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Vol.15:実力派キーボーディスト、東京60WATTS杉浦琢雄がJUNO-STAGEをチェック

JUNO-STAGE

76鍵完全ステージ仕様のJUNOシリーズ最新モデル

軽量/簡単操作のJUNOシリーズに、新開発鍵盤搭載、マイク入力に対応したステージ・シンセサイザーJUNO-STAGEが登場。

 

ピアノ教室の発表会でも弾き語りをやっていた

─ 杉浦さんがピアノを始めたきっかけは何だったのですか?

杉浦(以下、S):3歳か4歳の頃に、ピアノ教室に通い始めたことがきっかけで、高校3年生の大学受験直前の時期までピアノは習っていました。

─ では、基本はクラシック・ピアノだったんですか?

S:いや、実は中学に進学する頃に、一度ピアノ教室は辞めたんです。その後に、またすぐに習い始めるんですが、そこからは自分の好きな演奏をさせてもらえる先生に習うようにしたんです。ですからそこでは、今やっているような、例えばビリー・ジョエルだとか、そういうポップスの弾き語りなんかもやっていましたね。

─ ということは、やはりお好きなキーボーディストも、そういった歌モノ系の方ですか?

S:そうですね。歌モノだとビリー・ジョエルや、リチャード・ティーも大好きですね。STAFF(ゴードン・エドワーズ/Bs、スティーヴ・ガット/Dr、リチャード・ティー/Keyらにより結成され70年代に活躍したフュージョン・バンド)も大好きですけど、ポール・サイモンなどのバックをやっているリチャード・ティーがものすごく好きなんです。歌モノのバックで弾くピアノやローズ・ピアノ、さらにはシンセ・ベースは、名演ですよね。そういう、フュージョン・バンドと歌モノのバックという、一見すると両極端なジャンルが、僕の中では完全につながっているんです。

─ 曲作りも、クラシック・ピアノを卒業した頃から始めたのですか?

S:曲を作り始めたのは東京60WATTSに参加してからですから、作曲歴はおよそ10年ぐらいです。

─ プレイヤーとしてピアノを弾くのと、曲を作る作業は大きな壁があるように思うのですが、作曲の勉強も行ったのですか?

S:いえ。僕も壁があると思ってたんですけど......、意外に飛び越えられちゃったんですね。元々、ピアノを弾くだけでなく歌うことも好きで、普通のクラシックの発表会でも弾き語りとかやっていたくらいだったので(笑)。そういう意味では、それほど大きな壁は感じませんでしたね。

─ メロディ・メーカーとしての素養を昔から持っていたんですね。では、今でも曲作りの際は、やはりメロディから手をつけることが多いのですか?

S:先に詞があってそれにメロディをつけることもあれば、メロディ先行で、後から詞をつけてもらうパターンもあって、半々くらいです。どっちかというと、詞が先にあったほうがメロディは作りやすいですけどね。

プレイをシンプルにしたことで、コードの響きを意識した印象的なフレーズにできた

─ メロディを考える際は、やはりピアノを弾きながら、というスタイルですか?

S:9割5分がピアノですね。残りの5分は、アコギ(アコースティック・ギター)だったり。

─ その残りの5分では、意図的にアコギを手にするのですか?

S:無意識なことも多いですけど、おそらく、敢えてアコギを手に取ってるんだと思います。ピアノばかりだと、どうしても曲が同じような傾向に陥ってしまうことがあるんです。でもアコギだと、ボイシングがピアノとは全然違いますし、コード感やリズムのアプローチも変わってきますから。アコギだとジャカジャカと、かき鳴らしながら歌えるけど、ピアノで曲作りを始めると、やはり最初はバラード的なスタイルからスタートすることが多くなります。その後のアレンジで、弾きまくる曲に変えることはありますけど。

─ シングル「たまにはこんなラブ・ソング」は杉浦さんの手によるものですが、この曲はどのような形で作曲したんですか?

S:先に歌詞がありました。ただ、元はまったく違う歌詞だったんですよ。その詞で一度ライブをやったら、ものすごく不評で(笑)、3~4年寝かしていた曲なんです。その曲を引っ張り出してきて、歌詞を書き直したんです。ですから、僕ら的には「これはこういう曲だ」という形があったんですね。でも、今回シンタくん(常田真太郎/スキマスイッチ)にプロデュースをしてもらうということになって、アレンジを一度全部バラして、僕のピアノの弾き語りの状態のデモを渡したんです。しかも、余分なテンション・コードとかも入れずに、極力シンプルな形で。結果的に、いくつかの候補曲の中からこの曲が選ばれて、そこからバンド・アレンジに入る前に、シンタくんがSTAFFだとか、リチャード・ティーが参加しているマニアックなCDを持って来てくれて「こういうアプローチはどうだろう?」と言った話をお互いしながら、イントロのパターンを作っていきました。

─ ホーン・セクションが賑やかに入っているあたりも、そういった話し合いの中から生まれてきたアイデアだったのですか?

S:たぶんシンタくんの頭の中には、デモを聴いた段階で管楽器と弦楽器の両方が入った賑やかなイメージがあったと思うんですが、それもガチガチに決めるのではなくて、バンドの5人だけでオケができ上がる過程を見つつ、入れていったんだと思います。ですから、バンドが自由にできる余地は残してくれてましたね。この曲に限らず、アルバム『60』では、過去の作品に比べると、ピアノが前面に出る感じが少ないかもしれません。でも、これまで勢いで弾いていた部分をそぎ落とすことでプレイをシンプルな方向に持っていった分、コードの響きなどに気をつけて、印象的なプレイができたと思っています。そこが自分でも気に入っていますね。