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SYNTHESIZER V-Synth GT 第9回:V-Synth GT サウンド・メイク術 その8 〜魅惑のアナログ・オシレーター・サウンド〜 齋藤久師

皆さん、こんにちは! 齋藤久師です。番外編を含め、全9回に渡って連載してきましたV-Synth GTも今回が最終回です。そこで最後に、V-Synth GTの「アナログ・モデリング」の素晴らしさを皆さんに広く知っていただくために、すべての音色を「Analog OSC(アナログ・オシレーター)」のみを使って制作してみたいと思います!

現代のシンセサイザーは、数多くの音源方式を自由自在に選んで組み合わせ、多彩なパッチ(音色)を簡単に作り出すことができるようになりました。しかし、シンセサイザーがこの世に登場した当初は、シンセサイズの基本となるオシレーター波形は、電圧制御で発振させることで作り出されたサイン波や三角波、矩形波といったシンプルな波形に限られていました。

しかし、そこから生み出されるサウンドは、とても暖かくファットであり、サンプリング波形によるPCM音源ではなかなか得ることのできない、アナログ・シンセサイザーならではの響きを作り出していました。そんな、アナログ・シンセサイザー独自のサウンドが、最先端のデジタル・シンセサイザーV-Synth GTでも作り出せるのです。

V-Synth GTは、14種類ものアナログ・シンセの基本波形が完璧にモデリングされており、巨大なアナログ・モジュラー・シンセをも遥かに凌ぐ音作りができるのです。

それでは早速、「Analog OSC」を使った音色作りに取りかかりたいと思います。

王道のアナログ・シンセ・パッドを作ろう!

まずは、アナログ・シンセの代表的なサウンドであり、ローランド・シンセの得意技のひとつ、アナログ風シンセ・パッドを作ってみましょう。

ストラクチャーは、最も基本的な「タイプ1」を使用します。OSC1には通常の「SAW(ノコギリ波)」をセレクト。そしてOSC2には、SAWをさらに分厚くした「SUPER-SAW」を使用します。

ストラクチャー選択画面

▲画像2:ストラクチャーの選択画面。V-Synth GTの音源は、それぞれの要素(セクション)の接続方法を変更することができ、そのセクションの接続方法を「ストラクチャー」と呼びます。5種類のタイプから選ぶことが可能です。

OSC2の設定画面

▲画像3:OSC2(Analog OSC)の設定画面。今回の音作りのポイントは、OSC2のSUPER-SAWを少しデチューンさせることで、アナログ・シンセらしいピッチの不安定さを演出し、揺らぎと厚みを出します。

COSMタイプでは、一般的なアナログ・シンセに最も多く搭載されている 「LPF(ローパス・フィルター)」を使いましょう。TVFからセレクトします。そして、アナログ独特のダークさを作り出すためにレゾナンスを「0」に設定してからカットオフを上げていき、好みの音色が得られるポイントに調整してみましょう。

COSMタイプの設定画面

▲画像4:COSMタイプの設定画面。これまでギター・アンプなどのモデリングに使用されてきたCOSMテクノロジーが、V-Synth GTではシンセのフィルター部に相当するコンポーネントとして搭載しています。

シンセ・パッドというと、アタック(音の立ち上がり)が遅めでリリース(余韻)が長い、みずみずしいストリングス・アンサンブル的なサウンドを思い浮かべると思いますが、今回は音量の時間変化を調節するTVAセクションのエンベロープでリリースをザックリとカットしてみました。

TVAの設定画面

▲画像5:音量の時間変化やパンの効果をかけるTVAセクションの設定画面。アタックは遅めなのに、音の終わりがゲートでスパッと切ったようなエンベロープにすることで、聴感上、波形をリバース(反転)させたかのような効果が得られるのです。

さらにアナログ的な自然な揺らぎ感を強調するために、エフェクト・セクションで軽くコーラスをかけてみました。加えて、音の定位感も揺らしたい場合は、ステップ・モジュレーターを使って、音像が左右に動くようにパンニングのオートメーションを書いてみるのも面白そうですね。

こうして作ったユニークなアナログ風シンセ・パッドのサウンドを聴いてください。

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