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Vol.60:岡崎英美(サカナクション)

現代の最重要バンドのひとつとして、ロック・シーンのみならず、各界から注目を集めているサカナクション。その個性的なサウンドの一端を担い、ロック・バンドのキーボーディストとしてひとつのスタイルを確立しつつある岡崎英美に、5月30日にリリースされた新曲「僕と花(関西テレビ・フジテレビ系ドラマ『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~』主題歌)」のサウンド・メイク術を披露してもらった。それと同時に、Fantom-Gを愛用する彼女に、最新フラッグシップ・モデルJUPITERシリーズを試奏してもらい、シンセの魅力や面白さについて、じっくりと話を聞いた。音楽ファン、そしてシンセ・ファン必読の、貴重なインタビューだ。

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「僕と花」のメロディは懐かしさを感じる美しさ、「ネプトゥーヌス」は和音階的なエモーショナルな美しさがある

─ 新曲「僕と花」の制作は、いつごろからスタートしたのですか?

岡崎:動き出したのは2月半ばで、レコーディングは3月に行いました。毎回、新しいものを作ろうと考えていますが、特に今回はテレビドラマの主題歌というお話をいただいて、 “新しい挑戦”という意識が強かったです。これまで以上に、たくさんの方に聴いていただけるドラマ主題歌を「サカナクションが作るとこうなるんだ」という部分で、自分たちが納得できて、しかも、みなさんに「いい」と感じていただける作品に仕上げるために、ものすごくいろいろなことを考えて作りました。

─ そうして完成した「僕と花」は、必要最小限の音数で構成されていて、メロディのよさや、選りすぐられた音色の存在感が非常に際立っていますね。

岡崎:(山口)一郎くんが曲を持ってきた段階で、「メロディが美しい曲だな」と思ったと同時に、「この曲はシンセが重要だな」と感じたんです。上モノで曲に何か色づけを加えていくのではなく、シンセでメロディを最大限に活かすにはどうしたらいいかということを考えました。

─ 冒頭のディレイのかかったピアノは、とてもシンプルですが、山口さんが歌うインパクトの強い歌詞と相まって、十分すぎるほど“サカナクションらしさ”が伝わってきますね。

岡崎:ピアノやエレピで始まる曲は、1stアルバム(『GO TO THE FUTURE(2007年)』)や2ndアルバム(『NIGHT FISHING(2008年)』)にも何曲かあって、私自身も好きなスタイルなんです。歌とコード進行、最小限のリズムだけで、パッと聴いた瞬間にリスナーに“サカナクションらしさ”を感じてもらえる1つの要素だと思っています。だからこそ、今回も和音の感じはそのままで、いろんな音色を試してみて、その結果、ピアノになったんです。実際にドラマを見て、この曲が流れてくるのをドキドキしながら聴いた時に、「ピアノにしてよかった」って思いました。

─ 以前に、「ピアノ音色も1曲ごとに細かく質感を変えている」というお話を伺ったことがありますが、新曲ではどのようなイメージでピアノの音色を決めたのですか?

岡崎:実はこのピアノ、Fantom-Gの内蔵音源で作った音色なんです。最初はソフト・シンセを使って、アップライト・ピアノ風の音色を作っていたんですよ。ちょっとこじんまりした、少し古めのニュアンスで曲を始められたらと思って。でも、アップライトっぽいピッチのズレ感や、柔らかさを出していくと、少し音に色付け感が出すぎてしまったり、ダンサブルさに欠けてしまったんです。個人的には好きな音色だったんですが、曲が目指す方向性とは違ってしまって。それで、ライブ用にFantom-Gにプログラムしているピアノ音色をいくつか試してみて、その中で、確か「years」のライブ用にエディットしていたピアノ音色をベースに、そこからさらに音を微調整していきました。大元は、リッチなグランドピアノの音色で、レンジの広さはそのままに、きらびやかさよりも、ちょっと“夜”のイメージでエディットした音なんです。あと、中間部分の後で出てくるオルガンも、Fantom-Gの音なんですよ。

─ そうなんですか! そもそも、サカナクションの楽曲でオルガンを使うというのも珍しいですよね?

