Top > mnavi Academy Synthesizer > 第37回:GAIA連載その3:フィルター・セクションを徹底解剖!

synthesizer Back Number

第37回:GAIA連載その3:フィルター・セクションを徹底解剖!

みなさんこんにちは! 齋藤久師です。前回の「OSC(オシレーター)」に引き続き、今回はGAIAの「FILTER(フィルター)」セクションについて、じっくりと解析してみましょう。

フィルターとは、文字通り「必要でないものをフィルタリングし削除する機能」のことです。例えば、コーヒーをドリップする時、ひいたコーヒー豆はペーパーに残り、コーヒーの成分だけがペーパーを通過して抽出されます。まさにこのペーパーは、フィルターと同じ仕組みなのです(だから、コーヒー・ドリップ用のペーパーのことを"フィルター"と呼びますよね)。

それでは、GAIAのフィルター・セクションについて、細かく見ていきましょう。

▲写真1:GAIA SH-01

フィルターとは?

シンセサイザーの場合、必要な周波数帯域の音だけを通過させたり遮断することによって、音を太く/細くしたり、あるいは明るく/暗くします。こういったフィルター加工は、音作りの重要なファクターとなっています。さらに、フィルター・セクションに搭載された「エンベロープ」を使えば、時間的な音色変化(つまり、フィルターの動き)を自動的に滑らかに加えることができるのです。

一般的なシンセサイザーには、低い周波数成分のみを通過させる「LPF(ロー・パス・フィルター)」や、逆に高い成分のみを通過させる「HPF(ハイ・パス・フィルター)」などの標準的なフィルター・タイプが搭載されていますが、GAIAにはこれら以外のユニークなタイプも用意されています。

GAIAのフィルター・セクションには、さまざまな特性のフィルターを選択できる「モード(MODE)」や、「カットオフ周波数(CUTOFF)」と「レゾナンス(RESONANCE)」、弾く鍵盤によってカットオフ周波数を変化させる「キー・フォロー(KEY FOLLOW)」、そして"ADSR(アタック/ディケイ/サスティーン/リリース)からなる「フィルター・エンベロープ(FILTER ENV)」、そのエンベロープのかかり具合と正/逆方向を自由自在に操れる「エンベロープ・デプス(ENV DEPTH)」といった機能が装備されているのです。

それでは、次の章からはGAIAに用意されている4種類(バイパスを除く)のフィルター特性の違いを、実際に音を聴きながら確認してみましょう。

▲写真2:GAIAのフィルター・セクション。ここで、音の明るさや太さを決めます。

LPF(ロー・パス・フィルター)

アナログ・シンセサイザーの音作りで、おそらく一番使用頻度の高いフィルターは、この「ロー・パス・フィルター」です。"ロー・パス"とは「低音成分のみを通過させる」という意味です。もっと簡単に言えば、高域成分を抑えることで、低域成分が作り出す音の太さを強調します。つまり、野太いシンセ・ベースを作るのにもってこいの特性を持ったフィルターなのです。

▲画像3:ロー・パス・フィルターのイメージ図。カットオフ周波数より高い周波数成分をカットして音を丸くします。もっともスタンダードなフィルターです。

それでは、ロー・パス・フィルターのサウンドを聴いてください。元になるオシレーター波形に「のこぎり波」を使用します。

レゾナンスの値を【0】にし、カットオフ周波数を【最大】から【最小】へ、そして【最小】から【最大値】へと変化させています。高域成分が次第に減少し、ついにはまったく無音に近い状態(カットオフ周波数が最小値)になり、そして元に戻っていく様子が分かると思います。

次に、レゾナンスのツマミをセンターよりやや上げめに設定(時計に例えると14時くらいの位置)した状態で、カットオフ周波数を同じように動かしてみましょう。シンセサイザー特有のクセのある音色となりますね(これをスウィープ音と呼びます)。

●フィルター・エンベロープを使う

ここまでは、カットオフ周波数とレゾナンスの値を、実際にツマミを手で動かして音色に変化を加えました。次は、フィルター・エンベロープを使って、鍵盤を弾く度に自動的にカットオフ周波数とレゾナンスが時間的に変化するように設定してみましょう。

まずは、カットオフ周波数、レゾナンス、そしてフィルター・エンベロープを画像4のように設定します。このサウンドを聴いてください。鍵盤を弾く度に、カットオフ周波数がディケイ(D)で設定した値まで上昇し、"ビヨンビヨン"という変化をもたらしているのが分かりますね。

▲写真4:フィルターの設定。ここで重要なのは、エンベロープ・デプスのスライダーが【0】より上側、つまりエンベロープのカーブが正方向にかかる状態となっている点です。

次に、エンベロープ・デプスを写真5のように設定してみます。つまり、カットオフ周波数を逆方向に変化させる設定です。

先ほどのスウィープ音とは異なり、"ウォーンウォーン"という、アタックが遅れたような音色変化が起きます。これが、エンベロープのカーブが逆さになった場合の特徴です。

▲写真5:ここでは、エンベロープ・デプスのスライダーが【0】より下側に設定しています。

このように、カットオフ周波数とレゾナンスをエンベロープ・デプスでコントロールすることで、フィルターでの基本的な音色作りを行うことができるのです。

▲ページの先頭へ

  • 1
  • 2
  • 次のページへ

Profile

齋藤久師(さいとう ひさし)

齋藤久師(さいとう ひさし)

91年ビクターエンターテインメントより日本初のテクノユニット『ガルトデップ』でデビュー。ユニット休止後、さまざまなクラブ系ユニットに参加し海外でのディストリビュートも積極的に行う。1996年よりステージ衣装から機材などすべてを完璧に模したYMOの完全コピーバンド『Yセツ王』として活動。リアルタイムにYMOを体験した熱心な固定ファンのみならず、YMOのライブを見たことのない若いファンをも獲得している。チップチューンをフィーチャーしたユニット『8bit project』のメンバーとしても2枚のアルバムをリリース。そのほか雑誌などでのレビュー執筆と、多方面で活躍中。