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第44回:VP-7連載その3:ボコーダーを体感しよう~ボコーダー・セクションを徹底解剖!

みなさん、こんにちは! 齋藤久師です。今回は、VP-7の「ボコーダー(Vocoder)」セクションに焦点を絞って、ボコーダーのサウンド・キャラクターや、実際に使用する際のTipsなどをご紹介していきたいと思います。

▲写真1:VP-7

ボコーダーが彩った数々の名曲たち

みなさんは、ボコーダーが使われているサウンドと言ったら、どのような曲を思い出すでしょうか? 各年代でボコーダーが使われたさまざまな名曲があり、年齢によっても「コレ!」というイメージが分かれるかと思いますが、その中でも、やはりYMOの「テクノポリス」は、リリースから32年経った今でも、ボコーダーを語るうえでの代表曲だと言えるでしょう。

冒頭からいきなり始まる『TOKIO!』のボコーダーや、同じアルバムに収録され、あのマイケル・ジャクソンがカバーしたことでも有名な「ビハインド・ザ・マスク」でも、ボコーダー・ボーカルがフィーチャーされています。そのボコーダーには、当時発売されたばかりだったローランドのVocoder Plus VP-330が使用され、そのサウンドは音楽ファンに大きな衝撃を与えたものでした。

また、海外ではアース・ウィンド・アンド・ファイヤーやクラフトワークなど、70年代後半から80年代前半までに、たくさんのボコーダーを使った曲がヒットしました。そして2000年代に入ると、再びボコーダー・サウンドのブームが到来。ダフト・パンクをはじめとするテクノ・アーティストを筆頭に、マドンナまでもがボコーダーを取り入れるようになり、80年前後の盛り上がりを超える大ブームとなったのです。

▲写真2:ボコーダーの存在を一躍メジャーにした名機、Vocoder Plus VP-330。

ボコーダー・サウンドを体感しよう~ビンテージ系サウンド

ボコーダー・サウンドの特徴は、やはり単音で歌った時の"ロボットっぽさ"や、和音時の独特の乾いたハーモニーの美しさに尽きるのではないでしょうか。そこでここからは、VP-7に搭載された専用の[Vocoder]ボタンを押して、いくつかの音色を体感してもらいたいと思います。

まずは、その大元となるボーカルを聴いてみましょう。

VP-7のボコーダー・セクションには、3種類のサウンド・キャラクターが用意されており、[Vocoder]ボタンを押すたびにLEDランプの色が変化し、それぞれのキャラクターを切り替えることができます。

それでは最初に、LEDランプを「緑」にして、もっともベーシックなボコーダー・サウンドを試してみましょう。

▲画像3:[Vocoder]ボタンを押すと、「赤」→「緑」→「オレンジ」とLEDランプが切り替わります。

●単音で弾いた場合

VP-7にMIDI接続したキーボードで、メロディ・ラインを単音で弾きながら歌ってみます。とてもドライな音質で、名機VP-330にもっともニュアンスの近い、ビンテージ・ボコーダー的な音色ですね。ステレオ・コーラスやディメンジョンといったエフェクターを後がけして、広がり感をプラスしたくなる音色です

●1オクターブ低く弾いた場合

次に、同じフレーズを1オクターブ低く演奏してみました。すると、さらにロボット的な無機質な響きになります。どことなくクラフトワークを彷彿させる、ドイツ風なゴリゴリ感が出ましたね!

●和音を弾いた場合

今度は、同じく「緑」のLEDが選ばれた状態で、キーボードで和音を押さえたサウンドを聴いてみましょう。

これぞボコーダー・クワイヤーの真骨頂ですね! この、不自然に安定した揺れのないコーラス・ライン(ここが大事なんです!)は、近年人気が高まっているピッチ補正ソフトウェアを大胆に使ったエフェクティブ・ボーカルの元祖とも言えるのではないでしょうか。

ダンス・ミュージックだけではなく、さまざまな音楽に取り入れたくなる魅力的な響きを持っていますね。「歌」と「楽器」の中間の美味しさ、これこそまさにボコーダーの楽しさと言えます。

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Profile

齋藤久師(さいとう ひさし)

齋藤久師(さいとう ひさし)

91年ビクターエンターテインメントより日本初のテクノユニット『ガルトデップ』でデビュー。ユニット休止後、さまざまなクラブ系ユニットに参加し海外でのディストリビュートも積極的に行う。1996年よりステージ衣装から機材などすべてを完璧に模したYMOの完全コピーバンド『Yセツ王』として活動。リアルタイムにYMOを体験した熱心な固定ファンのみならず、YMOのライブを見たことのない若いファンをも獲得している。チップチューンをフィーチャーしたユニット『8bit project』のメンバーとしても2枚のアルバムをリリース。そのほか雑誌などでのレビュー執筆と、多方面で活躍中。