JUNO-STAGEのピアノ・サウンドは、プリセットのままでも
バンド・サウンドに埋もれない抜けのよさがある
─ 新譜では、どのような楽器を使いましたか?
S:レコーディングでは、ピアノは全曲アコースティック・ピアノで、曲によってエンジニアさんと相談しながらサウンドを作っていきました。エレピは、全部Fantom-Xです。オルガンは、VK-7かV-Comboをロータリー・スピーカーに接続して鳴らしています。ライブでは、RD-700SXがメインですね。東京60WATTS以外のバンドでサポートとしてキーボードを弾く時は、それこそFantom-Xのフェイバリット・ボタンに音色をアサインして、順番にパッチを呼び出しながら演奏したりしていますよ。
─ 今回、ステージ・プレイヤー向けのシンセ、JUNO-STAGEを試奏していただきましたが、第一印象はいかがでしたか?
S:フェイバリット・ボタンが大きくなっていたり、フット・スイッチでパッチを順番に呼び出せるだけでなく、逆方向順に戻していけるとか、ステージでの使い勝手がよさそうですよね。東京60WATTSのライブでは、これまでは全部ピアノだけでやってますが、エレピも入れてみたいと思ってますし、同じピアノでも微妙に音色のテイストを変えてみるようなこともしたいと考えているので、とても便利そうですよね。
─ プリセットのパッチを入念に1つずつチェックされていましたが、必ずプリセットは細かくチェックするのですか?

S:1度はひと通り聴きますね。それで好きな音色をピックアップして、ユーザー・エリアのほうに保存したりします。JUNO-STAGEのプリセット・パッチは、そのまますぐに使えそうな音色が各カテゴリーの最初にきているという印象を受けました。中でも、88鍵ステレオ・マルチサンプリングの新しいピアノ・サウンドが最初にきているあたりは、僕にとってはありがたいですね。東京60WATTSの場合、ピアノでグルーヴを作るという要素が強いので、いかに気持ちがいい音域を探すかということが重要になってくるんです。高音域で音色を立たせることはある程度できますが、僕のプレイ・スタイルとして、中低音域でコードを弾きつつリズムを生み出しているので、この音域でピアノがバンド・サウンドに音が埋もれないかということには、とても気を使っています。だた、JUNO-STAGEのような最近のシンセのピアノ・サウンドは、プリセットのままでも基本的に埋もれないサウンドになっているので、素晴らしいと思っています。
─ ステージ・パフォーマンスを考慮した76鍵モデルという点については、いかがですか?
S:88鍵のピアノを弾き慣れていると、やっぱり61鍵は少々微妙なところがあって、「あと1個鍵盤があれば」と感じることも多々あるんです。でも76鍵だとそこそこカバーできるし、エレピであればオリジナル・モデルだって73鍵だったりしますから、まったく問題ないですよね。しかも本体が9.8kgと、ソフト・ケースに入れて持ち運べる重量ですから、程よい鍵盤数だと思います。鍵盤自体にもおもりがついていて、ベロシティーの変化や発音タイミングが気持ちいいですね。こういうシンセ鍵盤でピアノ・サウンドを弾く機会も多いんですが、あまりタッチが軽いと、かえって力が入ってしまったりするんです。でもこれなら一度慣れてしまえば、違和感なく演奏できそうです。細かい部分だと、このツマミ(サウンド・モディファイ)のフィーリングがすごく気持ちいいですね。滑らかで。しかも、ツマミの誤動作を防ぐロック・ボタンが用意されている点もライブ向きですよね。僕は結構、ライブ中にピアノやオルガンをブッ叩いたりするので、勢いでツマミが動いちゃったりするんですよ(笑)。
─ アコースティック・ピアノやエレピの音色でも、プリセットをエディットすることは多いのですか?
S:エディットしますよ。ピアノでも、ちょっと明るい響きにしたり、柔らかくしたり。あと、会場によってローの回り具合とかも変わってきますから、EQだとかすぐにツマミでいじれるのは便利ですね。ちょっと中高域を持ち上げるだけで、音抜けがよくなったりしますから。でも、そういった調整だけでなく、ピアノの音色でも、極端にEQを上げ下げするのも面白いと思いますよ。昔のライブ録音だとか、アコースティック・ピアノにしても、音の線がすごく細くて結構ペラペラだったりするじゃないですか。でも、すごく抜けがよくて、歌のバックで存在感がものすごくあったりして。STAFFとかでもそうですけど、そういう雰囲気を出したい時には、EQでハイをフルに上げたりすることもありますよ。

