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第45回:VP-7連載その4:ボコーダーを体感しよう~VP-7の隠れた魅力を徹底解剖!

みなさんこんにちは! 齋藤久師です。4回連載ということで取り上げてきました『VP-7』徹底解剖特集も、今回で最終回です。

これまでの3回でVP-7の基本的な機能を紹介してきましたので、最後となる今回は、VP-7のユニークかつ応用的な使用方法を紹介いたします!

▲写真1:VP-7

新しいサウンドを発見しよう!

「楽器は、ミュージシャンの発想によって、さまざまな使用方法が生み出される」。これは、電子楽器を開発している方々から、よく伺う言葉です。

例えば、もともとはアナログ・レコードを聴くための物であったターンテーブル(レコード・プレーヤー)も、レコードを正常ではない状態で回転させることで、それまでになかった「スクラッチ・サウンド」が生まれました。これによって、ターンテーブルは楽器に変わったのです。

また、かつて楽器の開発者は、どのようにしてクリーンなサウンドを鳴らすかという技術を追求されていたにも関わらず、その音をわざと歪ませることで音楽的なディストーション・サウンドが誕生しました。つまり、楽器の作り手とはまったく違うミュージシャン的な発想によって、その楽器の表現力というものは、大きく広がっていくことが多々あります。

このように、ミュージシャンのイマジネーションを刺激する数々の楽器の中でも、シンセサイザーは、特にミュージシャン自身がサウンドをデザインできる最高のツールだと言えるでしょう。

さて、話をVP-7に戻しましょう。VP-7の基本的な使用方法は、本体にMIDIキーボードを接続し、プリセットされているクワイヤー・サウンドを演奏したり、あるいはボーカル・マイクを使ってボコーダーとして活用するというものです。

しかし、ここでよく考えてみましょう。本体にマイク入力(MIC IN)端子が装備されているということは、人間の声に限らず、どんな音でもVP-7で鳴らせるということなのです。そこで、このマイク入力端子にさまざまなリズム音色を入力して、そのサウンドを元にボコーダー・サウンドを作ってみたいと思います。

なお、VP-7のMIC IN端子はマイク・レベル専用となっていますので、ライン・レベルの機器を接続する場合は、入力レベルを絞って、音が割れないように調整してください。

▲画像2:マイクを接続するMIC IN端子。ここから入力されたサウンドに対してボコーダー処理が行われます。

▲画像3:MIC IN端子からの入力レベルを調節する[MIC]ツマミ。PEAKランプが点灯しないように気を付けましょう。

【実験1】ホワイト・ノイズのリズムを鳴らしてみる

その昔、レコーディング現場でよく用いられていた手法として、録音済みの持続音(シンセ・パッドなど)を、ノイズゲートを使ってリズミカルにカットするというテクニックがありました。そのカットするタイミングは、シーケンサーを利用して、ゲート信号などでコントロールしていました。

VP-7を使えば、これと似た効果をいとも簡単に実現できます。

ボーカルの代わりに、リズミックなシーケンス・フレーズをMIC IN端子へ入力し、VP-7に接続したMIDIキーボードで、好きなコードやメロディを弾くだけです。

まずは、まったく音程感のない「ホワイト・ノイズ」を使った、打ち込みのシーケンス・ビート・フレーズを聴いてください。

このホワイト・ノイズのフレーズをVP-7に入力し、MIDIキーボードで和音を押さえつつ、コード・チェンジしてみました。もともとのフレーズをリズミックに作ってあるので、キーボードはベタ押さえのままでも、細かく歯切れのよいリズムが鳴ってくれます。

いかがでしょうか? プレイヤーは和音を押さえるだけで、指定したとおりにアルペジオが展開される感覚に近い、「半自動演奏」と言ってもいいような、とても不思議で楽しいプレイが行えるのです。シンセサイザーのアルペジエーター機能を使ったことがある方なら、おおよその雰囲気が分かっていただけると思いますが、アルペジエーターともひと味違う面白さがあります。しかも、VP-7のボコーダー機能を使いながらも、人間の声とはこれまた異なる、ユニークな電子音を生成してくれます。そこがVP-7ならではの、面白さなのです。

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Profile

齋藤久師(さいとう ひさし)

齋藤久師(さいとう ひさし)

91年ビクターエンターテインメントより日本初のテクノユニット『ガルトデップ』でデビュー。ユニット休止後、さまざまなクラブ系ユニットに参加し海外でのディストリビュートも積極的に行う。1996年よりステージ衣装から機材などすべてを完璧に模したYMOの完全コピーバンド『Yセツ王』として活動。リアルタイムにYMOを体験した熱心な固定ファンのみならず、YMOのライブを見たことのない若いファンをも獲得している。チップチューンをフィーチャーしたユニット『8bit project』のメンバーとしても2枚のアルバムをリリース。そのほか雑誌などでのレビュー執筆と、多方面で活躍中。