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Vol.47:松武秀樹(Logic System)&清水信之

80年代初頭に、YMO第4のメンバー、そして自身のユニットLogic Systemとして世界の音楽シーンに衝撃を与えた男、松武秀樹。時を同じくして、大貫妙子やEPO、飯島真理らの作品で極上のジャパニーズ・ポップスを作り上げた男、清水信之。この盟友による、奇跡の対談が実現した。シンセサイザー・ミュージック創生期を支えた2人に、シンセサイザーの過去・現在・未来を語ってもらおう。

どちらのアルバムも、シンセサイザーを使って
考えられることを全部やった

─ 昨年、お2人のアルバムが相次いでリリースされましたが、まずは清水さんも参加されたLogic Systemのライブ・アルバム『Electric Carnaval 1982_Logic System』のお話しから聞かせてください。

清水:これはね、「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ(エリック・クラプトンが在籍していたクリームの名曲)」をテクノでカバーしてるっていうのが笑えるんですよ(笑)。

松武:ドラムはもちろん打ち込みで、「歌はどうするんだ?」って言ったら「じゃあ、ボコーダーで」って(笑)。ローランドのVP-330を使ったんですよ。あれは、リアルタイムで弾きながら歌ったんだっけ? それともCVを使ってメロディは演奏させたんだっけ?

清水:あれは歌った。メロディは......。

松武:(アルバム・ジャケットを指さしながら)そうだ、事前にこれ(モジュラー・シンセ)で作って打ち込みで鳴らしたんだった。ベースとかパーカッションとか、効果音も作って。だってこのライブ、僕と(清水)信之と、あと(大村)憲司(Gt)の3人だけだったからね。バンド・スタイルの演奏をするのに、ドラム&ベース・レスで、キーボーディストとプログラマーがステージにいるっていう(笑)。1982年のことですよ。

─ 非常に貴重な音源であることはもちろんですが、アナログ・シンセサイザーのサウンドがとても刺激的で、今の時代には斬新に感じられました。

松武:ライブ音源自体は随分と前に発見されていたんですけど、リリース目的で録音したものではなかったので、そのままではとても公開できるような状態ではなかったんですよ。音質に問題があって、例えばシンセ・ソロになると「ドカーン!」って、もうギターと闘っているような音だったんです(笑)。でもそれを、何とか手直しを施すことで、ようやくリリースすることができたんです。

─ シンセ・ソロと言えば、ライナー・ノーツによると、清水さんはショルダー・シンセをお使いになって、大村さんのギターとバトルを繰り広げたそうですね(笑)。

清水:そうそう。シンセにディストーションをつなげて、ギターみたく歪ませて。もうどっちがギターで、どっちがシンセか分からないような音で弾いてました(笑)。

松武:その当時、僕らが考えられる「シンセサイザーを使った最高のパフォーマンス」をライブでやったんですよ。シンセサイザーを使うっていうことは、こういうことなんだっていう最大限のことですね。でも、お客さんは「何やってんだ!?」って、ポカーンとして観てたけどね(笑)。

清水:そもそも、みんなは大貫妙子さんのコンサートを観に来てたんだからね(注:このライブは、青山学院大学の学園祭で3部構成で行われた"大貫妙子プレゼンツ"公演の第2部で、バック・メンバーであった松武氏、清水氏、大村氏、そしてゲスト出演の加藤和彦氏が"Logic System"として行ったステージであった)。

松武:そんな状況の中で「(コンピューターを)ご家庭に1台どうでしょうか?」とかMCで言ってるし(笑)。

清水:そこから「サンシャイン・オブ~」が始まるんだよね。もう、まったく整合性が取れてないメチャクチャなライブですよ(一同爆笑)。

─ (笑)。このライブが1982年で、昨年復刻された清水さんのアルバム『エニシング・ゴーズ』も、同じ年の作品なんですよね。

清水:そういう意味では、これ(『エニシング・ゴーズ』)も、シンセサイザーを使って考えられることを全部やったアルバムと言えますね。

松武:そうだよね。これってさ、レコーディングにどのくらい時間をかけたんだっけ?

