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Vol.16:クラシック界のトップ・プロがR-09HRでオーケストラを録る

EDIROL R-09HR

音を感動に変えるリニアPCMレコーダー、EDIROL R-09HR

コンパクト&高音質の基本コンセプトはそのままに、24ビット/96kHzリニアPCM録音へ対応したポータブル・レコーダーの"新基準"。

 

驚くほどリアル。人間の耳で聴こえるのとまったく同じ響きが、
見事に録れている~バイオリン

─ これまで、ご自身で演奏を録音するような経験はありましたか?

三浦(以下、M):その昔は、ポータブル・カセット・レコーダーで録音してましたよ。外づけのマイクを使って。でも、マイクのスイッチを入れ忘れて、何度も録音に失敗したことがあります(笑)。しかも、いいマイクを使わないと、結局はいい音で録れないんですよね。今回、最初にR-09HRのデモ録音の音を聴いて、あまりにも音がよくて驚きました。これなら、自分でCDを作れそうな音質ですよね。

─ 実際に演奏を録音してみての、率直なご感想をお聞かせください。

M:超リアル。そのひと言ですね。十分過ぎるクオリティですよ。今日はホールではなくて響きの少ないスタジオだったから、特にバイオリンの音がリアル過ぎるくらいに聴こえる印象でした。これだけリアルに録れるなら、きれいに響くホールだと奥行き感まで録音できそうですね。ソロやカルテットの練習の参考にもなるんじゃないかな。リハーサル時に客席で録音してみて、その日のバランスをチェックするのに最適でしょうね。もちろん、本番の録音用に使っても、まったく問題ないでしょう。

─ CDクオリティの16ビット/44.1kHz録音だけでなく、24ビット/96kHz録音も試していただきましたが、サウンドの違いは感じられましたか?

M:いや、もう歴然と違いましたよ。CDクオリティでも十分過ぎると思いましたが、24ビット/96kHz録音はさらにヤバイですよ(笑)。もう「聴こえ過ぎ」と言っていいくらい。だから、響きのない部屋だと弦を弓で擦る音までそのまま録れてしまうので、響きの豊かなホールで録音することで、かえって音楽的な意味での"クリア"なサウンドにできるんじゃないかと思います。そもそも、人間の耳がそうですからね。まったく響きのない部屋で弦楽器の音を近くで聴くと、どうしても弦を擦る音がガリガリと聴こえてしまう。だけど、響きのいい空間だと弦を擦る音は弱まって、楽器が本来持っている音色、音の芯の部分がしっかり聴こえてくるんです。ただ一般的には、ホールの客席くらい楽器から離れた場所にマイクを置くと、人間の耳に聴こえている感覚以上に音がボヤけて録音されてしまうんです。だから通常のレコーディングでは、楽器の近くにマイクを立てて、それに電気的に後から響きを加えるわけです。でもR-09HRなら、おそらく人間の耳で聴こえる音とまったく同じ音が録音できると思うので、そういう意味でも、ぜひともホールの客席で演奏を録音してみたいですね。

 

三浦章広(バイオリン奏者)

Profile:三浦章広(バイオリン奏者)

1961年生まれ、大阪出身。4歳よりバイオリンを始める。1984年に筑波大学第二学群人間学類を卒業。同年第53回日本音楽コンクール入選し、翌年NHK交響楽団に入団する。その年第21回東京国際音楽コンクール弦楽四重奏部門において斉藤秀雄賞受賞。1993年大阪、東京にてデビュー・リサイタルを行い、高い評価を受ける。NHK交響楽団第1バイオリン・フォアシュピーラーを経て、1999年には、新星日本交響楽団首席コンサート・マスターに就任。現在、東京フィルハーモニー交響楽団コンサート・マスター。国立音楽大学、洗足学園音楽大学講師。これまでに中島美子、徳永二男、フェリックス・アーヨ、エルネ・セべスティアンの各氏に師事。

 
 

僕の楽器の音色をそのまま録音してくれた初めての経験。
この音の良さは感動的~オーボエ

─ R-09HRを実際に使った印象から聞かせてください。

小林(以下、K):意外と簡単、というのが第一印象でした。僕はマニュアル・アレルギーで、こういう機械を手にすると身構えちゃんですよ(笑)。でも、R-09HRは「きっとこう使えばいいんだろうな」という感じで操作ができました。ボタンも少なくて分かりやすいし、いい音を録るための機能だけをシンプルにまとめている点がいいですね。それと、外づけのマイクを用意しなくてもこれだけのクオリティで録音できるというのは、僕にとっては驚きでした。その昔、カセットテープのポータブル・レコーダーを使っていた頃は、内蔵マイクを使うとレコーダー自身のノイズまで録音されてしまうので、我々のような演奏を録音する目的ではなかなか使えませんでしたから。

