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Vol.22:ホーンとエレピを知り尽くしたMELTEN(JABBERLOOP)がARX-02「ELECTRIC PIANO」とARX-03「BRASS」を徹底チェック!

ARX-02「ELECTRIC PIANO」 ARX-03「BRASS」

SuperNATURALテクノロジーによるエクスパンション・ボードARXシリーズ

自然で豊かなサウンドと演奏表現力を集約。エレクトリック・ピアノの発音構造や音色特性を忠実に再現するARX-02"ELECTRIC PIANO"と管楽器特有のニュアンスをリアルに再現するARX-03"BRASS"が登場。

 

曲ごとのカラーを鮮明に出すために、
キーボードの音色が重要になってくる

─ 新作は、とても幅広い音楽性で作り上げられた実に面白いアルバムですね。

MELTEN(以下、M):僕らは"クラブ・ジャズ・バンド"と紹介されることが多いですけど、今回はそういうものを一度取り外してみて、ロックだとかプログレだとか、ヨーロッパ的な音楽だとかいろんな要素を、楽曲ごとに柔軟に取り入れていこうと思ったんです。そういった曲ごとのカラーを鮮明に出すためには、僕らのようなホーン・セクションが主体のバンドでは、キーボードの音色がかなり重要になってくるんですね。ですからレコーディングでは、エレピも曲ごとにエフェクターのかけ方を変えたりして、音色を使い分けたりしているんです。

─ キーボードの音色が、音楽的な幅を作り出しているんですね。

M:僕個人としても、1stアルバム(『and infinite jazz...』)ではある程度決められたフォーマットの中で曲作りを行っていて、「キーボードはピアノの音を使うのが当たり前だ」という感じだったんです。そこを今回は、ちょっと見直してみようかな、と。やっぱりキーボードって、メインとなるコード楽器じゃないですか。楽曲の中で、そのキーボードが持つ支配力は、かなり大きなものだと思っています。そういう意味でも、今回のアルバムはコード楽器の音色にこだわった1枚となりましたね。

─ その一方で、アルバムとしての統一感も十分に感じました。

M:ホーン・セクションの歌い方だとか、DJのスクラッチとかがJABBERLOOPサウンドの特徴になっているので、それが全曲を通して聴いた時の統一感につながっているんだと思います。そこは想像していたよりも、意外とすんなりまとまりましたね。

─ レコーディングでは、RD-700SXをお使いになっているそうですね。

M:2年くらい前からRD-700SXを使っていて、今回のアルバムでも半分以上の曲で弾いています。

─ RD-700SXのどのような点が気に入っていますか?

M:楽器店で試奏した際に、エレピ・サウンドが一番リアルだったのがRD-700SXだったんです。僕はエレピの音が大好きなんですよ。実際に、ビンテージ・モデルも所有していてレコーディングで使用しているんですが、JABBERLOOPのライブでも、もっとエレピを使っていきたいと思っていたこともあって、ライブでの使用を重視してRD-700SXを選びました。もちろん、ピアノの音も気に入ってます。

─ ライブの際は、ピアノやエレピの音色のどのような部分にこだわりを持っていますか?

M:うちのバンドって、ホーン・セクションやドラムが攻撃的で、バンド全体のボリューム感がすごいんです。その中で引き立つ音色を出せるというのが、キーボードを選ぶうえの最低条件です。そういう意味でも、RD-700SXのピアノやエレピは、一番バンド・サウンドに合っていましたね。

─ ピアノやエレピの音色をエディットする際は、どういう点を注意していますか?

M:ピアノだと、パネルの左上についてるイコライザーのツマミ、あそこでミッド・レンジの4kHzくらいを持ち上げて、音抜けがよくなるようにセッティングにします。エレピに関しては、800Hzの辺りからミッドを突く(強調する)感じですね。

─ それは「ホーン・セクションがいる」という前提での音作りですか?

M:ホーン・セクションがいる中でのキーボードの存在感を出すのも目的の1つですし、自分の好みの音に近づけるためでもあります。ツマミで手軽にミッド・レンジの質感を自分の好みに近づけられるというのは、とても便利ですね。楽器店で試奏した際にイコライザーの使い方を教えてもらって、これはいいな、と思いました。

─ 音の抜けをよくしようとする場合、よくハイを強調してしまいがちですが、ミッド・レンジのコントロールが重要なんですね。

M:ミッド・レンジと言ってもややハイ寄りのポイントではあるんですけど、ダイレクトにハイを持ち上げると、ちょっと耳に痛い音になりやすいんです。ですから、僕はミッド・レンジでコントロールするようにしているんです。

▲写真1:RD-700SXをライブでプレイするメルテン(Photo by momokoogaki/Live at Motion Blue Yokohama)

ライブでもリアルタイムにエフェクトをコントロールしている

─ エフェクトに関しては、いかがですか?

