Fantom-Gのピアノ・サウンドに
インスパイアされて生まれた「ミカヅキ」
─ 曲作りやアレンジでは、どのような楽器を使いましたか?
Y:私が使った楽器は、Fantom-G6とVP-770。MIDIの打ち込みや音源に関しても、ほぼFantom-Gだけでやりました。Fantom-Gの1台だけでも、自分の作りたいものを表現するには十分だったんです。あとは、私の腕次第というか(笑)。

─ サウンド面で、Fantom-Gにインスパイアされたことはありましたか?
Y:ありました! 「ミカヅキ」っていう曲なんですが、Fantom-Gに内蔵されているピアノ(プリセットNo.73「Compressed Pno」)の音を聴いた時に、すぐに三日月が思い浮かんで。すごく"念"のこもった音してるなぁ、と思ったんです。単音で弾いただけでも、三日月の狂気的な怖い風景が浮かんできて、そこから生まれた曲なんです。この音色を作った方、開発者のみなさんに感謝ですね(笑)。
─ このピアノ・サウンドはどのようにして作ったのか質問しようと思ってたんです(笑)。
Y:プリセット・パッチなんですよ。選んでポンで、誰でも弾けます(笑)。このピアノの音のように、Fantom-Gのプリセット音色はとてもイメージが湧く音が多いんですよ。ギターの音色もすごくいいですよね。もう、プロのギタリストが中に入ってるのか、って思うくらいにいい音で。録りの段階では私がエレキ・ギターを弾いたんですが、デモではFantom-Gの内蔵音源だけで作ったんです。あらかじめFantom-Gでデモをきっちりと作っておくことで、後でエレキ・ギターを弾く際に、自分がどう弾いたらいいのかが明確になるんです。ですから、Fantom-Gのプリセット音色のクオリティの高さには、かなり助けられましたね。
─ ギターと鍵盤楽器ではボイシングの違いがあると思いますが、その点はどのように考えて作っていったのですか?
Y:いろんなギタリストの音楽を聴いたり、ライブ映像を見て、「この人はどういう弾き方をしているのか」とか、「どういうフレーズを弾いているのか」ということを研究しました。ピアノに関してもそうで、「働く!より子ブギ」を作る際も、ドクター・ジョンの曲を何度も聴いて、右手のフレーズとかを研究しまくって。"なんちゃってニューオリンズ"ではないですが(笑)、少しはあの香りを出せたかな、と思ってます。
─ アルバムを通して、本当にいろんな香りが出てると思いますよ。「メロスのように」も、独特の雰囲気があって。
Y:この曲は、最初はインストゥルメンタルだったんです。私の中では完全にゲーム音楽のイメージで、砂漠の中で展開されるような......。
─ それで、中近東っぽいニュアンスが入ってるんですね! 何だか、ゲーム音楽というイメージが、よく分かるような気がします(笑)。でもこういった曲ですら、アルバムの世界観の中に見事に収まってますよね。
Y:不思議ですよね。これはプロデューサーに言われて気付いたんですが、「約束の場所で」と「メロスのように」は、対になっているんです。「約束の場所で」が女の子側の歌で、「メロスのように」が男の子側。作った本人は無意識だったんですが、言われて初めて「そうかぁ」と気付くことも多くて。
─ どちらの曲にも、シタール的な音色が入ってますもんね。
Y:確かにそうですね! そこでもつながっていたのかもしれません。そういうことも含めて、きっと1つの世界だと思うんです。あと、私の中で「Memory of Soul」と「あなた」は、絶対に1曲目と最後の曲で、これはメビウスの輪。全部が、きっと何らかの形でつながっているんですね。意識せずにつながっているということは、とても正しいことだと思いますし、アルバムを作るうえで、とても正しい方向性に向かっていけたんじゃないかと考えてます。




