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mnavi Interview
> Vol.56:土屋礼央(TTRE)

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音の高低や強弱がサーモグラフィ的に見えるのがとてもいい。耳コピーが簡単にできるので超助かります

─ 今回、音楽をビジュアル化して直感的に分かりやすくリアルタイム・コントロールができるソフトウェア「R-MIX」を試していただきましたが、実際に使った感想はいかがでしたか?

土屋:2ミックス、つまりCDの状態から特定のパートだけを抜き出せたり、逆にボーカルを取り除いてカラオケにしたりといったことが簡単にできるというのは面白いですね。特に僕は“耳コピー”が下手なので、ベース・パートをコピーして練習するとか、ものすごく時間がかかるんですよ。この耳コピー機能は、超助かりますね。そもそも、音の高低や強弱がサーモグラフィ的に見えるというとこが、とてもいいと思います。

▲写真1:R-MIX

これだけ音楽をビジュアルで見せてくれると、歌にしても楽器にしても、どの音域が気持ちいいのかとか、EQ的なことも、結果的に意識するようになるでしょうね。こうやって曲を分析できるというのは、すごく勉強になります。以前だったら、ある曲を勉強しようと思ったら、その曲の楽譜を買ってくるしかありませんでしたけど、今ではR-MIXを使えば、CDさえあればこうやって楽曲の分析ができるわけですからね。それこそ昔、僕が初めてドラムを聴いた時に、感覚的にスネア・ドラムやバス・ドラムの音色を理解していたことが、もっと明確に「ハイハットはこのあたりの帯域で鳴っている音色で、このタイミングで入っているんだ」ということが視覚的に分かるわけですから、好きな曲に近い感じで自分の曲を作りたいという人にも、すごく役立つと思います。ただ「土屋の歌だけ聴いてみたら、これはちょっと……」って言われると非常に辛いんですけど(笑)、今の僕のように、音楽を勉強したいという人には、こんなにうれしいものはないですよ。いやぁしかし、これまで「2ミックスにしちゃえばこっちのもんだ」と思ってましたけど、2ミックスの素材からでも、こんなにいろいろといじれちゃう時代になったんですねぇ(笑)。

─ (笑)。さらに、独自のVariPhrase技術によって、音質を損なわず、リアルタイムにピッチやテンポを簡単に変えることが可能です。

土屋:僕はいつも夜中に曲を作るので、大きな声が出せなくて、裏声で歌ったものを後からキーを下げて、気持ちのいい音域を探すんです。だから、DAWソフトでピッチ変更処理をして、聴いて、また処理して……と、すごく時間がかかるんですが、これならリアルタイムで簡単にいろんなキーを試せるので、とても楽そうですね。

─ ほかにも、例えばオケをバックに歌う際に、その場の雰囲気によってリアルタイムにテンポを変えるなんてことも簡単に行えます。

土屋:なるほど! ラジオの公開録音で、「今日は風邪気味なので少しピッチを落として歌おう」っていうようなことが、その場ですぐに成立させられちゃうわけですね。R-MIXをマネージャーに持たせておきたいです(笑)。マネージャー判断で「今日はイマイチだから、テンポを上げてノリで押し切らせよう」とか(笑)。

─ トークで時間が押してしまったら、歌はテンポ早めで時間内に収めよう、とか(笑)。

土屋:ははは! 最終的に2秒巻いて、ギリギリでCMに間に合ったとか。それはいいですねぇ(笑)。ユーモアたっぷりで、しかも、簡単だというのがいいと思います。こういうものって、初めて使う人にとっては、ある程度の縛りがある方が楽なんですよ。「何でもできる」って、意外と困りもので、自由すぎてどこから始めていいか分からない。ある程度は囲まれていて、テンプレート的なものを選びつつ、それで十分に「自分がやっている」という気持ちになれるというのが、すごく好きです。モンゴルの広大な大地でワーッて走り回ってるけど、実は枠の中で安全だっていう感じ(笑)。柵がなかったら、意外と怖くて動けませんからね。そういう使いやすさがあると思います。あと、日本語表示はすごくうれしい。最近はもう、すべての表示が世界基準で、当たり前に「英語、分かりますよね?」って感じですからね。

─ 画面上部のメニューは作業手順に沿って並んでいますし、画面右下には、説明画面も表示されるので、初心者の方でも迷わずに操作できるようになっています。

土屋:素晴らしい! いやいや、これはまさに僕が目指している「おもてなし」の心ですよ。いいですねぇ。DJの方が使っても楽しそうですし、カラオケ機能を使って音源と自分の演奏をミックスしてオリジナルを作ろうという作業にも最高だと思います。

─ 選択窓の中だけにエフェクトをかけることもできるので、2ミックスの状態からボーカルだけにエフェクトをかけることができます。また、ノイズの除去もスライダー操作で簡単に行えるので、例えば、ポータブル・レコーダーのR-05でフィールド・レコーディングを行って電車の音を録った際に、後からR-MIXで風切り音の成分だけを消すといったことも可能です。

土屋:そんなことまでできるんですか。まあ電車の音に関しては、風切り音があった方が臨場感が出て、いい場合もあるんですけどね(笑)。でもエフェクトに関しては、音楽的に使えば、ちょっとしたリミックス的なことも楽しめますよね。以前、タモリさんが「音楽を自分でミックスをしたいんだ」って言ってたんです。今はCDが売れない時代ですけど、その話を聞いて、僕は“ミックス違い”に未来を感じたんです。初回盤限定でジャケットが2種類とかって言われると「おいおい、ジャケットかよ」って思うんですけど、ミックス違いなら、音楽的だし、納得できるじゃないですか。理にかなってるというか、聴いてみたくなる。それに、例えばリスニング環境別のミックスがあってもいいと思うんですよ。自宅用ミックスだとか、車用ミックス。それに近いことが、一般のリスナーが遊び感覚で楽しめるというのは、すごく面白いと思います。

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Profile

土屋礼央(TTRE)

1976年9月1日生まれ。東京都国分寺市出身。6人組男性アカペラ・ボーカル・グループ“RAG FAIR”の一員として、2001年にミニ・アルバム『I RAG YOU』でデビュー。インディーズ・バンド“ズボンドズボン”のボーカルとしても活動し、以後、音楽のみならずテレビ、ラジオ、出版とさまざまなメディアで活躍。その一方で、スマートフォン・アプリ制作など、多彩な才能を発揮する。鉄道ファンとしても有名。2011年3月をもってRAG FAIR、ズボンドズボンの活動休止を発表し、2011年6月にソロ・プロジェクト“TTRE”として活動を開始。毎月1曲を配信リリースし、今年3月21日に1stアルバム『humour』を発表。東京と大阪でワンマン・ライブが予定されている。

オフィシャル・サイト:
http://ttre.jp/

Information

CD

『humour』

(2012年3月21日発売)

LIVE
『humour live』

3/23日(金) 渋谷O-EAST
3/25日(日) 大阪・umeda AKASO

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。

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