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mnavi Academy Synthesizer
> 第60回:特別講座:ローランド・シンセサイザーの魅力を探る(総集編)

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そして新JUPITERシリーズへ

シンセサイザーという楽器は、本来、音を合成して作り出すための音のパレットなのです。パレットには、たくさん「絵具(音色)」を混ぜるためのスペースが必要であり、絵画で言うところの「水」のように、「フィルター」や「アンプ」といった各セクションによって、絵具の濃さや薄さを調整してさまざまな彩りが作られていくのです。

「絵具」の原色は、「オシレーター波形」そのものだと言えるでしょう。それであれば、「筆のテクニック」は「奏法」ではないでしょうか。そういった意味では、Dビームやタイム・トリップ・パッドなどの斬新なユーザー・インターフェース(コントローラー)は、奏法そのものの既成概念を打ち砕くものであり、プレイヤーへたくさんの新たな提案を投げかけてくれたと感じています。

もちろん、ただ単にシンセサイザーに斬新だけを追い求めているのではなく、楽器としての伝統的な機能や演奏テクニックを継承したものとなっています。その代表的なものが、ローランド・シンセサイザーの大きな特色でもあるアルペジオ機能や、使い勝手のよいピッチ・ベンド/モジュレーション・レバーなどで、30年以上も前に生み出されたデザインと機能性を基本としつつ、そこに新たな機能を追加しているという点は、うれしいことですね。

▲写真6:Behavior Modeling TechnologyによるフルSuperNATURALサウンドを搭載し、高度な演奏表現力を実現したシンセサイザーJUPITER-80も、ライブ・シンセシストに向けてのローランドからの新たな提案です。

音楽史に名前を刻む名機の数々

時として、その発想が斬新すぎるゆえに、そのサウンドや機能性が正統な評価を受けるまでに、発売されてからしばらくの時間が必要となるモデルもありました。つまり、後から時代が追い付いてくるという現象も、ローランド・シンセサイザーにはしばしば見受けられました。しかし流行り廃りではなく、このようにして一度真の評価を得た楽器たちは、時代を作り、長い目で見た時に、歴史のあるアコースティック楽器と同じように着実に音楽史に名を刻むことがほとんどです。実際に、発売してから何十年経っても、その楽器の魅力が色あせることなく、今でも現役で最先端の音楽シーンを作り続けているマシンはたくさん存在しています。

私のプライベート・スタジオの一角にも「ローランド・ブース1980」、そして「ローランド・ブース1990」というコーナーを設けています。主に80年代~90年代に発売されたシンセサイザーを中心とするローランドの名機たちが、24時間、いつでもすぐに音が鳴らせる状態をキープしているのです。

そしてこれからも、「ローランド・ブース2000」、そして、最新のJUPITERシリーズを並べた「ローランド・ブース2010」というスペースが増設されていくことは、間違いないでしょう。

▲写真7:筆者のプライベート・スタジオ。この「ローランド・ブース」に、今後どんな魅力的なシンセサイザーが加わっていくのか、楽しみでなりません。

最後に~シンセサイザーを愛するみなさんへ

みなさん、長い期間ご愛読いただき、本当に、本当にありがとうございました! もし今後、新たなローランドWebマガジンがスタートすることになった時には、ぜひともまたお会いしたいと思っています。

「シンセサイザー」は、職人のような技術的な鍛錬や、特別な電子工学的な知識を持たなくても、誰にでも楽しく、自分だけの音色をデザインすることのできる、唯一の楽器なのです。ぜひ、自分だけのオリジナリティ溢れる音色をデザインし、シンセサイザーの魅力を最大限に楽しんでください!

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Profile

齋藤久師(さいとう ひさし)

齋藤久師(さいとう ひさし)

91年ビクターエンターテインメントより日本初のテクノユニット“ガルトデップ”でデビュー。ユニット休止後、さまざまなクラブ系ユニットに参加し海外でのディストリビュートも積極的に行う。1996年より、ステージ衣装から機材などすべてを完璧に模したYMOの完全コピーバンド“Yセツ王”として活動。その後、松武秀樹率いる“Logic System”への参加や、チップ・チューンをフィーチャーしたユニット“8bit project”のメンバーとしても2枚のアルバムをリリース。また2010年には著書「DTMテクニック99(リットー・ミュージック)」を出版した。2011年には自身のユニット「pulselize」のリリースに伴い、neuron recordsを立ち上げ。また、代官山UNITサルーンにおいて毎月行われる、シンセを肴に呑む会「SynthBAR(USTREAM:http://www.ustream.tv/channel/synth-bar-blue-monday)」をプロデュース中。

Hisashi Saito Official Website:
http://www.neuronrecords.com/

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