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mnavi Interview
> Vol.56:土屋礼央(TTRE)

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音楽は僕の人生の軸だけど、全体の20%くらいかもしれない。その20%を人にどう伝えると面白いのか、そこを考えることが好きなんです

─ 改めて3月にリリースされるTTREの1stアルバム『humour』について伺いますが、楽曲のバリエーションがとても広い作品ですね。

土屋:自分にはこういう可能性があるんだっていう冒険、散策をした感じですね。その中で、裏テーマは「愛とユーモア」。愛があって、そこにユーモアがプラスされていれば、ジャンルがどうであれ、すべてが土屋礼央らしく、TTREらしくなるんじゃないかと。だから、これまでに配信リリースした楽曲も、一見バラバラに感じるかもしれませんが、その時々で「今回はこれ」というものがあるんですよ。

─ バンドではなく、自分のために曲を作るということで、これまでのRAG FAIRやズボンドズボンでの曲作りとは、考え方や手法に変化はありましたか?

土屋:曲の作り方自体は変わってませんが、バンドの時は、プロデューサー的に「こうした方がいい」という提案をすることが多かったんです。6人いるなら、6人が一番活きる方法を考えたいし、6人で何ができるかという点に関しては、自信もあって。それをね、巧みな話術で「こうだから、これが一番いいんだ」ってメンバーに話すと、みんなも「そんな気がしてきた」ってなってくれたり(笑)。でもTTREは、あくまでも自分の可能性を探るという目的があるので、自分からはアイデアを提示しますが、TTREチームからのダメ出しを受け入れるようになりましたね。

─ 普通は、ソロになると「100%自分の思い通りに」と考えると思いますが、逆に周りからのダメ出しを受け入れるようになったのは、どうしてですか?

土屋:バンドの時は、6人でどう楽しめるかを考えてたんです。それが今は、“土屋礼央”を、TTREチームで楽しんでもらおうという感覚なんです。だから、例え自分にない発想が提示されても、それはチームのみんなが“土屋礼央”というオモチャで遊ぶために考え出したものだから、きっと正解であるはずだと考えたんです。それならば、自分はその期待に応えられるように努力しよう、と。だから、TTREチームの「人の配置に責任を持った」という感覚ですね。まあ、「何でこんなにダメ出しをくらわなきゃいけないんだ」って、何度も心が折れそうになりましたけど(笑)、結局、失敗しても自分の責任ですから、チャレンジできるんですよ。最後は自分でケツが拭ける、それがソロなんですね。

─ 実際に、これまでの自分であれば生まれなかったと思うような楽曲はありましたか?

土屋:一番は、TTREとして最初に配信した「what color ?」でしょうね。そもそも、自分の声を加工するなんて、以前は考えたこともなかったですし、むしろマイナスと思ってましたから。実際、最初にこの曲を録った時は「TTREの1曲目がこの曲でいいんだろうか?」とも思ったぐらいで。

─ それをあえて取り入れた理由は?

土屋:この10年間でたくさん曲を書いてきて「自分はこうだ」というものが見えてきた反面、音楽的な幅が狭まってしまっているようにも感じたんです。それを打開するために、まさに振り切った曲にしようと思ったんです。歌をエディットしようというアイデア自体は、プロデューサーの近田潔人(以下、コンちゃん)によるものです。僕はずっとコンちゃんのアレンジが好きで、今回は「彼と腹をくくる」という部分に、まず責任を持ったわけです。いくら自分がいいと思っても、コンちゃんがNOであれば、それはNO。自分が「絶対にいい」と思うものでも、押し通さないと決めたんです。だから、制作そのものはすごくシンプルでしたよ。自分で決めたことですからノー・ストレスですし。まあ、スタッフからは怒られてばっかりでしたけどね(笑)。

─ (笑)。そこまでしても、やり切れた要因は一体何なのでしょうか?

土屋:やっぱり、人を「もてなしたい」ということですね。自分のアイデアで。音楽は僕の人生の軸ですけど、全体の割合で言うともしかしたら20%くらいかもしれない。その20%を、人にどう伝えると面白いのか。そこを考えることが、他の人よりもダントツに好きなんです。よく、CDショップの1日店長とかあるじゃないですか。もしできるなら、僕はそのお店の売上を増やすための1日店長がやりたいくらい(一同爆笑)。こういう話をすると、「じゃあ、曲がなくてもいいのか?」ってよく言われるんですけど、それはまたちょっと違うんですよ。

僕はいつもレストランに例えるんですが、料理の美味しさって、舌で感じるのは30%程度で、大半は、料理の香り、見た目、店長の振る舞い、ウェイターの気配り、レストランの外装、そういったところから美味しさを感じるわけです。それであれば、自分の作品をより美味しく食べてもらうために、僕は食材の説明をこと細かに、しかも1万人のお客さんに対して1万通りの方法で説明したいんです。つまり、サービス過剰なわけですね(笑)。ただ、そこに料理がないと、レストランは成り立たない。だから自分で音楽を作るし、自分の曲に愛情があれば、どういう風に言われても「いや、ちょっと待ってください。この料理の本当の魅力は……」って説明できるわけです。わずか20%ではあるんですけど、その音楽は自分で生み出したいという気持ちが強いわけです。それと、「最後は歌って終わる」ということは自分の中で決めています。たとえ2時間ずっとトークをしていても、最後は歌で締めくくることで、自分の中でカッコつけたい。音楽で終えることで、僕は自分のプライドを保てるというか。

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Profile

土屋礼央(TTRE)

1976年9月1日生まれ。東京都国分寺市出身。6人組男性アカペラ・ボーカル・グループ“RAG FAIR”の一員として、2001年にミニ・アルバム『I RAG YOU』でデビュー。インディーズ・バンド“ズボンドズボン”のボーカルとしても活動し、以後、音楽のみならずテレビ、ラジオ、出版とさまざまなメディアで活躍。その一方で、スマートフォン・アプリ制作など、多彩な才能を発揮する。鉄道ファンとしても有名。2011年3月をもってRAG FAIR、ズボンドズボンの活動休止を発表し、2011年6月にソロ・プロジェクト“TTRE”として活動を開始。毎月1曲を配信リリースし、今年3月21日に1stアルバム『humour』を発表。東京と大阪でワンマン・ライブが予定されている。

オフィシャル・サイト:
http://ttre.jp/

Information

CD

『humour』

(2012年3月21日発売)

LIVE
『humour live』

3/23日(金) 渋谷O-EAST
3/25日(日) 大阪・umeda AKASO

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。

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