mnavi Academy

SYNTHESIZER V-Synth GT 第19回:Fantom-G 徹底分析 その10 ~プリセット・パッチを解剖しよう! ライブ・モード編~ 齋藤久師

皆さん、こんにちは! 齋藤久師です。先日、私の所属するJSPA(日本シンセサイザープログラマー協会)が主催する『シンセサイザーフェスタ2008』が池袋・アムラックスホールで開催されました。トータル来場者数が1,000名を超える、とても華やかなイベントとなり、Fantom-Gを中心としたローランド・ブースの"シンセサイザー・ワールド"にも多くの人々が集まっていました。特に、たくさんの若い層の方々がシンセサイザーに興味を持っている、ということがわかり、私もたいへん嬉しく感じた次第です。

そして偶然にも同日の夜、渋谷某所でYMO結成30周年記念を祝うトリビュート・イベントが密かに行われ、私も出演者の1人として参加してきました。こちらのイベントも、各界のYMOフリークな著名人がステージに上がり、ライブにトークにと、非常に盛り上がりました。YMOはシンセサイザーと切っても切れない関係であり、日本、いや世界中に"シンセサイザー"を知らしめたバンドと言っても過言ではありません。

そのYMOが30年前に初めて使用したシーケンサーが、ローランドMC-8。今風に言えば、8トラック・マルチティンバーのハードウェア・シーケンサーです(もちろん、1トラック1音のモノフォニック!)。それから30年の歳月を経た今、Fantom-Gの内蔵シーケンサーは、オーディオとMIDIの垣根を取り払ったシームレスなシーケンス環境、最大152トラックという膨大なトラック数、最大同時発音数128音、さらに内蔵シーケンサーを使わずともリズムやフレーズが奏でられるユニークな機能を搭載するなど、信じられないほどの進化をとげています。30年前、このようなワークステーション・シンセサイザーが誕生することを一体誰が想像できたでしょうか。そこで前回に引き続き、今回もプリセット音色の解析を行いながら、進化したFantom-Gならではのユニークな機能を紹介していきましょう。

今回はライブ・モードの音色を解析!

前回は、シングル・モードのパッチを解析しましたが、今回は、複数の音色を重ねて鳴らせるライブ・モードを取り上げてみます。レイヤー構成が豊かでゴージャスなライブ・モードの中から、ユニークなプリセット・ライブ・セット(=ライブ・セット用のプリセット音色)をセレクトし、そのライブ・セットがどのように成り立っているのかを解析をしてみようと思います。

なお、ライブ・モードについての詳細は、『第14回:Fantom-G ライブ・モードを使いこなす! 基本編』『第15回:Fantom-G ライブ・モードを使いこなす! 応用編』を参考にしてください。

パッチ×8=ライブ・セット!

今回取り上げるプリセット・ライブ・セットは、「PRST 287:Aritifical Beats」です。早速ライブ・モードに入り、このライブ・セットで演奏してみました。実はこの演奏、なんと指1本で鍵盤をたった1音だけ押さえて行っているのです。それでは、聴いてみてください。

▲画像2:ライブ・セット「PRST 287:Aritifical Beats

たった指1本だけでも、リズム・パターンが次々に変化するのが分かるかと思います。また、鍵盤を押し込む強さ(アフター・タッチ)によってドラムのフィル・インのような変化もつけられるようになっており、さらにリアルタイムでフィルタリング効果などの音色変化まで加えることができました。

このライブ・セットのメイン画面を見ると、5つのパート(パッチ)で構成され、それぞれのパートで鍵盤がスプリットされていることが分かります。このように、音域により異なるパートが割り当てられていることで、さまざまなリズム・パターンが切り替わる仕組みになっているのです。

前回のシングル・モードでのパッチ解析の際にも説明した通り、1つのパッチは、4つの異なるトーン(音色の最小単位)から成り立っています。ライブ・モードでは、そのパッチを8つまでレイヤー、あるいはスプリットさせることにより、組み合わせて鳴らすことが可能なのです。

さらにライブ・モードでは、複数のパッチの組み合わせから成る音色(=ライブ・セット)を1つのシンセサイザー音源として捉え、その全体にフィルターやエンベロープといった処理を行うことで、音色の加工も自由自在に行えるのです。

Back Number一覧