mnavi Interview

Vol.18:ハワード・ジョーンズ ローランド・シンセは、僕にとって常にフェイバリットなものなんだ。

シンセサイザーを駆使した独自のスタイルで、80'sエレクトロ・ポップスを牽引し続けたハワード・ジョーンズ。1stシングル「ニュー・ソング」などの世界的ヒットで一世を風靡した彼が、今年デビュー25周年を迎え、14年振りの来日ツアーを敢行した。その記念すべきに日本公演初日を終えた翌日にBillboard LIVE Tokyoのバック・ステージを訪ね、今回のツアーについて、メイン・キーボードとして愛用しているFantom-Gについて、そして彼とローランド・シンセの25年の歩みについて、話しを聞いた。

コンパクトなイクイップメントで
見応えのあるショーを実現したかった

─ 日本のファンがずっと待ち望んでいた久々の来日が実現したわけですが、まずは日本公演初日の感想から聞かせてください。

ハワード・ジョーンズ(以下、H):昨夜のコンサートは、とてもエンジョイできたし、サクセスフルでよかったよ。今回のツアーは、コンパクトなイクイップメントで見応えのあるショーを実現するということが、大きなポイントだったんだ。そのコンセプトを半年前に思い描いてこのツアーに望んだわけだけど、最新テクノロジーを使った今回のエレクトロニック・セットは、日本で初めて披露したものなんだ。まだ、世界中のほとんどの人が目にしていないものなんだよ(笑)。

─ ステージでは、Fantom-G8の1台だけでプレイされていましたが、そのようにコンパクトなセットにしようと思ったのは、どのようなきっかけからですか?

H:キーボーディストは、自分の周りにキーボードをずらっと並べたスタイルが好きな人が多いけれど、僕は、自分の出したい音のすべてが1台のシンセに入っているのがいいと思ったんだ。たくさんのシンセを使うということは、それだけで何かしらのトラブルが起きやすい状況で、そのことを常に心配しながら演奏しなければならない。だけれども、セットをシンプルにすることで、トラブルの心配もなく、パフォーマンスに集中できるんだ。

─ なるほど。

H:新しいシンセやテクノロジーを使えば、少ない機材でパワフルに演奏することができるし、ステージもすっきりさせられる。それこそが、今の時代のライブ・スタイルだと思っているんだ。それが今回、Fantom-Gを使うことで実現できたんだ。

Fantom-Gはローランド・シンセの歴史が凝縮されていて、
なおかつ"今"のサウンドに再構築できる

─ 確かに昨夜のショーでも、往年の名曲を当時のイメージのままで楽しむことができましたが、いずれも"オールド・サウンドの再現"ではなく、"今のサウンド"でプレイされていた点が、とても新鮮な驚きでした。

H:Fantom-Gなら、「ニュー・ソング」や「シングス・キャン・オンリー・ゲット・ベター」、「コンディショニング」といった曲で使った僕の"シグネチャー・サウンド"も出すことができるし、25年前のJupiter-8やJUNO-60のストリングス、そしてパーカッションやシーケンスのサウンドだって1台でプレイ可能さ。Fantom-Gは、まさにローランド・シンセの歴史が1台に集約された楽器だと思うよ。しかも、その歴史的なサウンドを今のサウンドに再構築できるという点が、とても気に入っているんだ。

─ どのようにサウンドを再構築したのか、教えてもらえますか?

H:例えば、「ルック・ママ」のオリジナル・サウンドは、当時のデジタル・シンセとアナログ・シンセをレイヤーさせて作っていたんだ。しかし今回は、Fantom-Gに搭載されているD-50のベル系の音色、いわゆる"Fantasia"のような音色で作り直したんだ。こういったサウンドを探す際にも、大きなディスプレイで操作もしやすく、レイヤーするなどのエディット性能が優れていて使いやすいね。ユーザー・インターフェースのよさは、とても気に入っているよ。それに、ほかのシンセにはない"パッチ・リメイン"も驚きだね。

─ 前の音のリリース音を残したまま、次のパッチ(音色)にスムーズに切り替えられる機能ですね。

H:そうだ。そのパッチ・リメインのおかげで、演奏中にも複雑なパッチ切り替えができるようになったよ。ショーを見てもらえば分かるだろうけど、1曲で4~5パッチを切り替えていて、それがシームレスに演奏できるようになったよ。