新しいHandSonicは、サウンドが増えて操作性がシンプルになったんだね
─ 前回のデヴィッド・シルヴィアンさんのワールド・ツアーではHandSonic 15を使用されていましたが、新しいHandSonic 10の印象はいかがでしたか?
S:コンガやジャンベ、カホーンなど、エスニック・パーカッションのサウンドが増えたようだね。操作性も随分シンプルになった印象があるけれども、これはビギナーをターゲットにしている、という意味合いなのかな?

─ 操作性をシンプルにした理由は2つあって、当然ながらビギナーの方に手軽にパーカッションを楽しんで欲しいという部分と、プロの方でも、複雑な機能は使わずに、もっとシンプルにパーカッションをプレイしたいという方に使っていただきたいという目的があります。例えば前回のデヴィッドさんのツアーのように、HandSonicを叩いて外部MIDI音源を鳴らすようなシステムならば、こちらのほうがコンパクトですし、操作性も楽になっています。

S:なるほど。僕としては、このHandSonic 10にSPD-Sのようなサンプリング機能が搭載されたら、最高だと思う。もちろん、僕が「何を作ってくれ」と言うつもりはないんだけどね(笑)。あと、先日のデヴィッドのショーの時に思いついたんだけど、SPD-Sのパッドに3~4個のサンプルを割り当てて、それを順番に叩いてフレーズを鳴らすというプレイがあるんだ。その際に、サンプルごとに音色をパッドに割り当てるのではなく、同じパッドを使って、1回叩くたびにサンプルが自動的に順番に切り替わってくれると、とても演奏しやすいんじゃないかと感じたんだ。例えば、サンプルA、B、C……というような順番にね。そうすることで、1つのフレーズを演奏できる。
─ その機能は、SPD-Sにはないんですが、V-Drumsには搭載されています。V-Drumsでは、音色を鳴らす順番まで設定できるようになっているんです。
S:そうか、もう実現されていたのか(笑)。今度試してみるよ。そう、そのV-Drumsのパッドくらいのサイズで、パッドの数は4つとか少なくてもいいけど、SPD-Sのようにサンプリングしたサウンドを鳴らせると、僕のようにドラム・キットに組み込んで使う場合には、とてもプレイしやすいと思う。
─ SPD-Sは、HandSonic 10のように手で叩くということもできますが、そういったプレイをしたことはありますか?
S:僕はないけど、そういうアイデアもあるね。少し近い使い方としては、(高橋)幸宏さんは、自作の小さなビーターを使ってSPD-Sを演奏していたよ。ああいった使い方も、いいかもしれないね。
エスニックなサウンドを奏でることは、ひとつの素晴らしい文化交流だ
─ スティーヴさんは、HandSonic 10やSPD-Sのようなエレクトロニック・パーカッションの楽しさをどのように感じていますか?
S:僕の息子は7歳なんだけど、自宅でヘッドホンをしながら夢中でHandSonic 15を叩いていたりするんだ。やっぱり子供にとって、こういう新しい楽器から出てくるサウンドはとても新鮮で刺激的だと思うし、「何だ、これは?」と興味を持ってくれるのは、とてもいいことだと思う。HandSonic 15のループ機能、HandSonic 10ならスタイル・ガイド・メトロノームを使って、例えばタブラのループを鳴らすだけでもいいし、それに合わせて演奏することで、ある種の文化的な交流にもなるからね。そういうことが手軽にできるということは、とても素晴らしいことだと思うよ。
─ これからの、ローランド製品に対する期待は?

S:最近のローランドのエレクトロニック・パーカッションは、本当にいい方向に進んでいると思う。V-Drumsやサンプリング技術が進化していることは、とても喜ばしいことだ。V-Drumの最上位モデルは、確かになかなか簡単には手に入れられないとは思うけど、そのミニチュア・モデルだとか、もっと長時間のサンプリングが可能になるとか、コストの問題もあるだろうけれども、そういった部分がこれから先、さらに進化してくれると嬉しいよ。僕がドラムを始めた頃は、実際にドラムセットの前に座って、その奏法を学んで、録音するにしても曲の最初から最後までを叩き切るしかできなかった。その頃に、これらの楽器と出会っていたら自分の音楽性がどう変わっていたかなんていうことは、あまりに当時と今の時代が違い過ぎて想像できないな。だけれども、間違いなく言えることは、HandSonic 10やSPD-Sは、今の時代を象徴したまったく新しいタイプの楽器だということだね。


