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mnavi Interview
> Vol.60:岡崎英美(サカナクション)

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リアルなアコースティック音色をシンセ・サウンドの中に1つレイヤーさせると、世界観が大きく広がる。JUPITER-50のスリムさや軽さも、とても重要

─ 今回、JUPITER-80とJUPITER-50の両モデルを試奏していただきましたが、どのような印象を持ちましたか?

岡崎:バイオリンやマリンバ、フラメンコ・ギターのアーティキュレーションなど、SuperNATURALアコースティック・トーンの表現力のすごさに驚きました。ブラス・セクションも、普通に鍵盤を演奏するだけで管楽器ならではのニュアンスが表現できるというのは、とても便利ですね。実際にバンドでも、私はベースとギターの間の音域をシンセで埋めたい時に、ホルンをパッド的に使うんです。「アドベンチャー」のシンセ・ブラスも、ホルンそのものではありませんが、そういう意図で音作りした音色です。パートの間を埋めたいけど「ストリングスだと、ちょっとキレイでゴージャスすぎるよね」っていう時に、ホルンの音色はすごく使いやすいんですよ。ギターのバッキングに負けない音の厚みもありますし。これがトランペットだと、和音で使うよりは、スパイス的にメインの音として使いたくなりますからね。その目的でホルンを選ぶ際も、吹き始めや音の切れ際のニュアンスで、生っぽいのか、シンセっぽいのかという差が出てきます。そういう意味でも、JUPITERのサウンドは、とても使いやすいと思いました。

それに、フルートの表現力もすごかったです。「Paradise of Sunny」ではフルートの音色を使っているんですが、単純に弾くと、それこそただの笛のように聴こえてしまうので、吹き始めは強くだとか、ニュアンスを付けるのが大変だったんです。でもJUPITERシリーズくらいに音の表現力があると、逆にいろんな奏法をマスターしたくなりますね。こういうリアルなアコースティック音色を、シンセ・サウンドの中に1つレイヤーさせるだけでも、音の世界観は大きく広がると思います。フルートの息を吹き込む成分を少し強調してシンセと混ぜると、ちょっとノイズっぽく聴こえて、音を抜けさせたい時とか、輪郭を少しモワッとさせたい時に効果的だと感じました。

─ SuperNATURALシンセ・トーンはいかがでしたか?

岡崎:「エンドレス」の後半だとか、パンチが欲しくて、少し下世話なサウンドで、なおかつ他のパートとバランスが取れる音が欲しい時に、私は「SUPER SAW」を使うんです。そのSUPER SAWが、Fantom-Gと比べると分厚さというか、密度感がアップしましたね。あと、アナログ・シンセだとサブ的に扱われているサイン波が、きちんとオシレーターに用意されているのが個人的に嬉しいです。私は、可愛らしい音を出したい時に、よくサイン波を使うんですよ。ちなみに「白波トップウォーター」では、ほとんど素のサイン波を使っています。JUPITERはSUPER SAW以外のビンテージ系オシレーターもすごく自然ですし、ローパス・フィルターだけでも4タイプのキャラクターが用意されているあたりも、本当に強力ですよね。

─ これらのSuperNATURALトーンは、JUPITER-80とJUPITER-50でまったく同じものが搭載されていて、フラッグシップ性をキープしながら可搬性を追求したモデルがJUPITER-50となっています。両モデルは、ライブ・セットなどの各設定に互換性もあります。

岡崎:楽曲制作だけを考えれば、母体としてJUPITER-80が一番いいということは十分に理解しつつ、ライブのことを考えると、持ち運びができるJUPITER-50のスリムさや軽さはとても魅力ですし、ライブ・メインのキーボーディストであれば、JUPITER-50を選びたくなる気持ちも、すごくよく分かります。JUPITER-80でレコーディングして、そこで作った音や設定をUSBメモリー経由で移植して、ライブではJUPITER-50を弾くことができれば、最高の贅沢ですよね(笑)。いずれにせよ、バンドでは、いろんな種類の音、しかもクオリティの高い音がすぐに出せるということはとても重要ですから、JUPITERシリーズのクイックさは、すごくいいと思いました。しかも、自分なりに「この音色なら、この感じ」といったエディットもしやすいし、そうして作った音をステージ上でスピーディに呼び出せるというのは、とても実用的だと思います。とにかく、1つ1つの音の表現力が、これまでのモデルから飛躍的にアップしていて、曲作りや演奏の際にイメージが掴みやすい音色が揃っているシンセだなと感じました。

