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DN-2を使うと歌のエモーションを直接ギターに注げる

─ 今回はダイナ・ドライブDN-2、メタル・コアML-2、ファズFZ-5の3モデルを試奏していただきましたが、まずDN-2の感想から聞かせてください。

試奏中の扇さん

扇愛奈(以下、O):弱く弾く時と強く弾く時で、まったく違う音色に変えられるというのが凄いですね(写真4)。弱く弾くとクリーン・トーンで、強く弾くと歪むというように、足元でエフェクターを踏み変えなくても、手元のエモーションで音色をコントロールできることに驚きました。私はよく落ちサビ、つまり、サビで私だけひとりで歌いながらギターを弾く場面があるんですが、そういう時って、自分では弱く弾いているつもりなのに、実際にはギターが歪みっぱなしということがよくあるんです。そういう時にDN-2を使えば、エフェクターを踏み変えなくてもギターがガッと歪んでしまうこともなく、弱く弾けばしっとりとクリーン・トーンが鳴らせて、最後にバンドが入ってくればまた強く歪ませるということが、音量だけでコントロールできるというのがとてもいいですね。私は、ボーカルを取りながらギター弾くタイプのギタリストなので、歌いながら足元を気にして演奏するのがとても大変なんです。それが、エフェクターを気にしなくても、手元の強弱だけでクリーン・トーンと歪みを繊細に使い分けられる点がとても気に入りました。これは本当に、歌えるエフェクターだと思います。

DN-2セッティング画面

▲写真4:DN-2の扇流セッティング
レベル、ドライブともに、ほぼセンターにセッティング。ピッキングの強弱によってクリーン・トーンと歪みを使い分けられる。なお、ピッキングだけでなく、ギター本体のボリュームで歪みをコントロールすることも可能だ。

─ 入力にとても忠実に反応するエフェクターなので、ピックアップの種類や、ギターそのものの特徴、つまりギタリストの個性がとてもよく出せるエフェクターなんです。

O:そういうことを考えると、やっぱり歌いながらギターを弾く人にはぴったりじゃないでしょうか。私自身がそうなんですが、歌いながら、歌と指先が共鳴する感じがとても心地いいんです。歌の感情が忠実にギター・サウンドに表れてきますね。ドライブをフルテンにして弱く弾いたときの、独特の枯れた感じの歪みもとてもいいですね。

─ 扇さんがDN-2を使ってみたいと思うシチュエーションはありますか?

O:いろんな場面で使えると思いますけど、例えば、ロック・バラードにもいいんじゃないでしょうか。サビで力強く行きたい時に、エフェクターのセッティングはそのままで手元だけで歪みをコントロールできるし、エンディングでクリーン・トーンに戻して、印象的に曲を終わらせるということも、これならすぐにできますよね。歌のエモーションを直接ギターに注げるエフェクターですね。

FZ-5は音が遠くならずにエッジが尖ったまま踏めるファズ

─ 一方、ML-2の歪みはいかがでしたか?

O:私は、メタルの音楽そのものはよく分からないんですが、それでもドンシャリなギター・サウンドはとても好きなんです。これを使えば、すぐにイメージ通りのドンシャリ・ギターが作れますね。メタル好きの方なら本当にいろんな使い方ができて、うってつけのエフェクターじゃないでしょうか。

─ Eマイナーでザクザク行く感じとか、いいですよね(笑)。

O:「あっ!SHOW-YAだ!」みたいなね(笑)。それと、ローが凄いですね。音が太い。しかも、これだけ歪みが強いのに、コード感がちゃんと出せることも驚きました。他のエフェクターだったら、ここまで歪ませると音がグシャッとしてしまって、何を弾いているかわからなくなってしまいがちですが、ML-2だとコード感も分かるし、分離よく音が立って聴こえます。なんか、自分が上手くなったような気がしちゃいますね(笑)。それでいて、意外とバンド・サウンドにも絡みやすい、スッキリした歪みという印象です。低音を重視するメタルの人だったら、ミュートしながら弾けば、もうそのままメタル・サウンドを出せるし、メタルじゃない人でも、音がよく伸びるのでリードなどで使えるんじゃないでしょうか。

─ 扇さんご自身は、ドライブの量を弱めにして弾かれていましたね。

O:こうすると、単にディストーションを使うよりもドンシャリにできて、しかもスッキリとした歪みを作れるんです(写真5)。例えば、ギターを何本か重ねるような場合にこの音色を使うと、ギター同士のいい絡み方を探せそうな歪みの質感ですね。バッキングにも、充分使えると思います。ですから、"メタル"という名前が付いていますが、私みたいなメタルがよくわからないようなギタリストにも、使い方によってはいろいろと活用できる歪みだと思います。守備範囲が広くて、私の中でも新しいタイプの歪みでした。

ML-2セッティング画面

▲写真5:ML-2の扇流セッティング
ディストーションの量をあえて控えめにするのが扇さんスタイル。これで、メタルに限らず、幅広いジャンルの音楽に使えるドンシャリなディストーション・サウンドが得られる。もちろん、ディストーションを思い切って上げれば、ヘヴィ・メタルにバッチリだ。2バンドのEQを使えば、メタリックな質感をハイで、7弦ギターやドロップ・チューニングでのぶ厚い音圧感をローでコントロールできる。

─ FZ-5のファズ・サウンドはいかがでしたか?

