これまで聴いたことのない音色によって、新しい演奏法が生まれるかもしれない
─ 新製品のVギター・システムVG-99を試奏していただきましたが、まずは、試奏を終えての率直な印象から聞かせてください。
高野寛(以下、T):ギター1台で、とにかくいろんな音が出ます(笑)。個人的には、これでしか出せない音に興味を持ちました。そういう意味で、ポリ・エフェクトを使った一連のプリセット・パッチのサウンドは好きですね。特にこの「Poly-Comp」は気に入りました。コンプがかかっているんだけど、かかっていないような感じで、これは他では出せないサウンドですね。僕的には、このプログラムをエディットしていろんなバリエーションを作ってみたいです。いわゆるレイテンシー(発音遅れ)も、まったく感じませんね。

▲「Poly-Comp」。各弦に独立してコンプレッサーをかけられるため、アタック/サステインの動作が弦ごとにバラつかず、統一感のあるコンプ・サウンドを実現している。
─ 具体的には、このプリセット・パッチ「Poly-Comp」のどういった部分が気に入りましたか?
T:コンプ・サウンドのまま、コード弾きの弦ごとのニュアンスが出せるという点が画期的ですね。これこそ、ポリ・エフェクターの特徴が活かされたユニークな部分だと思います。音色そのものは、ひょっとしたらそれほど新しいものではないかもしれないけど、演奏している感覚が新しいですね。こういった、これまで体験したことのないサウンドがあると、新しい演奏法が思いつきそうですよね。
─ サウンドにインスパイアされて、プレイそのものが生まれることもあるんですか?
T:やはり、音色はフレーズに強く影響しますよね。実際に今日の試奏でも、凄く単純な押さえ方しかしていないんだけど、これまでになかったような演奏表現ができました。これは本当にいいですね。
─ Dビームやリボン・コントローラーも頻繁に触られていましたが、感触はいかがでしたか?

▲Dビームやリボン・コントローラーには、搭載されているすべてのパラメーターをアサインしてリアルタイムに音色をコントロールすることが可能。Dビームなら、ギターのヘッドやプレイヤー自身の体を使って音のコントロールもできる。
T:これらのコントローラーでギター・サウンドを変化させるというのは、かなり不思議な感じでした。でも、こういったコントローラーが手元で操作できるというのは、僕にとっては嬉しいことです。バンドで使うなら、ボーカリストだとか、手の空いているメンバーに操作を頼むのもいいでしょうね(笑)。アイデア次第で面白いパフォーマンスができそうですね。そういった、ライブでアッと言わせるというパフォーマンス的な要素はもちろんありますが、VG-99のような機材には、まだ誰もやっていないようなサウンドやプレイのスタイルを発見できる可能性もありますね。固定観念に縛られていない若いミュージシャンが、これから新しい使い方を探すのかもしれません。
─ ライブという点では、チューニングを変えられるという機能にメリットを感じる方も多いようなのですが、高野さんはこの機能はどのように感じましたか? 例えば、Aメロはレギュラー・チューニングで、BメロからドロップDに変えるとか。

T:僕は、ステージ上でもギターを持ち替えずにチューニングを変えちゃうタイプなんです。でも、ステージの進行がキッチリ決まっていて、どうしてもギターを持ち変えれないとか、チューニングを変える時間がないという時にはとても便利な機能ですね。あと、この機能を使えば、開放弦をたくさん使うアルペジオで、途中から転調して半音上がるとかいうような使い方もできるでしょうし。でも、僕ならカポを動かしちゃうかな(笑)。
─ ハード派ですね(笑)。
T:ただ、それもチョイスの1つなんですよ。手元にこういった便利な機材があれば、こちらを選ぶ場合もこれから出てくるでしょうし、そこは臨機応変に使い分けていけばいいわけで。ですから、いろんな機材を知って、あらゆることに対応できるようにしておくというのは、プレイヤーとして大切なことだと思います。


