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生楽器にTBフィルターをかけるといった、まったく新しい発想を実現できるシンセ

─ 生楽器のリアルな演奏表現ということで高い評価をいただいたAP-Synthesisですが、実はそれだけじゃなくて、例えば矩形波とAP-Synthesisを組み合わせるといったように、まったく新しい音色を作ることもできる技術なんです。

L:矩形波を二胡のフレーズ・モデル(奏法)で演奏するという活用法ですよね。このサウンドは実際に試してみましたけど、とてもユニークでした。

試奏するDJ YOSHITAKAさん

Y:確かにこれまで聴いたことのない音色で、ビックリしました。音色から受けるインスピレーションが抜群ですよね。

L:それと、AP-Synthesisの生楽器のサウンドにCOSMセクションのTBフィルターをかけるとかね。これも凄いよ。V-Synth GTにはボーカル・デザイナーとかAP-Synthesisとか凄い機能がたくさん搭載されていますけど、僕としてはTB-303のサウンドだとか、本家本元のローランドさんしか追及できない部分を極めて行って欲しいと思っているんですよ。そういう意味でも、こののCOSMセクションのTBフィルターは嬉しいですね。

─ TBフィルターは初代のV-Synthから搭載されているものですが、回路構成や動作など、TB-303を徹底的に解析して設計しているんです。そのうえで、こういう信号を入力した場合、TB-303のフィルターならこういう風に動作をするだろうという、動作をモデリングする技術がCOSMなんです。ですから、単にTB-303の出音をシミュレーションしているモデルとは、フィルターのニュアンスがまったく違うと思います

T:例えばAP-Synthesisを使って、トランペットの音色でアルペジエーターを走らせて、TBフィルターをオンにしたら……、うわぁ! TB-303の音だ!(笑)

S:しかも、ホルンのような音色にも聴こえるよね。つまり、AP-Synthesisだからと言って、決して生楽器の音色表現だけではないんですね。生楽器にTB-303のフィルターをかるなんていう、これまではあり得なかった音を作れるという意味では、V-Synth GTは本当の意味で"シンセサイザー"ですよね。

Y:何だか、僕らbeatmania ⅡDXサウンド・チームのために開発してくれたシンセなんじゃないかと思っちゃいますよね(笑)。SUPER-SAWを使った音色だとか、定番サウンドも間違いないクオリティですし。SUPER-SAWは、僕ら、みんながお世話になる音だよね。

S:SUPER-SAWはJP-8080の時から好きで、V-Synth XTでもよく使うんですけど、V-Synth GTならOSC1とOSC2の波形にSUPER-SAWを選んで、さらにデュアル・コアだからアッパー・トーンとロワー・トーンをレイヤーさせれば……、V-Synth XT4台分のSUPER-SAWを重ねられる! これは物凄いインパクトだよね(笑)。

プリセット・パッチ「Delay Pad」

▲画像3:プリセット・パッチ「Delay Pad」。 「こういうパッド・サウンドは、もうハード・シンセならではですよね。V-Synth GTは、定番サウンドもバッリチです」(DJ YOSHITAKA)

新しい音楽を生み出すポテンシャルを秘めたV-Synth GT

─ ユーザー・インターフェースなど、操作性はいかがですか?

S:やっぱりカラー・ディスプレイが採用されて、しかもタッチパネル式ですから、断然、使いやすくなっていますね。

試奏するL.E.Dさん

L:タッチパネルの感度もいいですよね。ディスプレイ画面内のボタンやツマミもスムーズに動くし、間違って隣のパラメーターが動作してしまうようなこともないですし。

Y:レゾナンスだとか、それぞれのパッチに対応したパラメーターが、ディスプレイ画面下のフィジカルなツマミでコントロールできるというのも分かりやすくていいよね。それと、USBメモリーを接続できるんですよね?

S:そうそう。だから、自分で作ったサンプル素材をV-Synth GTに読み込ませることもできるし、さらにそのサンプルをV-Synth GTのバリフレーズ(注:サンプリング素材の「ピッチ(音程)」、「タイム(再生速度)」、「フォルマント(声の質)」を独立してリアルタイムに変化させられるローランド独自の技術)でエディットすることもできるよね。あと、これはV-Synth XTの頃から感じていたことだけど、内蔵エフェクトの質がかなりいいよね。

─ 実際のレコーディングでは、シンセのエフェクトは内蔵のものを使いますか?それとも、DAWソフトに録音して、後からプラグインをかけることのほうが多いですか?

Y:基本的には、エフェクトも含めてシンセ単体で音色を完成させることが多いので、質のいいエフェクトが内蔵されている点は、とても便利ですね。プラグインで後がけするのは、他パートとの関係でサウンドを整える程度のエフェクトですね。

プリセット・パッチ「Megalon」

▲画像4:プリセット・パッチ「Megalon」。 「V-Synth XTにもプリセットされている音色で、コンピレーションCD『cyber beatnation 1st conclusion』に収録した「LOVELY STORM」という曲で使いました。V-Synth GTなら、さらにロワー・トーンに音を重ねられますから、いろんな音色をプラスして使ってみたいですね 」(L.E.D.)

─ 他に何か気づいた点はありましたか?

S:マイク端子がファンタム電源対応で、コンデンサー・マイクを接続できるという点もプロ仕様ですよね。こういう細かい部分がしっかりと考えて作られているのを見ると、やっぱり「メイド・イン・ジャパン」という気がするよね。

T:日本の技術だよね。ツマミを触った時の感触もいいし。

S:サウンド面での技術はもちろんだけど、例えばエンベロープが、パネルにスライダーで用意されている点だとかね、とても実用的だよね。スライダーだと、見た目でパッとエンベロープの形状が分かるけど、ツマミだと分からないんだよね。そういったところに、ローランドさんのシンセに対するこだわりを感じますよね。

L:最近、曲を作る際に「この曲はこのイメージで」という発想が、自分の中でワンパターン化されているような気がしていたんです。でも、今回V-Synth GTを試奏してみて、AP-Synthesisの音色などは他のシンセではあり得ない表現力だから、このV-Synth GTがひょっとしたら自分のワンパターン化されつつある発想を変えてくれるきっかけになるんじゃないかな、と感じています。自分にとっても、チャンスかな、と。

S:こういった新しい技術や音色が、新しい音楽を作り出すよね。僕はJP-8000のSUPER-SAWがなかったらトランスは生まれなかったと思っているんです。それと同じような可能性をV-Synth GTにも感じますね。

Y:そういう意味でも、V-Synth GTは新しい音楽を生み出すだけのポテンシャルを充分に持ったシンセサイザーだと思います。

 

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