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mnavi Interview
> Vol.60:岡崎英美(サカナクション)

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音色だけでなく、演奏しながら音量も変化をつける。感情が盛り上がる場面なら、音量も上げたいんです

─ 「ネプトゥーヌス」のシンセは、プレイ面でどのような点を意識しましたか?

岡崎:アナログのポリフォニック・シンセを使って、フワッとしたシンセ・ストリングス的な音色で裏メロを弾いていますが、必要以上に“盛ろう”とは全然思いませんでした。ただ、何もしないと「きれいな曲」だけで終わってしまうので、リズムや動きを聴かせようと思ったんです。本当の讃美歌であれば、すべてをそぎ落として音階だけで聴かせることもできますけど、この曲でそれをやってしまうと“讃美歌そのまま”になってしまいますから。もちろん、リズムといってもダンサブルさという意味ではなくて、例えば、ゆっくりと歩いていたところから、少し大きめに歩幅が変わるくらいの気持ちよさを感じてもらえるような、動きのあるシンセです。これを入れたことも、“違和感”をぶつけるという意味では、大切なポイントだったと思っています。

─ 音色作りの面でも、かなり苦労されたのではないですか?

岡崎:最近、私は音色だけでなく、演奏しながら音量も変化をつけるようになったんです。例えばピアノという楽器は、弾いた瞬間から音量が減衰していきますから、演奏表現としては「ベロシティーで強弱を出す」という考え方ですよね。でも、弦楽器だとかサステインが長い音色をシンセで鳴らす時は、アーティキュレーションだとか、あとエクスプレッションの動きを細かく設定するんです。アタックがあって、そこからちょっと音量が下がって、後からグワッと盛り上がっていくとか。私はシンセを手弾きする際も、そういうことを演奏しながら手でコントロールしちゃうんです。ライブの現場では、音量を変えるとレベルが合わせにくかったりと難しい面もあるんですが、でも私は、感情が盛り上がる場面なら、音量も上げたいんです。ノッペリとした音が嫌なんですよ。だからシンセ・パッドでも、感情を表現したい時はプレイしながら少しずつ音量を上げたりしています。「流線」のライブ・バージョンもそうなんですよ。あの曲では、音量ではなくフィルターを閉じたり開いたりしているんですけど、曲のここでピークに持っていきたいから、フィルターは70%くらいから動かし始めるとか、自分の気持ちのいいところで止めるというようなことを、自分の身体でコントロールしています。今後は、ディレイだとかエフェクターも、リアルタイムにコントロールしていきたいと思っています。

─ 「シンセ・サウンドをエモーショナルにコントロールする」という感覚は、岡崎さんの中の、どのような部分から出てきたんでしょう?

岡崎:どこなんでしょうね? 私自身、完全に謎です(笑)。ただ、歌っている感覚に近いんじゃないかなって思います。サカナクションでは、コーラス・パートはありますけど、私はメイン・ボーカルではありませんから、感情を表現するアウトプットは“手”だけなので、おそらく、「歌うような気持ちで演奏している」ということなのかもしれません。実際に、私がソロを弾く時も、テクニカルさよりも、気持ちで弾くソロというか、いかにフレーズに感情を乗せられるかという点を大事に考えています。そもそも、上手く弾こうと思うと緊張して、どんどん硬くなって、演奏がメタメタになることが多いから、ということもありますけど(笑)。

─ (笑)。おっしゃるとおり、感情を音色や音量で表現することで、シンセが「スイッチを押せば音が鳴る機械」ではなく、「音楽的な楽器」として幅の広さを持つようになりますよね。

岡崎:そうですね。私は3~4歳の頃からピアノを始めましたが、ピアノだけを弾き続けていたら、ここまで表現力が広がらなかったと感じることはたくさんありますし、反対に、シンセを弾くようになったことで、ピアノの演奏に還元できた要素も相当あると思っています。シンセという楽器に対しては……私は、アナログ・シンセが大好きなんです。「このモデルと言えば、この音」という、言い換えれば「それ以外はできない」っていう、ちょっと不器用なところが自分自身と重なって、愛着が湧くという部分もありますが(笑)、そういった個性をしっかりと持っているからこそ、ビンテージのアナログ・シンセは、いまだに多くの人に愛されているんだと思っています。その一方で、Fantom-Gや、新しいJUPITER-80JUPITER-50といったシンセは、同時進行でいろんなことができるという、デジタル楽器ならではのメリットもすごく感じていて、現代のライブ形態を考えると、私にはどちらも必要だと思っています。

シンセって、ピアノと正反対の発想で生まれた楽器だと思っているんです。ピアノは、オーケストラの楽曲を「ピアノ」という1つの音色だけで表現しようとする楽器で、シンセは、オーケストラの個々の楽器の音色を1つ1つ、すべて作り出そうという楽器ですよね。シンセには、その面白さがありますし、「こういうことができる楽器」という大前提に加えて、「以前はできなかったことが、進化して可能になる」という点もシンセの大きな魅力で、私にとって欠かせない表現ツールです。音を加工して、自分の好きな音色でプレイする、その一連の作業が身体に染みついていて、相棒のような存在ですね。

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Profile

岡崎英美(おかざきえみ)

郷愁感溢れるフォーキーなメロディ、クラブ・ミュージック/ロックというさまざまな要素を混在させた独自のスタイルを持つロック・バンド“サカナクション”のキーボード担当。5月末には6枚目のシングル「僕と花」が発売されると共に、全9公演の規模での全国ツアー『SAKANAQUARIUM2012“ZEPPALIVE”』を開催する。

オフィシャル・サイト:
http://sakanaction.jp/

Information

CD

『僕と花』

VICL-36705 ¥1,200円

『DocumentaLy』 

初回限定盤A(CD+DVD)
VIZL-437 ¥3,500

DVD

『SAKANAQUARIUM 2011 DocumentaLy -LIVE at MAKUHARI MESSE-』(初回限定盤)

VIBL-633 ¥4800(DVD)
VIXL-101 ¥5800(Blu-ray)

LIVE
『SAKANAQUARIUM 2012 "ZEPP ALIVE"』

5/31(木) 札幌・ZEPP SAPPORO
6/5(火) 大阪・ZEPP NAMBA
6/6(水) 大阪・ZEPP NAMBA
6/8(金) 仙台・ZEPP SENDAI
6/12(火) 名古屋・ZEPP NAGOYA
6/13(水) 名古屋・ZEPP NAGOYA
6/15(金) 福岡・ZEPP FUKUOKA
6/18(月) 東京・ZEPP TOKYO
6/19(火) 東京・ZEPP TOKYO

『TAICO CLUB』

6/2(土)~3(日) 長野・こだまの森
(サカナクションの出演はいずれか1日)

BOOM BOOM SATELLITES Presents
『BRANDNEW CHAPTER -GARDEN OF DELIGHT-』

6/23(土) 東京・新木場STUDIO COAST

『FUJI ROCK FESTIVAL'12』

7/28(土) 新潟・苗場スキー場

『SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2012』

9/1(土)~2(日) 山梨・山中湖交流プラザきらら
(サカナクションの出演はいずれか1日)

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。

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