バークリー時代にCD-2iがあったら、
どれだけ嬉しかったことか(笑)
─ 今回、ラジカセ感覚で演奏の録音/再生が行えて、簡単にCDが作れるCD-2iをお試しいただきましたが、どのような感想を持ちましたか?
牧山:とにかくシンプルで、これで何ができるのかということが分かりやすい点がいいと思いました。携帯電話でもそうですが、たくさんの機能が搭載されているから便利そうだと思っても、実際に利用する機能は1つか2つくらいということは、よくあるじゃないですか。でもこの製品は「本体だけでSDカードに録音できて、CDを作れる」ということがすぐに分かるし、操作もまさにラジカセ感覚なので、デジタル機器が苦手な人でも活用できそうに思います。

─ ラジカセやMDをお使いの方であれば、すぐにお使いいただけると思います。
牧山:私のように機械に詳しくない人間は、ちょっと何かをしたいと思った時に、何を用意してどう操作すればいいのか分からなくて、本当に大変な思いをするんですよ(笑)。でも、CD-2iのように用途が明確であれば、フル活用できそうですよね。それでいて、CDの再生スピードやキーが変えられるという機能は、すごいですよね。驚きました。
─ 再生スピードを変えても音程はそのままなので、CDの演奏を耳でコピーしたり、採譜するような場合にもとても便利な機能です。
牧山:これがバークリー時代にあったら、どれだけ嬉しかったことか(笑)。実際に、トランスクライブ(曲のコピー)の課題があって、私はバイオリンですが、サックスやピアノのソロを採ってくるように言われるんです。耳で覚えなさいということで、本当は譜面にしてはいけないんですが、私はクラシック出身なので、やはり譜面にした方が覚えやすいんですね。ですから、当時はMDプレイヤーで何度も繰り返し再生しながら、一生懸命に採譜してました。
─ 一定区間をリピート再生させることも簡単ですよ。「キー」は半音単位、「ピッチ」は1セント単位で調整可能です。
牧山:ポップスでは、ボーカルに合わせてキーを上げ下げすることはよくありますよね。これなら、バック・トラックさえCDで用意しておけば、すぐに歌う方のキーに演奏を合わせられるので、ボーカルの方が使っても便利そうですよね。私の場合ですと、チェンバロなどと一緒にバロック音楽を演奏することがあるんですが、バロック時代のチューニングって低いんですよ。ですから、バロック音楽のCDに合わせて練習すると、譜面のとおりに演奏しても、自分のバイオリンがものすごく音痴に感じたりすることがあるんです。そういう際に、CDの再生音のピッチを変えられるというのは、すごく嬉しいですね。こういった、録音以外のプラスアルファ的な機能も、オマケ・レベルでなく、しっかりとした品質で搭載されている点は、とても素晴らしいと思います。

─ 内蔵マイクを使って実際にバイオリンの演奏を録音していただきましたが、音質はいかがでしたか?
牧山:すごくリアルで、プレイヤーとしては、少し怖いくらいでした(笑)。響きのいい場所で録音したら、そのままでも十分かもしれませんね。バイオリンのアタック感を明確に出したいなら、録音レベルを下げ気味にして、本体を楽器の近くに置いて録音するといいと思います。CD-2iがレッスンの先生の教室に1台あればとても便利だと思いますし、40代や50代の方で、趣味で楽器を始めたような方も、こういうものを使って、手軽に自分の演奏を高音質で録音して聴けるというのはいいですね。
─ 自動的に録音レベルを設定できるリハーサル機能も搭載されているので、録音は初めてだという方でも、安心してお使いいただけます。
牧山:センター・キャンセル機能で、歌やソロ楽器の音を消してカラオケ化することもできるそうですから、それに合わせて演奏すれば練習意欲も湧くと思いますし、上達にもつながると思います。やっぱり1人で練習していても面白くないですが、アンサンブルの感覚を経験すると、演奏が楽しくなりますからね。そういう意味では、オーバー・ダブ(多重録音)機能を使って、自分で弾いた伴奏に合わせてメロディを弾くような練習ができる点も、とてもいいと思います。
─ それでは最後に、こういったデジタル機器を利用しながら、これから楽器を始めてみようという読者にアドバイスをお願いします。
牧山:私はクラシックから始めてジャズという音楽に出会い、今ではジャズ・バイオリン奏者として演奏させていただいていますが、音楽ジャンルの壁っていうのは、本来は必要ないものと思っています。アルバム・タイトルの『リベルタ』という言葉は、イタリア語の"自由"という意味で、音楽性の自由、ジャンルの自由、気持ちの自由という意味も込めて付けました。クラシックを勉強していて損することはありませんし、基礎はとても重要です。自分が楽器で感情を表現したいと思えば、ある程度のテクニックは必要です。ただ、そのテクニックと感情表現は、また別物だと思うんですよ。テクニックだけの話しであれば、年齢を重ねると、どうしても瞬発力は落ちていきますよね。20歳と80歳では、若い方が速いパッセージを正確に弾けます。でも、ジャズは音に人生観が表れるんですね。だから、80歳の人が弾くと、同じ音なのに、20歳の人とは深みや説得力が違ってくる。私もアメリカでジャズを教わっていた時に、2~3音を聴いただけで、思わず涙がこぼれるような瞬間に出会いました。自分も音で人生を表現できるようになりたいと思ってますし、ジャズの素晴らしさって、そこにあるんだなって感じています。





