すべてに遊び心があって、しかもそれを本気で作ってる。
そこがローランド製品の面白さ
─ 個性的なsleepy.abサウンドを生み出している機材面についてもお話を伺いたいんですが、成山さんと山内さんは、お2人ともギター・アンプはローランドJC-120を愛用されているそうですね。
Y:いろんなアンプを試したんですけど、JC-120が一番レンジが広くて。それに、クリーン・トーンのセッティングで自分の好きな音が出るっていうことが、最大の決め手でしたね。
N:エフェクターのノリも、すごくいいんじゃないかな。ライブでは、2人ともJC-120を使うので、俺は歪みの方(CH-2)で軽く歪ませてます。
Y:レコーディングでは、ステレオ効果を出すためにJC-120を2台使ったり、リア・パネルのエフェクト・センドを利用して1台でステレオで出力してみたり。あと、いわゆる"襷(たすき)がけ"っていう裏ワザも試しましたね。CH-1のHIGH端子にギターを接続して、空いてるLOW端子とCH-2のHIGH端子を接続したり。そうすると、結果的にプリアンプを2重に通るので、音が太くなるし、EQも2重にかけられるので、いろんな音作りもできました。そういったJCの多機能さのおかげで、ギター・サウンドの幅もさらに広がりましたね。

▲写真5:今年春にツアー先の仙台で偶然見つけたという、成山氏のフェンダー・テレキャスター。ハムバッキングとシングル・コイルをリア・ポジションでミックスできるようになっており、テレキャスターながらも、まろやかな音色が鳴らせる点が特に気に入っているという。
─ 一方のベースの田中さんは、ボスGT-10Bをお使いだそうで。
TN:はい。元々、メタル・ゾーンMT-2などを使っていて、今でも「この歪みは絶対だ」と思っているんですが、いろんなエフェクターを試したいということもありまして使ってみました。僕は、山内くんがたくさんのコンパクト・エフェクターを使ってるのを横で見て「何て効率が悪いんだろう」って思ってしまうたちで(笑)。ベースをつないですぐに音が出せるのが好きなんですね。しかもコンパクトをたくさん使うと、ライブでのトラブルが怖いし。で、マルチ・エフェクターを買おうと、札幌のRoland Planet(以下、Planet)に行ったんです。
─ そこで、GT-10Bを初めて触ったんですか?
TN:そうです。実は以前にも他メーカーのマルチ・エフェクターを使ったことがあったんですが、発音が遅れるだとか、ライブで使いづらそうなイメージを持っていたんです。でも、実際にGT-10Bを試してみたら、「スゲェ! これは使えるな」と思いました。歪み系がたくさん入ってるのも魅力です。ちなみに、ライブでのGT-10Bの出力は、PAにラインで送るのが「7」、アンプが「3」の割合です。アンプは、基本的には自分のモニター用に鳴らしています。
─ 歪み系以外の、プリアンプや空間系エフェクトは使いますか?
TN:今回のレコーディングでは空間系は使いませんでしたが、ライブではスライサーやリング・モジュレーターを少しずつ使うようになりました。あと、先ほど山内が"イカの声を入れた"という「さかなになって」という曲のCD音源には、僕がお風呂場で録った水がポコポコ鳴る音が入っているんです。でも、「その音をライブでどうやって再現したらいいんだろう?」ということに気が付いて、GT-10Bを駆使して、ワウとスライサー、ディレイあたりを組み合わせてみたら......5分くらいでできたんです(笑)。
N:すごく誇らし気な顔してたもんね。「あの音、作れちゃった」って(笑)。

▲写真6:山内氏のメイン・ギターである67年製のギブソンES-340。学生時代にES-335を買おうとショップに行った際に、ヴィンテージ好きな彼の目に止まったという逸品。当時、成山氏は「こんないいギターなのにこんなにエフェクターを通すのか」と驚いたそうだ。
TN:あれは嬉しかったですね(笑)。その他の点だと、プリアンプ・タイプの"CONCERT 810"がすごく気に入っています。これはオリジナル・モデルと同じように、"ウルトラ・ロー"と"ウルトラ・ハイ"が調節できるようになっているんですよね。アンプの種類を選べないライブ会場だったら、このプリアンプ・タイプを活用してみたいと思っているところなんです。
N:すげぇマニアック。俺、全然分からない(笑)。
TN:(笑)。でも、そのレンジ感の広がりが出るか出ないかで、ライブの気分がすごく変わるんです。自宅でいじっていて、「これはいける」と思ったので、近いうちにツアーで試してみたいと思ってます。
─ 山内さんも、自宅ではME-50をお使いになってるんですよね?
Y:はい。Planetで購入しました。
─ みなさん、Planetにはよく行かれるんですか?
N:みんな会員だもんね(笑)。
Y:ローランド製品がすべて置いてあって、専任のPlanetスタッフがいるというコンセプトは、すごくいいと思います。やっぱり、気になる楽器があったら、かなり下調べたうえで楽器屋さんに行くじゃないですか。僕なんかエフェクターが大好きだから、ちょっと細かすぎる質問をしちゃっうと、普通のショップの店員さんだと「えっ?」って顔をされる時があるんですよ。
─ 店員さんよりも、新製品に詳しかったりして(笑)。
Y:そういう時でも、Planetのスタッフの方は、ちゃんと対応してくれるんですよ。それはすごく助かりますね。さっき話したJC-120の裏ワザも、Planetに何度も通って教えてもらったんです(笑)。あと、「興味はあるけど、なかなか試せない楽器」ってあるじゃないですか。例えば僕はギターだから、シンセやアコーディオンなどの鍵盤楽器は、興味があっても、なかなか触れない。そういう場合でもちゃんと試奏ができるし、そのうえ、その楽器のことまでいろいろと細かく教えてくれるので、やっぱり何かしら新しい発見がありますね。それでついつい、欲しくなっちゃうんです(笑)。
TN:最近のV-Drumsで、演奏するとディスプレイにリズムの正確さがグラフィカルに表示されるヤツ(音源モジュールTD-9搭載のSCOPE機能)なんて、もうゲーム感覚だったよね(笑)。ローランドの製品は、どの楽器にもそういった遊び心があるんだけど、それをものすごく本気で作り込んでいる点が面白いですよね。Planetは、そんな楽器が勢揃いしているわけですから、これは面白いスペースだな、って思っています。

▲写真7:田中氏のメイン・ベースMODULUS VJ-4。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシスト、フリーのシグネイチャー・モデルを元に、プリアンプやネックなどを自分仕様に変えて作ったセミ・オーダー品。想像していた通りの音で、とても満足しているとのことだ。




