Top > mnavi Interview > Vol.39:牧山純子

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フッとプレイヤー全員の息が合う一瞬。
その期待感が、ジャズの一番の魅力

─ バークリー音楽大学での授業は、かなり大変だったのではないですか?

牧山:クラシックの基礎はあるので、オーディションを受けると合格して、飛び級で上のクラスに入れていただけるんです。でも、自分にはジャズの要素がまったくないので、もう泣きながら「下のクラスから勉強したい」って先生にお願いしたんです。でも先生達は「せっかく入れたんだから、このクラスで付いていきなさい」って笑顔で言うんですよ。もう、優しいのか、厳しいのか分からない(笑)。当時の同じクラスには、今ではブルー・ノートにも出演しているクリスチャン・スコット(Tp)やエスペランサ・スポルディング(Bs)なども一緒だったんですが、彼らはその頃から当たり前のようにジャズをやっているわけです。そこに、アドリブが一切できない自分がいる。クラシックであれば負けずに弾けるはずなのにと思いながら、毎日が、まったく弾けない自分との闘いでした。でも先生からは「ジャズは耳で覚えるものだから、いい演奏、いいプレイヤーたちとの演奏は、絶対に純子のためになる」って言われて、必死に続けたんです。

─ そこまでしてジャズを続けようと思った最大の理由は、何だったのでしょうか?

牧山:今、この場から逃げて日本に帰ったら、もう二度とこの音楽には触れられないという気持ちがあったんです。それは感覚的なものではあるんですが、「この音楽に触れられなくなるのは悲しい」と思ったんです。クラシックって、リハーサルを重ねることで、全員で同じ呼吸感を作っていくものですが、ジャズって、その場にパッと集まった人たちで、譜面上には何も書かれてないのに、フッと全員の息が合う瞬間があるんですよ。その一瞬が、自分にとって鳥肌ものなんです。普通に考えれば「どうしてここで、みんなで一斉にブレイクしたの?」とか、すごく不思議な一瞬があるんです。その感覚を一度味わうと......。それはもう、中毒症状に近いのかもしれません。次にその瞬間にいつ出会えるのか、それは次の日かもしれないし、1年後かもしれないし、10年後かもしれない。もちろん、どのメンバーでその瞬間が味わえるのかも分からない。その期待感が、ジャズの一番の魅力ですね。それを追い求めて、どんどん気持ちがのめり込んでいきました。

ただ、それと同時に、クラシック音楽への意識も変わりました。クラシックを勉強していた頃は、「確実に弾かなきゃいけない」、「間違えちゃいけない」という気持ちが先に立っていたんです。だから、楽しさよりも、苦しさの方が強かったかもしれません。作曲者の代弁者であるという感覚にたどり着く以前に、音楽を正確に伝えなきゃいけないっていう気持ちが強かったんです。でも、クラシックのカデンツァなど、昔はアドリブだったんですね。その一番いい演奏を採譜したものが譜面になっているんです。それは、クラシックだけを勉強していると、分からなかったことでした。ですから、クラシックであっても、やっぱり曲を書いた人の背景や気持ちを演奏者としてどう伝えるかを意識できるようになりましたし、ジャズを勉強したことで、クラシックの奥の深さや面白さも実感できるようになりました。バイオリンという楽器に関しても、「自分の声や言葉を代弁してくれているツールだ」と捉えるようになりましたね。ジャズのアドリブが自分の言葉だとすると、その瞬間の気持ちや音に込めようとする言葉を、バイオリンという楽器を使って表現する。ですから、本当の意味でバイオリンが身体の一部になったように感じています。

─ 最新アルバム『リベルタ』は、そういった雰囲気がとても感じられる作品でした。しかも、牧山さんのソロという側面と、クリヤマコト(Pf)さんをはじめとするバンド的な側面の両方を楽しめました。

牧山:『リベルタ』に関しては、クリヤマコトさんがプロデュース/アレンジ/演奏と、すべての面でご一緒して下さいました。クリヤさんはすごく才能豊かな方なので、クリヤさんから見た私の魅力というものを引き出していただけたかと思っていますし、私もそれに応えられるよう、必死になって頑張りました。そんな大先輩をはじめ、錚々たるプレイヤーの方々と一緒に演奏させていただきつつも、ライブの際には、自分がリーダーでなければいけないということにも気付かされました。ですから、時として横に並んだり、上から引っ張っていただいたり、下から支えてくれたりと、みなさんにはいろんな状況で支えていただきました。レコーディングが終わって、クリヤさんをはじめ、納浩一(Bs)さん、大槻"KALTA"英宣(Dr)さんというレコーディング・メンバーでツアーを行ったんですが、その最後には本当に「バンド」になれた感覚があって、それはとても嬉しかったですね。この夏も、たくさんのライブを行っていますが、ジャズは本当にいろんな方と出会えて、セッションできる唯一の音楽だと思っています。9月には、国府弘子(Pf)さんや、初めてボサノバの中村善郎(Gt)さんともご一緒させていただく予定です。このように、いろんな方とセッションすると、同じ曲でもまったくカラーが変わるんです。私は、自分が透明でありたいと思っていて、赤色の方と共演した時は赤に染まって、黒色の方とご一緒したら黒に近付きたい。そんな表現力の豊かさを身に付けたいと考えています。

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Profile

牧山純子

4歳よりバイオリンを始め、音楽大学卒業後、フランスに留学。帰国後はソリストとして活躍する。2002年バークリー音楽大学に入学し、ジャズ・バイオリンを専攻。在学中に多数のセッションをこなし、デイビッド・フォスターやスティーブン・タイラー(エアロスミス)と共演。同年末にはNHK紅白歌合戦(平井堅「大きな古時計」)でアメリカから衛星生中継で出演する。2003年3月に「String Department Achievement Award」受賞し、上原ひろみ、チャーリー・ヘイデン、マイケル・ブレッカー、ケニー・バロンらと共演する。現在、自身のライブのほか、TV、レコーディング、コンサート等、クラシック、ジャズ、ポップス、とジャンルを問わずいろいろな分野において精力的な活動を行っている。

オフィシャル・サイト:
http://www.junkomakiyama.com/

Information

■CD
『リベルタ』

PCCY-30150
¥3,150

『ミストラル』

PCCY-50013
¥3,150

■LIVE
『MTV ZUSHI FES 10 supported by RIVIERA』

8/31(火) 中目黒・楽屋
9/2(月) 吉祥寺・MEG
9/7(火) 水道橋・東京倶楽部
9/17(金) 六本木サテンドール
9/24(金) 吉祥寺・Strings
9/30(木) 目黒ブルー・アレイ・ジャパン
10/2(土) 群馬・G Face Cafe
10/9(土),10(日) 大阪・Mister Kelly's
10/11(月) 名古屋・Star☆Eyes
10/29(金) 渋谷・JZ Brat
11/14(日) 甲府・JAZZ IN ALONE

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。