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Vol.21:大澤誉志幸が究極のDAWシステムSONAR V-STUDIO 700の可能性を探る

SONAR V-STUDIO 700

理想的なプロダクション環境を構築するcakewalk SONAR V-STUDIO 700

最新DAWソフトSONAR 8 PRODUCERと、専用コンソールVS-700C、I/O&シンセ・モジュールVS-700Rをシステム化した、オールイン・ワン・パッケージのニューV-STUDIO。

 

SONARのループ録音機能とトラック・テンプレートで作業がとても楽になった

─ 今回の試奏で、SONAR 8の実践的な新機能に興味をお持ちになっているようにお見受けしましたが、その点はいかがでしたか?

大澤(以下、O):普段からSONARで曲作りやレコーディングを行っていて、やっぱり自分が必要としている技術、アイデアを練る際に使ってみたいと思える楽しげな新機能には、ついつい興味が湧きますね。ほとんどの作業が、ひとつの画面内で行えるというコンセプトもいいですし、ミキサー画面のルックスも、かなり良くなりましたね(笑)。

─ そもそも大澤さんがSONARを使い始めたきっかけは?

O:コンピューターで音楽が作れるようになって、僕はすぐにMacintoshを導入しました。それ以来、ずっとMacintoshを使っていたんですが、だんだんWindowsの性能もよくなってきたということで、1999年にコンピューターをWindowsに切り替えたんです。その際に「簡単に使えるいいソフトがないか」と思って探したところ、SONARのことを知りました。それで、2002年か2003年頃にSONAR 2.2を使い始めて、実は去年の夏まで2.2をずっと使っていたんです。ですから、そこから一気にSONAR 7にアップ・グレードしたんです(笑)。

─ 大澤さんが感じているSONARの魅力は?

O:ひとつのトラックで何回でもループ録音ができることですね。どんどんテイクを重ねていくイメージで、その中からベストなテイクが選べるという機能は、僕にとってはものすごく便利です。それと、トラック・テンプレートで、エフェクトの設定から何からすべての設定を残しておけるじゃないですか。セッティングしたまま作業を終われて、そのトラック・テンプレートを呼び出せば、すぐに同じ状態で作業を再開できるというのも、時間が短縮できて非常に便利です。僕はプロデュースや作曲、そしてボーカルもやっているので、この2つの機能によって仕事がとてもやりやすくて、作業時間もすごく短縮できています。

─ 素早く作業ができたり、イメージに到達できるというスピーディさは、やはり音楽制作の現場では大事なことなんですね。

O:ええ、とても重要です。特にプロの現場では、時間との勝負ですからね。単に時間を短縮できるだけでなく、その時間を他の音楽的な作業に費やすこともできますから、とても助かっています。今回の作品でも、SONARのサウンドはかなり使いましたし、自宅で録ったデモ・トラックを最終的に採用した曲もあったりしますので(「さよならCOLOR<スーパーバタードックのカバー曲>」のボーカルは、自宅のSONARで録音したテイクが採用されている)、 高いクオリティで録音できるSONARには、かなり満足しています。

手間をかけずにアタックの音色を調整できる
Transient Shaperはとても便利

▲画像1:ストリングス、管楽器、ギター、ドラムなどの定番楽器を網羅した16チャンネルのマルチ・ティンバーGM2音源、TTS-1。

─ デモ制作時には、ソフト・シンセはどのようなものを使用されているのですか?

O:SONARに付属されているプラグイン・シンセは多用しますよ。特に、TTS-1は大変重宝してます。

─ プラグイン・エフェクトでお気に入りのものは?

O:SonitusのEQとコンプはよく使っています。僕はコンプのスレッショルド値を決め込んで、キックやシンバルの音作りをするのが好きなんです。キックとベースの関係性をEQでコントロールする作業も、やっていて楽しいですね。あと、僕の場合はボーカルやギターを録音する際にも、EQとコンプで仕上げることが多いんです。いい音で録れますからね、ちゃんと音作りさえしておけば、自宅で録ったトラックでもそのまま本チャンのレコーディングで使えますし。

─ 大澤さんご自身の中で、EQやコンプの定番的な使い方があるのですか?

O:自分のボーカルには、このEQとコンプで、だいたいこのあたりをいじるというような、おおよその定番はあります。女性ボーカルの場合は、このパラメーターをいじるだとか、自分なりの「虎の巻」があるんですよ(笑)。

─ トップ・メロディ・メーカーでありながら、かなりエンジニアリング的なノウハウもお持ちになっているんですね。

O:EQとコンプには、ちょっとこだわっています。特に生音を録る時は、EQとコンプの使い方で音の質感がかなり変わるので、そこは意識しますね。キックがあって、ベースがあって、そのうえでどういう風に音色を作っていくのか、どうすれば音色が落ち着いて聴こえるのかという点は、いつもすごく神経質に考えているんです。今回、新しいSONARになって、オーディオ系のプラグイン・エフェクトは、全部で何種類搭載されているんですか?

─ SONAR 8 PRODUCERにはSonitusのEQやコンプを含め、42種類のオーディオ系プラグイン・エフェクトが付属されています。あと、アンプ・シミュレーター「Native Instruments Guitar Rig 3 LE」も、今回新しく搭載されたんです。

O:アンプ・シミュレーターがプラスされたら、もう完璧な感じですね。この「チャンネル・ツール」という新しいプラグインは、どういったものですか?

─ ステレオ・ソースのバランスを整えるエフェクトです。左右の定位感や広がり感、位相、ゲインなどが調整できます。あと、「トランジェント・シェイパー」も新規搭載されたプラグイン・エフェクトで、手軽にアタック感をコントロールできるんです。パーカッションやギター、ピアノなどのサウンドに効果的です。

O:(エフェクトをかけたサウンドを聴いて)なるほどね。アタック感を出せばカリッとした音になるし、弱めるとファットな音にもなりますね。わざわざEQやコンプだとか複数のプラグインを組み合わせてパラメーターを細かく調整しなくても、これだけでアタック感の"音色"をコントロールできるんですね。

─ しかも、これは64ビット・リニアフェイズ方式ですので、位相に影響を与えないんです。通常、EQをかけると帯域によって位相が変わってしまい、サウンドが曇ったり、奥に引っ込んだりしてしまいますが、リニアフェイズ方式ですと、音がクリアなままアタック感を強調させたり弱めることができるんです。

O:これはすごいですね。面白い。実は、一番どうってことないエフェクトだろうと思っていたんですが、使ってみたら一番びっくりしました(笑)。精進してSONAR 8の操作を覚えて、ぜひ使いこなしてみたいプラグイン・エフェクトですね。

▲画像2:左右チャンネル間の自由な定位、位相などの調整がゼロ・レイテンシーで行えるCHANNEL TOOLS(チャンネル・ツール)。

▲画像3:音色的な質感も含めて、アタック感を自由にコントロールできるTS-64 Transient Shaper(トランジェント・シェイパー)。