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mnavi Interview
> Vol.53:おおはた雄一

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ボーカリストが歌いやすいように、
呼吸を感じながら、一緒に歌うような気持ちでプレイしている

─ おおはたさんは、永積さんや、坂本美雨さん(“おお雨”というユニットで活動中)など、実にさまざまなタイプのミュージシャンとセッションされていますが、相手によって自分のプレイを変える部分、または変えない部分を教えてください。

おおはた:相手によって変えない部分は、ボーカルの人が気持ちよく歌えるようにプレイするという点ですね。それも、ボーカリストに後ろから付いていくというよりは、もっと歌いやすいように、呼吸を感じながら、一緒に歌うような気持ちで弾くというイメージです。そこは、相手に関わらず同じですが、例えば(坂本)美雨ちゃんの声だったら、意外ですけど、アコースティックよりもエレクトリック・ギターの方が合うので、どの楽器を弾くか選んだりだとか、そういう部分ですね。野外フェスでも、アコースティック・ギターの方がマッチしやすいように感じますけど、実は自然すぎて音が抜けなかったりして。エレクトリック・ギターをアンプで鳴らして、音を広げた方が演奏が映えたりするんですよ。そういうことは、常に気にしていますね。あとは、そのチームのムードですよね。HEATWAVEでギターを弾く時は、このバンドって“めんたいロック”の男の世界みたいな感じだし、YO-KINGさんのバンドでやる時は「上手く弾かないで」って言われるし(笑)。タカシくんと一緒の場合は、いかに歌の合間に添って合いの手を入れていくか。あと最近は、「いかに音を抜いていくか」ということをテーマにしています。

─ 音を抜くというのは?

おおはた:僕は1人でやることが多かったので、ついつい自分ですべてを完結させがちなんですね。コード弾きだったら、6本の弦を全部鳴らすとか。でも、キーボードやホーンもいるようなセッションだと、自分は1音や2音でいいんだっていう場合があって、自分のチャレンジとして3本の弦だけでギターを弾いたりするんです。そういう部分は、タカシくんにすごく教わりました。究極は、イントロとアウトロだけギターを弾いて、あとはシェイカーを振ってたり(笑)。先日のライブでは盛り上がり過ぎて、シェイカーを振ったままアウトロを弾き忘れて(一同爆笑)。あれは恥ずかしかったですね(笑)。

─ (笑)。11月12日には、大阪でおおはたさんの自主企画『Osaka Song Book』、そして翌13日は岡山で、いずれも芳垣安洋さん(ROVO、Orquesta Nudge! Nudge!)とのライブを行われるそうですが、芳垣さんとは、いつごろから一緒にセッションをするようになったのですか?

おおはた:美雨ちゃんのレコーディングで、一緒になったのが最初でした。もちろん芳垣さんのことは知ってましたけど、実際に生のプレイを観るのはその時が初めてで。とにかく、芳垣さんの音色が素晴らしくて、一緒にやってもらえませんかという話をしたのが、3年ほど前のことです。芳垣さんとセッションする時は、まったく何も決めないで、僕が思い付きで弾いたプレイに芳垣さんが合わせてくれるという感じなんですよ。ベースがいたりすると、やっぱりキーをどうするだとか、最低限の打ち合わせが必要になりますけど、芳垣さんと2人であれば、まったく何も決めなくてもいけるんです。たまに芳垣さんが困った顔をしてたりしますけど(笑)、2人のデュオならではの楽しさがありますね。

─ おおはたさんと芳垣さんのセッションの様子は『LIVE at 新宿PIT INN 2011.06.21』で聴くことができますが、このライブでも面白い試みをされたそうですね。

おおはた:この時はステージではなく、客席の真ん中で向き合って演奏したんですよ。僕らが会場入りした時に、まだ昼の部の人たちがライブをやっていて、それを観てたんです。結構、シリアスで真面目な感じのジャズだったんですけど、僕は「そういうもんなのかな」って聴いてたんですけど、芳垣さんが「オレたちは、真ん中でやろうよ」って言い出して。もちろんモニターとか、音的には決してやりやすい環境ではなかったんですけど、それでも芳垣さんはワクワクしたいっていうことを常に求めていて、すごく柔軟な人で、本当に自由度の高い人だなって感じました。

─ 11月のライブもフリーな感じで行われるのですか?

おおはた:それすらもまだ決まってないんです(笑)。逆に、2人でガッツリと決め込んでやるのも面白いと思いますけど、やっぱり、その時の気分でしょうね。絶対、その方がいいんですよ。タカシくんもそういうタイプで、ステージでも突然「オリビアを聴きながら」を歌い出したり(笑)。でも、それが嬉しいというか。「いろいろと歌いたくなっちゃってるんだな」と思うと、「もっとやれ!」って感じたりもするんですよ。そうすると、やっぱりいい演奏ができてるなって感じることは多いですね。

音楽や楽器って、人とコミュニケーションするにはすごくいいですし、もちろん、自分1人で楽しむにも、すごくいいものじゃないですか。“嗜み”と言ってもいいと思います。誰に聴かせるわけでもない音楽ってあると思うんですよ。上手いとか下手とか関係なしに、自分のために演奏する音楽。そういう喜びもあるし、練習することでそれまで弾けなかったフレーズができるようになるということに快感を覚える人もいるでしょう。どちらであっても、どんどんやった方がいいと思うんですよね。みんな、もっと音楽をやって欲しいなと思っています。

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Profile

おおはた雄一

1975年茨城県生まれ。ブルースやフォーク・ミュージックをルーツとするシンガー・ソング・ライター、ギタリスト。2004年に1stアルバムを発表し、現在までに5枚のオリジナルアルバムをリリース。代表曲「おだやかな暮らし」は、クラムボンや坂本美雨など多くのアーティストにカバーされている。自身の活動に加え、映画音楽、プロデュースや楽曲提供、CM音楽、レコーディング・セッションでも数多くの作品に参加。最近では、ハナレグミのツアーへの参加や、坂本美雨とのユニット「おお雨」、ドラマー芳垣安洋(ROVO)とのデュオ、山口洋(HEATWAVE)とのデュオなども行い、ジャンルの枠も国境も飛び越えて多彩な活動を展開中。

オフィシャル・サイト:
http://yuichiohata.com/

Information

CD

『光を描く人』

COCP-36046 ¥3,150

『トロピカル コンピューター』(カバー・アルバム)

GES-14317 ¥1,575

配信

芳垣安洋×おおはた雄一
『LIVE at 新宿PIT INN 2011.06.21』

DSD+MP3(320kbps)バージョン
HQD(24/48khz WAV)バージョン
いずれも¥1,500
OTOTOYより配信中

LIVE
『Osaka Song Book vol.3』

11/12(土) 大阪・梅田シャングリラ

『おおはた雄一×芳垣安洋 LIVE at 城下公会堂』

11/13(日) 岡山・城下公会堂

『畠山美由紀ソロ・デビュー10周年 LIVE“Fragile”』

11/17(木),18(金) 東京・キリスト品川教会 グローリア・チャペル

『武満徹ソングブック・コンサート』

11/19(土) 東京・めぐろパーシモンホール

『おおはた雄一弾き語りLIVE“Show Time!”』

11/22(火) 横浜・Thumbs Up

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。

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