清水:3ヶ月くらいやってたと思うな。

松武:そんなに長かった?(笑)

清水:毎日やってたよ。しかもね、今だから話せるけど、そんなに予算をかけられないじゃない。だから、普通のアレンジとかの仕事でレコーディング・スタジオに入って、それが長引いたって嘘を言って、そのままスタジオに残って自分の作業をしたりもしてたんだよ(笑)。

─ その逸話は、カットしなくて大丈夫ですか?(笑)

清水:もう時効だから、大丈夫(笑)。でもさ、そういう実験ってスタジオのエンジニアも喜んで一緒にやってたよね。「清水さん、黙っておきますから、やりましょう」って(笑)。

松武:そうなんだよ。すべてが実験だったからね。この時代のレコーディング、特に僕らのようにシンセサイザーを使ったレコーディングって、もう何が起こるのか、僕らですら分からなかったんですよ。だから、こういう打ち込みにトライしてみたい、こういう音作りのアイデアを実験したいって、みんなが協力してくれたよね。細かいことを言えばさ、シンセサイザーには、どのリミッターが、どの周波数でかかるのかとか、そういうことって、やっぱりエンジニアも知りたいから。僕もイコライザーを3段くらい重ねて音を作ったり、もうムチャクチャなことを随分とやりましたよ(笑)。

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Profile

松武秀樹

1951年生まれ。作曲家/編曲家/プロデューサー/シンセサイザー・プログラマー/ミキサー。20歳から冨田勲氏のアシスタントとなり、1974年エム・エー・シーを設立。1978年~1982年にかけて、サウンド・プログラマーとしてYMO作品に参加し、数々の伝説的なレコーディングを経験。また、ワールド・ツアーを含めたYMOライブにも帯同し、通称"タンス・シンセ"と呼ばれる巨大シンセを操りながら世界に大きな衝撃を与え「YMO第4のメンバー」と称された。1981年には自身のユニットである“Logic System”を結成し、現在までに15枚のアルバムを発表。海外でもリリースを果たす。2011年に入り再びLogic Systemの活動を活発化させると同時に、エレクトロニック・ミュージック、シンセサイザー・ミュージックにフォーカスを当てた新レーベル「MOTION±(モーション・プラス/マイナス)」を始動させる。

オフィシャル・サイト:
http://www.music-airport.com/logic-system/

清水信之

1959年生まれ。作編曲家/プロデューサー/キーボーディスト。ギタリストとしても知られるマルチ・プレイヤー。幼少期よりピアノを習い、高校時代に後輩であったEPO(Vo)、佐橋佳幸(Gt)らとバンド活動を行うかたわら、ミュージシャン松岡直也氏に師事。高校を卒業するとスタジオ・ミュージシャンとして活動を始め、1980年にアルバム『コーナートップ』でデビュー。以降、大貫妙子、EPO、飯島真理、稲垣潤一らのアルバムでサウンド・プロデュースを務め、80年代初頭の名作を次々と生み出す。現在もゴスペラーズや中島美嘉などの編曲を手がけ、第一線で活躍中。昨年9月、1982年に発表された2ndソロ・アルバム『エニシング・ゴーズ』が、28年振りにSHM-CDとして復刻された。

Information

■CD
Logic System
『Electric Carnaval 1982_Logic System』

EGDS-50
¥2,160

Logic System
『RMXLOGIX(with special tracks)』(5/18発売)

DQC-9012
¥1,365
※iTunes Storeにて先行配信中

清水信之
『エニシング・ゴーズ』

EGDS-52
¥2,625

■LIVE
Logic System
『FREAKS MUSIC FESTIVAL'11』

5/7(土) さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。