O:FZ-5に用意されている3つのモードの中では、私は"FACE"が一番好きな歪みでした(写真6)。まず、オリジナルのモデルよりも強く歪むというのが凄いですね。それでいて音が遠くならないという点が印象的でした。ファズって、私の中では音が遠くなっちゃうイメージを持っていたんです。「ココロジュース」の冒頭は、ライブでは私がファズをかけて弾いているんですが、どうも音が遠くなってしまうのが気になっていたんです。でもFZ-5なら、歪みと一緒にエッジも効いてくれますね。

FZ-5セッティング画面

▲写真6:FZ-5の扇流セッティング
扇さんお気に入りのFACE(F)は、1960年代後期の円盤型ファズをモデリングしたサウンドで、サイケデリック・サウンドには欠かせないファズだ。ゲルマニウム・トランジスターAC128を使用したファズを再現しており、ファットなサウンドを前面に押し出せる。なお、MST FUZZ(M)は、ゲルマニウム・トランジスター2N2614を使った高域が強調されたファズ・サウンド、OCTAVE FUZZ(O)は、音が減衰するとともにオクターブ上の音が重なってくるビンテージ・ファズのモデリングだ。

─ 実際にオールドのファズを使うと、確かに音は丸くなってしまいがちですよね。

O:そうそう、高音が丸くなって、ギターが遠くに行っちゃうんです。ライブでも、ファズを踏む時っていうのは、気持ち的にはガッと前に出たい時なのに、音がその気持ちに伴わないという印象は常に持っていたんです。ですから、このFZ-5なら、より尖った気分のままファズをかけられますね。それと、この1台だけで、まったくキャラクターの違う3タイプのファズを鳴らせるというのもいいですね。"MST FUZZ"は、単音のリフにぴったりだし、"OCTAVE FUZZ"は、もうノイズ系でメチャクチャ弾いちゃうと面白そうです(笑)。このFZ-5だけでなく、DN-2、ML-2と、今回試奏させていただいた3つのモデルは、同じ歪みでもいろいろとバラエティーが豊かで、私のライブでも実際にすぐに使ってみたいものばかりでした。本当に、楽しかったです(笑)。

─ こういった歪みの使い分けというのは、ギターをプレイするうえの醍醐味のひとつだと思いますが、同じようにギター・プレイを楽しんでいる読者に、最後にひとことメッセージをお願いします。

試奏を終えて

O:ギターって、最初にも言ったように一心同体になれる楽器だし、私は、たくさんある楽器の中でもっとも自分の思った音を出してくれる楽器だと思っているんです。私と一緒に共鳴してくれるし、ひねくれてもくれて、さらに歪んでもくれる。だから、私はギターが大好きなんです。私と同じようにギターが好きな皆さんには、好きな曲をいっぱいコピーしてみて欲しいですね。自分のギターで好きな音をたくさん鳴らすことで、どんどんギターとの絆を深めていけると思うんです。これだけ毎日、一緒に過ごしている楽器ですからね。皆さんにも、ギターと仲良くして欲しいと思います。

 
Profile:扇愛奈

1985年7月4日神奈川生まれ。A型。小、中学校と女子校生活を送るが、校則が厳しく自由に音楽活動が出来なかったため、親の反対を押し切って、エスカレーター式の高校推薦を蹴り高校受験。その後、シンガー・ソング・ライターとして本格的に音楽活動をスタートする。一本のデモ・テープがきっかけとなり、2005年8月にミニ・アルバム『扇愛奈入ります。』でメジャーデビュー。その後も学生生活を続けながら、3枚のシングルと1枚のアルバムをリリースする。2007年、映画「キャプテントキオ」のサウンドトラックに参加し、6/20にミニ・アルバム『海鳴りライダー』をリリースするなど、多彩な活動を展開している現役の大学4年生。
扇愛奈 オフィシャルHP: http://www.ougiaina.jp/

 
Information
《リリース情報》

MINI ALBUM
『海鳴りライダー』
2007/06/20発売
VICL-62415
¥2,100(TAX IN)

『海鳴りライダー』