─ ありがとうございます。では最後に、これからシンセを始めたいという読者に対して、「ここに耳を向けると、サカナクションの音楽と、シンセがもっと面白くなる」という、新曲でのシンセの聴き所を教えて下さい。

岡崎:楽器に詳しくない一般のリスナーの方だと、例えば「僕と花」の冒頭のピアノにディレイがかかっているということも、分からないと思うんですよ。「音がフワッとしている」とは感じてくれるとは思いますが、「ピアノがこだましている」というエコーの感覚は、説明されて初めて気が付くとことだと思います。しかも、そのディレイっていうエフェクターは、アコースティック・ピアノにかけるのは難しくて、シンセだから生み出せるフレーズだということを知ると、曲の聴こえ方も変わってくると思うし、シンセに対しても、少し興味を持ってもらえるんじゃないかって思っています。

─ ピアノでシンコペーションのフレーズを弾くのと、ディレイでシンコペーションの“こだま”を作り出すのとでは、そこから見えてくる“景色”が変わってきますよね。

岡崎:そうなんですよ。そういう聴き方をしていくと、音楽がもっと面白くなると思います。「ネプトゥーヌス」なら、右と左で常に同じ音色が鳴っているのではなく、ディレイで音像が左右に動いている部分があって、その効果は分かりやすいと思います。まずシンセが持っている音色があって、それをエディットして、そこにエフェクトを混ぜるミックス作業があって、最終的にマスタリングという工程を経て、初めてみなさんが聴いているCDのサウンドが完成するわけです。ですから、楽器をやっている人も、いろんな曲をコピーしてみて「どうして同じ音にならないのか?」「どうやったら、あの音色が作れるのか?」って考えていくと、音作りだったり、エフェクターの使い方だったり、音楽作りのもう一歩先が楽しめるようになると思います。

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Profile

岡崎英美(おかざきえみ)

郷愁感溢れるフォーキーなメロディ、クラブ・ミュージック/ロックというさまざまな要素を混在させた独自のスタイルを持つロック・バンド“サカナクション”のキーボード担当。5月末には6枚目のシングル「僕と花」が発売されると共に、全9公演の規模での全国ツアー『SAKANAQUARIUM2012“ZEPPALIVE”』を開催する。

オフィシャル・サイト:
http://sakanaction.jp/

Information

CD

『僕と花』

VICL-36705 ¥1,200円

『DocumentaLy』 

初回限定盤A(CD+DVD)
VIZL-437 ¥3,500

DVD

『SAKANAQUARIUM 2011 DocumentaLy -LIVE at MAKUHARI MESSE-』(初回限定盤)

VIBL-633 ¥4800(DVD)
VIXL-101 ¥5800(Blu-ray)

LIVE
『SAKANAQUARIUM 2012 "ZEPP ALIVE"』

5/31(木) 札幌・ZEPP SAPPORO
6/5(火) 大阪・ZEPP NAMBA
6/6(水) 大阪・ZEPP NAMBA
6/8(金) 仙台・ZEPP SENDAI
6/12(火) 名古屋・ZEPP NAGOYA
6/13(水) 名古屋・ZEPP NAGOYA
6/15(金) 福岡・ZEPP FUKUOKA
6/18(月) 東京・ZEPP TOKYO
6/19(火) 東京・ZEPP TOKYO

『TAICO CLUB』

6/2(土)~3(日) 長野・こだまの森
(サカナクションの出演はいずれか1日)

BOOM BOOM SATELLITES Presents
『BRANDNEW CHAPTER -GARDEN OF DELIGHT-』

6/23(土) 東京・新木場STUDIO COAST

『FUJI ROCK FESTIVAL'12』

7/28(土) 新潟・苗場スキー場

『SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2012』

9/1(土)~2(日) 山梨・山中湖交流プラザきらら
(サカナクションの出演はいずれか1日)

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。

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