録った素材は付属ソフトで簡単編集!
こうして私の手元に送られてきたボーカルのオーディオ・データは、曲構成のブロックごとに、メイン・ボーカル、コーラス・パートなど、いくつかのファイルに分かれています。もちろん、それぞれのファイルで、実際に歌が始まるまでの空白部分も入ったままの、まさに「録音したそのままの状態」です。
そこで、不要な部分を削除したり、ファイルの先頭に歌の頭を持っていく作業が必要となります。これらの作業は、Fantom-Gのオーディオ・トラックにデータをインポートしてから編集してもかまいませんが、R-09HRには、シンプルにステレオ素材を編集できるソフトウェア「Cakewalk AUDIO CREATOR」のLE版が付属されているので、これを利用すると便利です。事前に波形編集を済ませた状態でデータをFantom-Gにインポートすれば、波形を使いたいポイントへ移動させるだけで、バック・トラックとボーカルの歌い出しのタイミングをぴったりと合わせ込むことができます。
・ワンポイント
Fantom-Gへのオーディオ・データのインポートは、いたって簡単。コンピューターとFantom-GをUSBで接続して「USBストレージ・モード」に入り、本体の[Menu]ボタンを押してVALUEダイヤルで[Import Audio]を選びます。[ENTER]ボタンを押すとデスクトップに[Fantom-G]フォルダが現われるので、その中の[IMPORT]フォルダにドラッグ&ドロップでファイルをコピーするだけです。 Fantom-Gに取り込まれたオーディオ・データは、本体でサンプリングした素材とまったく同様に扱うことが可能となるので、あとは好きなトラックの好きな位置にデータを配置すれば完了です。
ボーカル素材を聴いてみよう!
それでは、AUDIO CREATOR LEで編集したボーカル素材を聴いてみましょう。曲の冒頭で登場するメイン・メロディ(サビ)部分のボーカル&コーラスです。
▲メイン・ボーカル
▲メイン・メロに重ねるハモリ
▲2つめのハモリ
▲一番高い音のハモリ
これらの素材は1パートにつき2テイクずつ録音してもらいました。2テイク録ることで、ほんの少しだけピッチや発音タイミングのズレが生じ、それらを重ねることで、音の厚みや広がり感を作り出すデチューン効果が演出できるのです。
次に登場するラップ部分では、よりマイクに近づいてもらい、ブレスなどの音までリアルに録音することで、迫力を出しています。
▲オン・マイクで録ったラップ部分
このようにして録音/編集した素材をFantom-Gにインポートし、曲構成に合わせてバック・トラックの必要な位置に貼り付けて再生してみました。先ほど紹介した「デチューン効果」にも注目しながら聴いてみてください。
いかがでしたでしょうか? ボーカルが入ることで、トラックがグンと生き生きしてきましたね。また、今回のようにコンパクト・レコーダーR-09HRを使うことで、レコーディングに不慣れな人でもとても簡単にプロ・クオリティのレコーディングが楽しめ、さらに制作時間を短縮できるという大きなメリットがあることも理解してもらえたと思います。
さて、次回からはいよいよミックス作業に進んでいきたいと思います。どうぞお楽しみに!

profile:齋藤久師(さいとう ひさし)
91年ビクターエンターテインメントより日本初のテクノユニット『ガルトデップ』でデビュー。ユニット休止後、さまざまなクラブ系ユニットに参加し海外でのディストリビュートも積極的に行う。1996年よりステージ衣装から機材などすべてを完璧に模したYMOの完全コピーバンド『Yセツ王』として活動。リアルタイムにYMOを体験した熱心な固定ファンのみならず、YMOのライブを見たことのない若いファンをも獲得している。また雑誌などでのレビュー執筆など多方面で活躍している。