─ 記録メディアがSDカードなので、テープやMD、ハードディスクのような駆動系メカがなく、内蔵マイクでもクリアに録音できるんです。

K:しかもコンパクトですしね。少し前までは、とにかく機械も持って出歩くということが面倒で、自分で録音しようなんて思わなかったわけです。でもこのサイズなら、ポケットに入れて持ち歩けますからね。結局、我々のようなユーザーは、「手軽にいい音が録れて、小さくて軽い」というのが一番なわけです。それ以上のものを求めるのであれば、パソコンとかを利用すれば、いくらでもこだわって録音できるわけですからね。

─ サウンド面の印象は、いかがでしたか?

K:これは本当にすごいと思いました。オーボエという楽器は、録音すると絶対に"ひどい音"になってしまうんです。周りで聴いている人はそれほど感じないかもしれないけど、演奏している本人からすると「こんな音じゃないだろ」って毎回思ってしまうんです。これまで、MDやDATで録ってみて「自分が出している音はこんな音なのかな」ってずっと思っていましたし、プロに録ってもらっても、同じように感じることもあります。僕が自分の演奏を録音する習慣がないのは、実はそういった"ひどい音"で録音されてしまうのが嫌だったからなんです。でも、R-09HRで録った音を聴いたら、今、演奏している時に、自分の耳で聴いていた音とまったく同じでした。これは、衝撃的でしたね。実は、わざと「キーン」と聴こえるくらいの高い音から、すごく低い音までが鳴るフレーズを演奏してみたんですが、高音は耳に痛くない音で録れてるし、低音は太い音で録れていました。これだけのクオリティで録れるなら、率直に欲しいと思いますね。

─ オーボエを録る場合のポイントはありますか?

K:オーボエって、実際に振動しているのはリードですが、音はベル部分から出てくるので、マイクをベルに向けると生音が録れてしまいます。ですので、少し上側から楽器全体を面のように考えてマイクで狙うといいでしょうね。あと、あまり近寄らないほうがいいでしょう。三浦くんが言っていたようにリアル過ぎて、キーがカチカチ動く音まで録れてしまうので、やや離れた位置がいいと思います。ただ、リアルに録れ過ぎる特性を逆に利用して、きちんと吹けているかどうかを確認するために、あえて近くで録ってみるのはいいかもしれません。オーボエのようなダブル・リードの楽器って、上手く吹けた時とそうでない時の差が激しいんです。これだけリアルだと、上手く吹けた時のきれいな響き、失敗した時の乱暴な感じが、ものすごくよく分かります。ここまで如実に分かってしまうと、演奏者的には怖さもありますが(笑)、でもこれだけクリアに録れる精度があれば、ただ単に録音したいという人から、練習用にシビアに演奏をチェックしたいという人まで、いろんなニーズに応えられそうですね。ホールでの練習を録ってみると、自分自身の勉強にもなると思いますし、これなら「録ってみよう」という気持ちにもなりました。貴重な体験をさせていただいて、感謝しています。

 

小林裕(オーボエ奏者)

Profile:小林裕(オーボエ奏者)

文化学院高等部を卒業後、スイス、バーゼル市立音楽院に入学。オ-ボエをアンドレ・ラルドロ氏に、室内楽をU.サンドマイヤー氏に師事。在学中よりバ−ゼル・シンフォニエッタの首席奏者を務め、ソリストとしてバ-ゼル交響楽団などとも共演する。86年よりドイツ・ヒルデスハイム市立歌劇場管弦楽団に入団する一方、木管五重奏団ダ・カメラのメンバーとして、ヨ-ロッパ各地で演奏活動を行う。90年に帰国し、現在、東京フィルハーモニー交響楽団首席奏者。国立音楽大学、洗足学園音楽大学、東京ミュージック&メディアアーツ尚美 講師。ゼフィルス・クインテット・トウキョウ、ダブルリード・アンサンブル「エスプレッソ」のメンバーとしても積極的な演奏活動を行っている。高橋志郎、斎藤勇二の両氏に師事。