今回は、ME-70の歪みセクションをまとめてご紹介しようと思います。最新機種だけあって、「さすが!」の仕上がりになっていますし、ボスGTシリーズやコンパクト・エフェクターとはちょっと違う部分もあるので、使用する時の参考にしていただきたいと思います。
OD/DSセクション完全チェック~前半戦~
ME-70に搭載された歪みエフェクターは、全10種類。前モデルのME-50と比較すると、数そのものは約半分となりましたが、サウンド的には本当に必要な歪みだけが厳選され、それらをさらにブラッシュ・アップしたという印象です。ツマミの効きもよいので、これだけでも十分に幅広いサウンドを構築できます。 これまでは、スタジオでJC-120などのギター・アンプと組み合わせていろいろな音作りを試してきましたが、今回は自宅でMicro-CUBEを使い、10種類の歪みを改めてチェックしてみました。アンプ側のタイプを切り替えながら、相性などもテストしました。いろいろなことが分かって、とても面白かったですよ。
▲写真2:Micro-CUBEとの相性もバッチリ!
●1.BOOST
まずは、アンプ側の設定がクリーン(JC CLEAN)の場合。クリーン・サウンドでありながら、図太いリード・サウンドを作るのに適しています(最近は、これを「クリーン・ブースト」と言うようです)。
【DRIVE】を上げていくとわずかに歪みますが、歪みを得るというよりも「音を太く変化させるもの」と考えてください。特にシングル・コイル系のギターでは、効果大です。
アンプ側を歪ませた場合は、その歪みをさらに増やすことができます(このことを「アンプの歪みをブーストさせる」というように表現します)。
【DRIVE】を下げ目にして【LEVEL】を調節すれば、サウンド・キャラクターを変化させずに歪みの量をコントロールできますし、【DRIVE】を上げれば、当然ながら中域が強調されたサウンドに変化します。
▲写真3:タイプを切り替えるだけで多彩なサウンドを得られます。
●2.NATURAL
クセのない、素直なサウンドです。すべてのレンジが平均的に鳴ってくれます。歪みの質感は、コンパクトで言えばBD-2にやや近く、エッジ感のある扱いやすい歪みといった印象です。ピッキングの強弱や、ボリューム操作で歪み具合をコントロールしやすいタイプです。
アンプ側を歪ませた場合は、音色に変化を加えずに歪みを増やすことが可能です。「BOOST」とは異なり、エフェクターの歪みを追加できますから、アンプに深い歪みを加えたい場合にも有効でしょう。
●3.OD-1
OD-1は、1977年に発表されたボスのコンパクト・エフェクター第1号機。単体でのサウンドは、甘くて低音がタイトな渋めのサウンドです。現在では、SD-1がこの流れを継承しています。そんなサウンドも、ME-70なら簡単に再現できるのです。
OD-1やSD-1は、クリーンなアンプと組み合わせた場合は渋めの甘い歪みが得られます。その一方、多くのギタリストが大型スタック・アンプをブーストさせるためにOD-1を使用し、名演を残していることでも知られています(初期のヴァン・ヘイレンが有名ですね)。設定にもよりますが、かなり暴れた派手な歪みサウンドが得られます。
このタイプだけに限りませんが、アンプ側でも歪ませている状態の場合、エフェクター側の各ツマミをほんの少し動かしただけで、サウンドは激変します。特に【TONE】の設定によってさまざまな表情が演出できますから、ぜひ試してみてください。
▲写真4:オリジナルのOD-1とそっくりのサウンド!
▲写真5:名機、OD1&SD-1。
●4.BLUES
圧縮感のある歪み具合は、ボスのレジェンド・シリーズFBM-1に似ています。つまり、フェンダー・ベースマン系のブルージーなサウンドと言えます。
前回の『第23回:ME-70で作るアンプ・サウンド~プリアンプ・モデリング機能~』でご紹介した「PREAMP」部にも同様のタイプがありますが、BLUESの歪みはやや明るめのサウンドで、ツマミも少ないので気軽に使えそうです。
▲写真6:こちらがFBM-1です。
●5.DIST
エッジの効いたサウンドなのに、ガツンとした中域も太いディストーション・サウンド。コンパクトのDS-1よりは歪みのキメが細かく、使いやすいサウンドが特長です。
リフやパワーコード系のバッキングはもとより、リード系にも使えるオールマイティなディストーション。ストラトキャスターのリア・ピックアップでも充分な太さが得られるディストーションって、実はありそうで、なかなか少ないんですよ。
歪みの強いタイプなので、アンプ側では歪みを抑え気味にしたほうがうまくいくと思います。テクニカル系ギタリストが好んで使用するサウンドも、このタイプを選べばバッチリです!