いろんなパートを練習することで、自分の音楽観を広げていける
─ その他に、気になった機能などはありますか?
S:オーディオ・ファイルやMIDIファイルを再生できるソング・プレーヤー機能は、僕だったらバリバリ使うと思います。例えばデモを作る際に、今ではFantom-Xのシーケンサーでリズムを打ち込んだりしているんですが、それをデータでJUNO-STAGEに持ってきたり、ピアノ抜きのWAVファイルをメンバーからもらって、それを再生しながらピアノ・パートを練り直したり。マイクを接続すれば、歌とあわせることもできますからね。最近は、スタジオでのレコーディング後に、エンジニアさんからUSBメモリでデータをもらうことが多いんです。今まではCD-Rでもらって、それをイヤホンで聴きながら、その上からシンセに接続したヘッドホンを重ねて(笑)プレイを組み立てるということをやっていましたが、JUNO-STAGEならUSBメモリをダイレクトに接続して再生できて、ピアノも歌も演奏できるんですから、便利ですよね。ディスプレイにデータのリストも表示されますから、見た目的にも分かりやすいですし。

─ パソコンで再生順を変更できるソフトウェアも付属されていますから、ライブ時のオケのデータを鳴らす際も、セットアップが簡単です。
S:ライブのオープニングも、自分たちのタイミングで鳴らせるわけですからね。今回のアルバム・ツアーでも、Fantom-Xで打ち込んだ曲を出囃子で使っていたので、まさにそういう使い方もできますし、曲のアイデアを練る際にも役立つと思いますよ。
─ ボーカルやソロ・パートを消せるセンター・キャンセル機能も搭載されていますし、オーディオ・プレーヤーを接続できるEXT INPUT端子もパネル上に用意しているので、いろんな活用ができると思います。
S:センター・キャンセル機能も、すごく効きがいいですよね。これまでも、練習用ツールなどでこの機能が搭載されたモデルがありましたが、まさかシンセに内蔵される時代が来るとは思いませんでした(笑)。
─ それでは最後に、ピアノやシンセを楽しんでいる読者にメッセージをお願いします。
S:自分のパート、僕だったらピアノですが、バンドのカラーを出すために「ピアノしかやっちゃいけない」と決めつけてしまいがちですが、あまり自分のパートにとらわれずにいろんな楽器を楽しんでみるといいと思います。僕もピアノをずっと弾いてきましたが、実は学生時代はドラムばかり叩いていた時期もあって、しかも遊びではなく、結構真剣にドラムを練習していたんです。そこでルーディメンツを練習したことが、シンコペーションの効いたフレーズが多いという僕のピアノ・スタイルにも活きていると思います。もちろん、歌も歌ってましたし、そういったピアノ以外の楽器の練習が何ひとつ無駄にならずに、ピアノに役立っています。ですから、キーボーディストに限らず、いろんな楽器にもチャレンジしてみることで、自分のパートに対する考え方が、これまで以上に大きく広げていくことができると思います。

Profile:東京60WATTS
森利昭(Dr)、杉浦琢雄(Pf)、大川たけし(Vo)、佃太郎(Gt)、大山敦史(Bs)
1999年に、大川たけし(Vo)が、佃太郎(Gt)、杉浦琢雄(Pf)らと結成。翌2000年に大山敦史(Bs)、2002年には森利昭(Dr)が加入し、現在の「東京60WATTS」(トーキョーロクジュウワッツ)が集う。2003年8月に初のミニ・アルバム『すべてのバカモノへ』をリリースし、2004年1月にシングル「外は寒いから/ふわふわ」でデビュー。いきなりFM802のヘビーローテーション、T-FMのセレクション等に選出され、注目を集める。2004年3月の1stアルバム『WATTS!GOING ON』リリース時には、FM802主催の大阪バナナホールで行われたショーケース・ワンマンライブで300名の当選枠に対し10倍もの応募が殺到するほどの人気となり、6月には、初のワンマン・ライブを東京SHIBUYA-AXと大阪BIG CATで行う。2005年9月には、細野晴臣、小坂忠ら日本を代表するミュージシャンを生んだ地、狭山市で行われた、「ハイドパーク・フェスティバル」に大川と杉浦が新人としては異例の大抜擢で参加を果たす。2006年6月にFIVE Dとavex entertainmentで立ち上げたレーベル"FIVE D plus"より、3rdミニ・アルバム「clover」をリリースし、2007年1月に東京60WATTSの集大成ともいえる2ndフル・アルバム『東京』を約3年ぶりに発表。CD発売記念ワンマン・ライブを東京・代官山UNIT、大阪・梅田シャングリラで開催し、大阪公演はSOLD OUT追加公演を神戸にて行う。そして今年5月21日には、常田真太郎(スキマスイッチ)プロデュースにより、待望の2ndシングル「たまにはこんなラブ・ソング」、そして6月25日には待望の3rdアルバム『60』をリリースした。
東京60WATTSオフィシャルサイト:http://tokyo60watts.com/
Information
■CD
アルバム『60(ロクジュウ)』

FIVE D plus
VFCV-00027 ¥2,800
シングル「たまにはこんなラブ・ソング」

FIVE D plus
VFCV-00025 ¥1,050
■LIVE
2008.8.28(木) LIVE TOUR「60」追加公演/梅田シャングリラ(大阪)
2008.9.7(日) 大ねこ背ロック/Zher the ZOO YOYOGI(東京)
2008.9.13(土) Atomic Monster Festival Vol.3 in Tokyo/DUO MUSIC EXCHANGE(東京)
※詳細は、上記オフィシャルサイトをご覧ください。

