新曲「ウトゥルサヌ」は歌詞を乗せた段階で
ファニーにするために削る作業を行った
─ まず、新レーベル「SUPER ECHO LABEL」について伺いたいのですが、どういうコンセプトで立ち上げたのですか?
NAOTO:自分たちのレーベルと言っても、いろんなアーティストさんがいるわけではなくて、今のところは自分たちがやっていくための"場"ですね。もちろん、将来的に他のアーティストさんが入ってくることもあるかもしれないですけど、今のところは、まだそこまでは考えてなくて。ですから一般的に言われる「レーベル」という感覚よりも、「僕らだけの場所」という意識が強いです。
─ より自由に、よりフレキシブルに自身の作品を発表できる"場"ということなんですね。そんな新レーベル第一弾として制作された「ウトゥルサヌ」は、沖縄の方言で「怖い」という意味の言葉だそうですが、そういった語感とは相反して、歌詞の内容や曲調は、とてもほのぼのとした、ユニークな楽曲に仕上がりましたね。
NAOTO:そうなんです。ゾンビだったり、キョンシーだったりっていう、"オバケ"のイメージなんです。サウンドのコンセプトとしては、「みんなの歌」だったり「ポンキッキ」とかで子供の頃に聴いていた、80年代のポップスです。そういう曲って、子供向けと言いながらも、シンセサイザーだとかエレクトリック・ドラムのサウンドが、すごく新鮮だったじゃないですか。その頃の音楽が、僕はすごく好きなんです。
─ 子供の頃に受けた新鮮な感覚を、今の2010年のサウンドで表現した、という感じですか?
NAOTO:そうですね。あと、僕は歌謡曲的なノリも好きなんですけど、そこは楽曲そのものが歌謡曲っぽくならないようにしながら、エッセンスとして加えようと意識しました。ですから、レコーディングした最初の段階ではもっと音数も多かったですし、音圧的にもギターのローがもっと出ていたり、ベースがしっかりボトムを支えているような感じだったんです。でも、歌詞を乗せてみたら、もっと軽い、ファニーな感じがいいなと思って、そこからどんどん削っていきました。

▲写真1:ORANGE RANGEのメンバー。左から、NAOTO、YAMATO、RYO、HIROKI、YOH。
─ かなり音数が絞り込まれた印象を持っていたのですが、ではそれは最初から、そういうサウンド・イメージで制作を始めたわけではなかった、と?
NAOTO:ギターもディストーションをかけて、「ズン、ズズン」と重めに弾いてたんです。そこから、もうちょっと歌詞の内容に寄せた方がいいなと思って、削る作業をして。これが結構、大変でした。
─ その歌詞は、どのように作ったのですか?
NAOTO:歌詞は、いつもボーカル3人(RYO、HIROKI、YAMATO)と僕の4人で話し合って書くんです。この曲に関しては、その段階で、幽霊よりも"オバケ"というようなファニーなイメージが決まって、そこで仮歌を乗せてみたら「これは引く作業が必要だな」って感じて。それから、ベースのボトムも削りましたし、ギターも上の帯域だけを使ったりして、よく言えばライトな感じ。悪く言えば......、薄いとか、軽い感じにして。
─ いや、別に悪く言わなくても(一同爆笑)。
NAOTO:(笑)。でも、僕って、そういう質感も好きなんですよ。結構、軽っぽいやつが。僕らの作品には、昔からこういったチープなサウンドもよく使っていて、得意と言えば、得意な方向性なんです(笑)。
─ 子供が聴くファニーな曲でありつつ、斬新なサウンドという点では、80年代の「コンピューターおばあちゃん」などに通じる部分がありそうですね。この曲も、子供向けの歌でありながら、80年代テクノ・ポップの名曲ですからね。
NAOTO:この曲は、すごくイイですよ。もう、電気グルーヴが歌ってそうなタイトルですもん(笑)。僕は、そもそも電気グルーヴが大好きなんですよ。それこそYMOだとか、海外だとトレヴァー・ホーンだったり、ああいったポップスの中でのシンセサイザーの使い方が、すごく好きなんです。「コンピューターおばあちゃん」って、相当ヤバイっすよ(笑)。

─ それでいて、打ち込みではなく生演奏の要素が強いという点も、「ウトゥルサヌ」にも共通する部分がありそうに感じましたが、実際はどうだったのですか? すごく生っぽい部分もありつつ、波形編集的な質感もあって、エレクトロニカ風なサウンドも散りばめられていましたが。
NAOTO:僕はシューゲイザー風のサウンドも、とても好きなんです。細かい話しをすると、ギターの音も一度ラインで録音して、それをわざと昔のサンプラーに入れて、パッドを叩いて演奏したりしているんです。昔の、ビット数が低いサンプラーを使うと、妙にアタックが強くなって、音が硬くなるんですよ。キックにしても、音を硬くしたい時はプラグイン・エフェクトを使ってコンピューターで加工するんじゃなくて、一度サンプラーに入れて鳴らしたりするんです。だから、生演奏なんですが、いろいろと工夫はしています。あと、「コンピューターおばあちゃん」の流れで言うと、「おふろのかぞえうた」という歌のリズムの感じだとかも、随分と参考にして曲作りを行いました。






