Top
mnavi Academy Synthesizer
> 第50回:JUPITER-80連載その2:レジストレーションを徹底解剖&コラム・スタート!

mnavi Academy synthesizer Back Number

第50回:JUPITER-80連載その2:レジストレーションを徹底解剖&コラム・スタート! 第50回:JUPITER-80連載その2:
レジストレーションを徹底解剖&コラム・スタート!

  • Check

みなさんこんにちは! 齋藤久師です。6月12日に東京・秋葉原で開催された『Roland Synthsizer Day』にお越しくださったみなさん、ありがとうございました! 当日、2000名を超える来場者の熱気は、ステージにも伝わってきました。私は、松武秀樹さん、浅倉大介さん、土橋安騎夫さんと共に「Special Talk Session」に参加しましたが、JUPITER-80が4台も並んだステージは壮観で、演奏していて、とても興奮しました。また、会場内には、70年代から90年代までのローランドの往年の名シンセサイザーが展示されたミュージアム・コーナーも設けられ、デジタル・シンセ世代の若いお客さんからも、興味と関心を集めていた様子が印象的でした。

さて、JUPITER-80の連載第2回目は、JUPITER-80のポテンシャルを最大に活かして作られた『レジストレーション』の音色をいくつかご紹介しましょう。

そして今回から、連載の後半で新しくコラムをスタートします。JUPITER-80に搭載されている2種類のSuperNATURAL音色のうち、「SuperNATURALシンセサイザー・トーン」にフォーカスを当て、私、齋藤久師ならではの視点で、各モジュールを順番に解説していきます。最初となる今回は、「OSC(オシレーター)編」です。

▲写真1:JUPITER-80

レジストレーション音色を紹介!

前回で解説したとおり、JUPITER-80の音色は、多重レイヤーを駆使した構成となっています。これから紹介する『レジストレーション』は、「アッパー(UPPER)」、「ロワー(LOWER)」、「ソロ(SOLO)」、「パーカッション(PERC)」の4つのパートを組み合わせた音色です。

●プリセット[01]A-3:Jupiter in 1981

▲画像2:プリセット[01]A-3:Jupiter in 1981(レジストレーション画面)

▲画像3:レジストレーション・パート画面。各パートにどのようなライブ・セットがどういうバランスで設定されているかが分かります。

"JUPITERシリーズ"と言えば、伝統的に「アルペジエーター」の素晴らしさが有名です。80年代以降のアーティストがこぞってJUPITERのアルペジオ機能を使用し、多くのヒット曲を生み出してきました。新しいJUPITER-80にも、さらなる進化を遂げたアルペジオ機能が搭載されています。

最もシンプルなアップやダウンなどのオート・アルペオはもちろんのこと、アルペジオ・パラメーター「Motif」に用意された【PHRASE】を選べば、1つのキーを押すだけで、そのキーのピッチを基準とした音楽的なフレーズを鳴らすことができるのです(複数のキーを押した場合は、最後に押されたキーが有効となります)。

ここで紹介するプリセット『[01]A-3:Jupiter in 1981』にも、ロワー・パートのライブ・セット[0623:JP arps 1981]にフレーズ・アルペジオがかけられています。

▲画像4:ライブ・セット画面。ロワー・パートにライブ・セット[0623:JP arps 1981]が割り当てられています。

▲画像5:画像3の下部にある[COMMON/CONTROL]タブを選ぶと表示される、コモン/コントロール画面。アルペジオ機能がオンとなっています。

また、[EDIT]ボタンを押してロワー・パートの音源構成を見てみると、複数のシンセサイザー音色がレイヤーされていることが分かります。JUPITERの名にふさわしい、アナログ感のある、分厚く暖かみのあるシンセサイザー・サウンドが特徴的ですね。

▲画像6:ライブ・セット画面。アッパー・パートにライブ・セット[0377:Jupiter8BrassPad]が割り当てられています。

●プリセット[01]A-4:Speed Ostinate

▲画像7:プリセット[01]A-4:Speed Ostinate(レジストレーション画面)

この音色も、先ほどと同様に、アルペジオ機能による演奏を活用したレジストレーションの音色です。先ほどの音色は「SuperNATURALシンセサイザー・トーン」だけで構成されていましたが、こちらは「SuperNATURALアコースティック・トーン」と「SuperNATURALシンセサイザー・トーン」をほどよくブレンドすることで、オリジナリティのある音色に仕上がっています。

▲画像8:ライブ・セット画面。アッパー・パートの構成を見ると、SuperNATURALアコースティック・トーンのバイオリン音色と、SuperNATURALシンセサイザー・トーンのJUPITER系シンセ・ストリングスを組み合わせたライブ・セットだということが分かります。

●プリセット:[03]D-1:JP80 Pad2

▲画像9:プリセット:[03]D-1:JP80 Pad2(レジストレーション画面)

浮遊感がたっぷりとあり、甘くふわりとしたエレクトロニカなどの使用にぴったりの音色ですね。この浮遊感や透明感を出すために一役かっているのが、ロワー・パートに用意された[0132:Mist on 5th]というライブ・セットです。

▲画像10:ロワー・パートに割り当てられたライブ・セット[0132:Mist on 5th]には、SuperNATURALシンセサイザー・トーン[263:Chorus Pad]が3つ重ねられています。

このライブ・セット[263:Chorus Pad]の中身をさらに確認してみると、SuperNATURALシンセサイザー・トーンを構成している3つのパーシャルの内、「Partial1」と「Partial2」の2つのパーシャルについて、各OSC(オシレーター)で5度のハーモニーが奏でられるようにDETUNE(デチューン)が設定されていることが分かります。

▲画像11:ライブ・セット[263:Chorus Pad]のシンセ・トーン・エディット画面。オシレーターのデチューンをズラすことで5度のハーモニーを作り出しています。

さらに、アッパー・パートのライブ・セット[0117:ChordsOfCanada 1]では、MFXに用意されたモジュレーション・ディレイによって、不安定で、切なさを感じさせる効果を作り出しているのです。

▲画像12:ライブ・セットMFX画面。ロワー・パートにはモジュレーション・ディレイがかけられています。

このようにして、完成した音色の構成を細かく紐解いていくと、1つの音がどのような仕組みで成り立っているのかを知ることができ、オリジナルの音作りのヒントが得られます。そして何よりも、音色作りの勉強になりますね。

1 2 Next

Profile

齋藤久師(さいとう ひさし)

齋藤久師(さいとう ひさし)

91年ビクターエンターテインメントより日本初のテクノユニット“ガルトデップ”でデビュー。ユニット休止後、さまざまなクラブ系ユニットに参加し海外でのディストリビュートも積極的に行う。1996年より、ステージ衣装から機材などすべてを完璧に模したYMOの完全コピーバンド“Yセツ王”として活動。その後、松武秀樹率いる“Logic System”への参加や、チップ・チューンをフィーチャーしたユニット“8bit project”のメンバーとしても2枚のアルバムをリリース。また2010年には著書「DTMテクニック99(リットー・ミュージック)」を出版した。2011年6月15日には自身の新ユニット“pulselize”の1stデジタル・シングル「ATTACK」を世界配信開始。同シリーズは2ヶ月ごとに「ATTACK」、「DECAY」、「SUSTAIN」、「RELEASE」の4部作がリリースされ、年末にはアルバム『A/D/S/R』としてコンプリートする。

Hisashi Saito Official Website:
http://www.neuronrecords.com/

ページの先頭へ