカーですが、60年代頃からギタリストも使用するようになり、往年の名曲には、ロータリー・スピーカーを使用した作品が多くあります。一例を挙げるならば、ビートルズ「レット・イット・ビー」、サイモン&ガーファンクル「アメリカ」、ジミ・ヘンドリックス「リトル・ウィング」、クリーム「バッヂ」、レッド・ツェッペリン「ブラック・ドッグ」、サンタナ「哀愁のヨーロッパ」、ボン・ジョビ「オールウェイズ」などなど......。多過ぎて書ききれません。また、最近の新譜でも、このサウンドを用いた曲を数多く聴くことができます。

これほど素晴らしいサウンドを奏でられるスピーカー(アンプ)でありながらも、実用面では「重く、大きく、持ちにくい」ということもあって、プロのギタリストでも個人で所有している人はほとんどいないでしょう。

そんなロータリー・スピーカーのサウンドを見事に再現したエフェクターが、このRT-20です。使い方はとても簡単ですが、アンサンブルの中で際立つそのロータリー・サウンドの効果は絶大です。

ロータリー・サウンドと言えば、スピーカーの回転スピードが急激に切り替わらずに、段々と回転数が速くなったり遅くなったりすることで生まれる"うねり"が最大の特徴です。これは、最初に説明したようにローターを物理的に回転させるというロータリー・スピーカーの機械的な構造により生じた効果なのですが、RT-20では、右ペダルで回転スピードを切り替えることができます(左右の2つのペダルを同時に踏むことで、うねりを止めることも可能です。

RT-20の鮮やかなバーチャル・ローター・ディスプレイは、ホーン(HORN)&ベース(BASS)という2つのローターの回転の様子をシミュレートして表示しています。ステレオで出力すれば、別々に動くローターのサウンドを出力できるので、より広がり感のあるサウンドを作り出せます。

RT-20のツマミ

▲写真7:豊富なパラメーターで、好みのロータリー・サウンドを細かく調整していけます。

また、オリジナル・モデルではアンプに負荷をかけることによって作り出していた歪みも、RT-20ではリアルに再現しています。オーバードライブ(OVERDRIVE)ツマミを少しだけ上げてコードを弾いたら、もう最高! これは僕のお気に入りのサウンドなのです。

かつてはアンプヘッド使いながら、ロータリー・スピーカーのスピーカー部分だけを使用するなど、苦労しながらロータリー・サウンドを作り出していたギタリストも多かったようですが、そういったサウンドもRT-20のモードの中に豊富に用意されているので、簡単に多彩なロータリー・サウンドが楽しめます。 ジミヘンやスティーヴィー・レイ・ヴォーンでお馴染みの"Uni Vibe"をモデリングしたモードも搭載されています。ちなみにこのRT-20、僕も発売されてすぐにレコーディングで使っちゃいました。楽しかった~!