M:内蔵エフェクトはかなり多用してますよ。マルチエフェクトの78番(「SYM.RESONCE/シンパセティック・レゾナンス」)と79番(「PIANO EFX/ピアノ・エフェクト」)は、ほぼ必ず通すようにしています。僕の中のデフォルト設定ですね。この78番や79番をかけたうえで、さらにコーラスやディレイ、リバーブをかけたりします。リバーブも3種類くらいを使い分けていますし、ソロを演奏している時に、「ここでディレイが欲しい」と思ったら、リアルタイムにDEPTHツマミを上げてディレイをかけたり。

─ ライブ中に、リアルタイムでディレイをいじるんですか。

M:レコーディングだとエフェクトはパソコン上で処理することが多いんですが、やっぱりライブだと「ここ!」っていう時に、リアルタイムで直感的に操作できるのがすごく楽しいですね。表現の幅が広がります。あと、エレピのソロに入った瞬間に、エフェクトの「GTR AMP SIM(ギター・アンプ・シミュレーター)」や歪み系のエフェクトかけたりもします。そこにさらにディレイをかけて、音を飛ばしたりだとか、かなり変わったことをやってますよ(笑)。

─ 一般的に、ピアノやエレピというとスタンダードなサウンドを好む方も多いですが、エフェクティブな音作りは、昔から行っていたのですか?

M:そもそもサックスのDAISUKEやDJのSHINSUKEが、本来はエフェクトをかけるような楽器じゃないのに、自分の音にエフェクトをかけて遊んでいたんです。それを見て、自分もやりたくなって(笑)。最初は、ボスのコンパクトとか外付けのエフェクターでやろうと思ってたんですが、RD-700SXには高品位なエフェクトが内蔵されているので、音の劣化もないし、これはいいな、と思いまして。エフェクトまでオール・イン・ワンになっていて、演奏しながらでも好きな時にいじれるのがいいですね。

─ 「Synesthesia~神の悪戯~」では、いろいろな音が飛び交ってますね。

M:これは、すごくこだわって作った曲なんです。RD-700SXのプリセット・パッチ「E.Grand」に、SRX-07(ウェーブ・エクスパンション・ボード Ultimate Keys)のパッチ「4:Stage Grand」を、1対1くらいの割合でミックスしているんです。このピアノをメインにしながら、SRX-07のオルガンなどを使って録音して、その音をギター・アンプで再生して質感を変えて録り直す"リアンプ"を行いました。

─ モニター・スピーカーではなく、あえてギター・アンプでリアンプしたのは、なぜですか?

M:ソリッドな質感と空気感が欲しかったんです。モニター・スピーカーで鳴らすと、ラインの音と大差がないんですよ。最初は、ラインで録った音とギター・アンプでリアンプした音をミックスするつもりだったんですが、エンジニアさんと相談して、最終的にはリアンプした音だけを使ってます。オルガンも、RD-700SXの内蔵エフェクト「INF PHASER(インフィニット・フェイザー)」でロータリー・スピーカー的なうねり効果を作り出しています。このエフェクトは、1stアルバムの頃から使ってるんですよ。「STEP PAN(ステップ・パン)」だとか「SLICER(スライサー)」も気に入ってますね。

─ とにかく、発想がユニークですね。

M:やっぱり、ただ「音がいい」だけでは面白くないですから。特に今回のアルバムを作っていて、そう思いましたね。

─ そういった音作りは、他のメンバーの方も面白がってくれるんですか?

M:そうですね。「これカッコいいやん」みたいな感じで(笑)。やっぱり、一番耳につくホーン・セクションは音色的な変化がつけにくいですから、そういった味付けをするのが僕のポジションなのかな、と思ってます。ラストの「荘厳伝説」ではアコースティック・ピアノを弾いているんですけど、そのアコースティック・ピアノに対してリバース・ディレイをかけたピアノをミックスしてるんです。これもパソコン上での処理ではなく、SRX-11(ウェーブ・エクスパンション・ボード/Complete Piano)の「2:WideStereoGd」の音色で同じフレーズを弾き直して、それにRD-700SX内蔵の「REVERSE DLY(リバース・ディレイ)」をかけて作りました。

─ アナログ・シンセっぽい音もありましたが、あれは何の音源を使ってるのですか?

M:「WHITE OUT」のシンセ音は、JUNO-6なんですよ。ツアー中に、とあるお店で中古で見つけて勢いで買ったんです(笑)。この曲は、何かデジタル・サウンドが合わない気がして、それでJUNO-6を使ったら、バッチリはまりましたね。

─ とにかく、興味深いサウンドが満載ですね。ライブも楽しみです。

M:さっき言ったような、リアルタイムでのディレイ・コントロールはもちろん、ピアノの逆再生もやりますよ。今、ちょうどライブのリハーサル中で、ライブならではのキーボード・プレイという点でも、パフォーマンスに命かけてますから(笑)。ぜひ多くの方に見に来て欲しいですね。