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SYNTHESIZER V-Synth GT 第22回:Fantom-G 徹底分析 その13 ~トラック制作3:MIDI&オーディオの活用でフレーズに深みを持たせる~ 齋藤久師

皆さん、こんにちは! 齋藤久師です。前々回から始めたFantom-Gトラック制作連載。前回はベーシックなループを作って、それをインターネット経由でボーカリストのlenaに送り、彼女にメロディ・ラインをつけて送り返してもらったところまでを紹介しましたね。今回は、その続きです。前置きはともかく、早速スタートしましょう!

ベーシック・トラックをブラッシュ・アップしよう

ボーカリストのlenaには、メロディ・ラインを作ってもらった後も、そのまま引き続き作詞を依頼しました。そこで、彼女が詞を考えている間に、私はバック・トラックの構成を詰めていって、楽曲をさらにブラッシュ・アップすべく、ベーシック・トラックにいろいろとサウンドをプラスしていく作業を進行させたいと思います。

まずは、冒頭部に登場させる予定のサビ部分に、ピアノやシンセ・パッドなどのMIDIトラックを加えていきましょう。

なお、初めてご覧になる方は、『第21回:Fantom-G 楽曲の基礎となるベーシック・ループを作る』で、作業の流れを確認してから、今回の内容をお読みください!

4つの音色を重ねてフレーズに厚みを加える

前回最後に紹介した段階では、トラック1は「ドラム」、トラック2が「ベース」、そしてトラック3を「シンセ」としたので、次のトラック4には、アコースティック・ピアノでフレーズを加えました。ややダークなグランド・ピアノの響きで、寂しい感じを表現してみたので、聴いてみてください。

▲画像2:トラック4で使用したグランド・ピアノのパッチ「PRST 049:Dark Grand」。MIDIトラックにリアルタイム録音しました。

続いて、これと同じフレーズをシンセ・パッドの音色でトラック5に重ねてみることにします。ここで、もう一度鍵盤を手弾きしてリアルタイム録音するのは手間がかかるので、トラック4のピアノのデータをコピーして、トラック5へINSERT(インサート)します。

Fantom-Gは、VALUEダイヤルやCURSOR(カーソル)ボタンだけでなく、さらにオプションのマウスを接続して使用することもできるので、パソコンを利用したDAW音楽制作環境と同様の操作感が得られます。ここでもすでに録音したフレーズのリストが表示されるので、そこから欲しいフレーズを指定するだけで、その内容を新たなトラックに簡単にコピーすることができるのです。

▲画像3:Song Edit画面で、[Edit(F4)]を押し、コピー元のトラックとコピーするフレーズ(ここではPHRASE0081)、そしてインサート先のトラックをそれぞれ指定します。

▲画像4:トラック5にフレーズ(PHRASE0081)が挿入されました。

では、トラック5のシンセ・パットのフレーズを聴いてみてください。同じフレーズでも、アコースティック・ピアノとは雰囲気が違いますね。これで切なさが、グンと増すようになります。

▲画像5:トラック5には、シンセ・パッド「PRST 1492:Soft Pad」を使用しました。ローランドが得意とするアナログ的なシンセ・パッドの代表的なサウンドですね。

さて、ダークなピアノとシンセ・パッドを重ねたら、今度は、少し抜けのよいシンセ・ストリングスを入れてみようと思います。

これも、先ほどの手順と同様に、フレーズのデータをコピーしてトラック6に貼りつけることで作ってみます。

▲画像6:トラック6には、ブライトなシンセ・ストリングス「PRST 1495:JP Strings」を用意しました。名前からも分かる通り、アナログ・シンセの名器"Jupiter"シリーズの音色です。

最後に、これらのパッド・サウンドのボトムを支える低音担当の音色を、トラック7に用意してみましょう。

▲画像7:トラック7には、「PRST 662:ResoSyn Bass」を割り当てました。

それでは、これまでに重ねてきたアコースティック・ピアノ、シンセ・パッド、シンセ・ストリングス、ベースといった4つの音色を同時に再生して鳴らしてみましょう。

同じフレーズでも4トラックをレイヤーさせるだけで、サウンドの厚みがおおいに増すことが分かると思います。

これまで、すべてのトラックをMIDI&内蔵音源で制作しました。このようにMIDIで制作をしておけば、今後の過程で音色を差し替えたくなったりフレーズを変えたくなった場合、オーディオ・トラックよりもMIDIトラックのほうがフレキシブルに対応できるのです。

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