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Vol.40:coba

ヨーロッパと東京を拠点に、国際的な音楽活動を繰り広げる世界的アコーディオニスト、coba。現代日本におけるアコーディオニストの代表的存在であり、彼の奏でる音色は、テレビ、ラジオとあらゆるメディアで耳にすることができる。今年11月にリリース予定のアルバムを制作中のプライベート・スタジオを訪ね、これまでの歩みとローランドVアコーディオンとの出会い、そして最新モデルFR-3Xの印象について語ってもらった。

「生きるとは何たるか」を考えた時に、アコーディオンの存在が自分の中でクローズアップされてきた

─ 音楽を始められたのは、3歳の頃からだそうですね。

coba:そうです。3歳で新潟に引っ越したのですが、たまたま近所に音感教育を研究されている先生がおられて。もともと親は僕に音楽をやらせたいと思っていたようで、その先生の教室に通うようになりました。なかなか素敵な先生で、僕の音楽への興味をグッと引き出して下さいました。タンバリンを叩いてリズムを刻んだり、あるいは和音当てクイズみたいなことをやったり。そのうち、詞を書いたり、それにメロディをつけたりといった課題も出されるようになって、自然な感じで"音"に触れるようになりました。

─ 楽器との出会いはいかがでしたか?

coba:オルガンやピアノといった鍵盤楽器ですね。父は趣味でずっとアコーディオンをやっていましたが、むしろ僕はそれを冷ややかに見ていたというか。あえて体に抱えて持ち上げなければいけない楽器を試してみたいとも思わず(笑)、さしたる理由もなくアコーディオンを弾くことはなかったんです。ところが小学4年生になった僕の誕生日に、父がアコーディオンを買ってきまして、それをきっかけに弾き始めました。

─ そこから18歳でイタリアに留学されるまで、アコーディオン1本だったのですか?

coba:いえいえ。キーボードが大好きで、中学高校と当時流行っていたプログレッシブ・ロックのコピー・バンドでキーボードを弾いていました。その一方で、イエスのアルバムをアコーディオン1台でコピーしたりもしていたんですが、自分の中でアコーディオンという楽器は、あくまでも"one of them"だったんです。ところが高校1年生の進路指導で、理系と文系に別けられるということに対してちょっと反発を覚えまして。

─ と言うと?

coba:文系か理系かで、将来の道が決まってしまうかのような進路指導をされたんです。でも、人生は二者択一ではないですよね。それで「一度考えさせて下さい」と返事をしたのですが、どうやらそういう学生は、学年で僕だけだったらしくて。その時は、父親の仕事の関係で転勤してしまった両親と離れて、僕は高校の近所にあった医科大学生用の寮に1人で下宿していたので、親にも気軽に相談できなかったんです。その下宿には別の大学を卒業した後、医者への夢をあきらめきれずに再入学した人とか、何浪もして苦労を重ねた人々が住んでいて、そんな方々と話しているうちに「生きるとは何たるか」を真剣に考えるようになりました。そこで自分をいちばん解放してくれるアコーディオンという存在が、初めて自分の中でクローズアップされてきました。アコーディオンを弾いている時が、自分が一番素直になれた時間ではなかったのかという思いが首をもたげてくると同時に、子供の頃からアコーディオンは不幸な楽器だと思い続けてきたこともあって、「この楽器のために、自分にも何かできることがあるんじゃないか」と考えるようになって、アコーディオンと共に人生を歩んでみようという選択をしたわけです。

─ アコーディオンが不幸な楽器だとお感じになったのは、どのような理由からだったのですか?

coba:「アコーディオンの音楽はカッコ悪すぎる」という想いがいつも胸に宿っていました。当時、自分が好きだったプログレはスタイリッシュでしたし、適度に複雑でカッコよかった。でも、アコーディオンと言えば、ポルカやワルツ、タンゴの中。まして日本では、演歌やのど自慢の楽器だったわけです。でも、この楽器のルーツであるヨーロッパには、きっと自分と同じように誰も聴いたことのない音楽をアコーディオンで作ろうと努力している人が当然いるだろうと思ったんです。そういった希望を持ちつつ、アコーディオンが生まれたヨーロッパの音楽大学でアコーディオンをゼロから学び、国際コンクールに出たいという2つの想いから、イタリアへの留学を決めました。

─ そのイタリアで、衝撃を受けたような出来事はありましたか?

coba:そのご質問に対しての答えは、「Yes and No」です。まず「Yes」の部分ですが、イタリアの音楽学校はコンセルバトリオ・システムといって、卒業までに10年間学びます。つまり、10歳くらいから始めて、20~21歳くらいで卒業するわけですね。ですから、18歳の僕が10~12歳くらいのクラスに振り分けられるわけです(笑)。ところが10歳の彼らは、既にバロックの作品やアコーディオンのための前衛的なオリジナル曲などを見事に弾きこなすわけです。それには驚きましたね。かたや、僕が最終的に目指したかった新しい音楽という意味では「No」でした。つまり、レコード店に行けばアコーディオンのジャンルはあるし、クラシックやジャズでのスター・プレイヤーいますが、そういった方の音楽は、自分が目指したい音楽とは程遠いものでした。残念ながらアコーディオンで、飛び抜けて新しい音楽を追求しているような先駆的な方は見つけられませんでした。しかし、超難関である世界コンクールに出場するのは、容易なことではありません。脇目もふらずに必死で勉強した4年間でした。

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Profile

coba

18歳でイタリアに留学。ヴェネツィアのルチアーノ ・ファンチェルリ音楽院アコーディオン科を首席卒業し、数々の国際コンクールで優勝。以来、ヨーロッパ各国でCDをリリースし、チャート1位を獲得など国境を越え世界の音楽シーンに影響を与え続けている。15年以上に渡り恒例化しているヨーロッパ・ツアー、さらにはビョークのワールド・ツアー参加など、今や日本を代表するアーティストとしてその名を世界に轟かせている。常にハイ・クオリティなサウンドを追究する作品は国内外で高い評価を得ており、アコーディオンのイメージをポップ・ミュージックの世界で大きく変えたその音楽は、今や"coba"というひとつの音楽ジャンルになったとも言われる。映画、舞台、テレビ、CM音楽をプロデュースし、演奏家やオーケストラへの委嘱作品を手がけるなど、作曲家としても多くの作品を生み出している。

オフィシャル・サイト:
http://www.coba-net.com/index.html

Information

■CD
『旅する少年 stay gold』

11月10日リリース
BOSC-0002
¥3,000

『mania coba complete』(4枚組/SHM-CD)

TOCT-95061
¥8,000

『僕のエレキュート』

BOSC-0001
¥3,045

■LIVE
『世界3大アコーディオニスト・ヨーロッパ公演』

10/5(火)イタリア・ローマ
10/7(木)イタリア・カステルフィダルド

『ローランドVアコーディオン・コンテスト』

10/15(金),16(土) イタリア・ローマ

『The 308th Yatsugatake Kogen Salon Concert coba アコーディオン・ナイト』

10/31(日) 八ヶ岳高原音楽堂

『ガンガラーの谷 presents 魂の音楽祭 マブイオト vol.2』

11/20(土) 沖縄・ガンガラーの谷ケイブカフェ

『coba×東儀秀樹~レジェンド・ナイト~』

11/28(日) 東京・大田区民ホールアプリコ

『サイトウキネン・フェスティバル 武満メモリアル・コンサート』

12/17(金) NYカーネギーホール
12/19(日) カルフォルニア・オレンジカウンティ

『coba Live 2011 旅する少年 stay gold』

2011年1月 東京・名古屋・大阪・広島で開催予定

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。