岡崎:1度、「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」でオルガンを使って、その時にちょっと味をしめました(笑)。「『バッハ~』」のレコーディングでは実機を弾いて、今回も最初は実機をお借りしたんですが、最終的に曲の質感に合ったのが、Fantom-Gのロータリー・エフェクトがインサートされた音色だったんです。

─ 1つ1つの音色の個性が前面に押し出されている「僕と花」に対して、カップリング曲「ネプトゥーヌス」は、1曲を通してすべての音色が絡み合いながら、じっくりと曲の熱量が上がっていく世界観がとても美しく、シンセの使い方も対照的ですね。

岡崎:最後にピークがくる曲ですよね。この曲も、一郎くんの弾き語りで最初に曲を聴いた時に、メロディのよさがすごく印象的だったんです。2曲とも“美メロ”なんですけど、ちょっとタイプが違っていて、「僕と花」のメロディは、どこか懐かしさを感じる美しさなんですが、「ネプトゥーヌス」は、和音階的なエモーショナルな美しさがあるように私は感じています。ベーシックなアレンジは、スタジオでのセッションで作ったので、その感じも曲に表れていると思いますね。

─ 前作(『DocumentaLy(2011年)』)収録の「流線」や「ドキュメント」といった曲に通じるセッションならではの熱量を感じましたが、それらが緊張感みなぎる楽曲だったのに対して、「ネプトゥーヌス」は開放感があって、どこか讃美歌的な荘厳さを感じました。

岡崎:確かに、賛美歌っぽい側面がありますよね。合唱している部分の歌詞とか、決して明るい内容ではないんですが、オケがすごくエモーショナルなので、その“違和感”が生み出す独特な世界観があると思います。賛美歌ってコード的にはマイナーなんですけど、曲の展開が移り変わっていく中で、メジャーとマイナーのコードが入り組む感じがエモーショナルさや神聖さを生み出しているんじゃないかって思っています。

▲サカナクションのメンバー。左から、岩寺基晴(Gt)、江島啓一(Dr)、山口一郎(Vo/Gt)、草刈愛美(Bs)、岡崎英美(Key)。

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Profile

岡崎英美(おかざきえみ)

郷愁感溢れるフォーキーなメロディ、クラブ・ミュージック/ロックというさまざまな要素を混在させた独自のスタイルを持つロック・バンド“サカナクション”のキーボード担当。5月末には6枚目のシングル「僕と花」が発売されると共に、全9公演の規模での全国ツアー『SAKANAQUARIUM2012“ZEPPALIVE”』を開催する。

オフィシャル・サイト:
http://sakanaction.jp/

Information

CD

『僕と花』

VICL-36705 ¥1,200円

『DocumentaLy』 

初回限定盤A(CD+DVD)
VIZL-437 ¥3,500

DVD

『SAKANAQUARIUM 2011 DocumentaLy -LIVE at MAKUHARI MESSE-』(初回限定盤)

VIBL-633 ¥4800(DVD)
VIXL-101 ¥5800(Blu-ray)

LIVE
『SAKANAQUARIUM 2012 "ZEPP ALIVE"』

5/31(木) 札幌・ZEPP SAPPORO
6/5(火) 大阪・ZEPP NAMBA
6/6(水) 大阪・ZEPP NAMBA
6/8(金) 仙台・ZEPP SENDAI
6/12(火) 名古屋・ZEPP NAGOYA
6/13(水) 名古屋・ZEPP NAGOYA
6/15(金) 福岡・ZEPP FUKUOKA
6/18(月) 東京・ZEPP TOKYO
6/19(火) 東京・ZEPP TOKYO

『TAICO CLUB』

6/2(土)~3(日) 長野・こだまの森
(サカナクションの出演はいずれか1日)

BOOM BOOM SATELLITES Presents
『BRANDNEW CHAPTER -GARDEN OF DELIGHT-』

6/23(土) 東京・新木場STUDIO COAST

『FUJI ROCK FESTIVAL'12』

7/28(土) 新潟・苗場スキー場

『SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2012』

9/1(土)~2(日) 山梨・山中湖交流プラザきらら
(サカナクションの出演はいずれか1日)

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。

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