リアルにビンテージ・モデルのサウンドが鳴らせ、
さらに新しい音作りが楽しめる
─ 今回、ローランドの新技術であるSuperNATURALエクスパンション・ボードのARX-02"ELECTRIC PIANO"とARX-03"BRASS"を試奏していただきましたが、率直なご感想はいかがでしたか?

M:エレピもブラスも、サウンドがとてもリアルなことに驚きました。RD-700SXの音も素晴らしいのですが、さらにその次元をに超えたリアルさがあります。しかも、プリセット音色のままでも、ものすごくいい音がしますね。これだけプリセットの音色がいいと、どれを使おうか迷ってしまいますね(笑)。
─ その中でも、特に気に入った音色があれば教えてください。
M:最初の「ARX Suit Case」は、どんな音楽にも対応できるエレピだと思います。あと、「CE-1」はオールドなエレピにコーラスをかけたサウンドですよね。実は今回のレコーディングでも、エレピ・サウンドの暖かさを増すために、ビンテージのボスCE-1を購入しようか考えたんですよ。
─ このARXのために、CE-1もモデリングしているんです。
M:すごくいい音ですよね。こういうユニークな音作りが1台のキーボードで完結できるとことがいいですよね。プリセット音色「Hurly Wurly」のビブラートの揺れ具合も素晴らしいです。それに、離鍵時に、ハンマーが降りる時のノイズまでちゃんと鳴るあたりがすごいですよね。
─ キー・オフ音(鍵盤を離した時の微妙な音)などの共鳴音も、「Key Off Resonance」というパラメーターで調節できます。
M:僕は、このパラメーターを全開にした音が好きですね。
─ その他にも、トーンバーのアングルで音の太さを調節したり、トーンバーとピックアップの距離によって音のニュアンスを変えられるなど、エレピの内部構造をモデリングした音作りが行えることが特徴です。アタックに含まれるベル音の質感も「Bell Character」というパラメーターで調整可能となっています。
M:パラメーターを最大値や最小値など、極端な値に設定しても、きちんと音楽的にエレピの音色として成立してくれるのがいいですよね。それに、これらの設定がグラフィカルに表示されるという点も、いかにもローランドらしいです(笑)。Fantom-G8は大きなカラー・ディスプレイなので、とても見やすいですし、実際にビンテージ・モデルのツマミをいじってるのと同じ感覚で音作りができますね。
─ 先ほど、ギター・アンプでリアンプしたという新譜のお話もありましたが、プリ・アンプの種類もセレクトできるようになっています。
M:リアルにビンテージ・モデルのサウンドが鳴らせるし、さらに新しい音作りが楽しめますね。キーボーディストが10人いたら、きっと10通りのセッティングが生まれるでしょうから、キーボーディスト同士で「どういうセッティング鳴らしてるの?」と教え合えると、面白いですよね。
─ 他に気に入った点はありましたか?
M:FM系のエレピ・サウンドが気に入りました。実はこれまで、FM系のエレピって音が細くて好きじゃなかったんです。でも、ARX-02だと、オールド系の音色を弾いた直後にFM系エレピを鳴らしても、音も太いし暖かみもあって、まったく問題ないですね。存在感があります。今後、ちょっと使ってみたくなりました。それとちょっと話がそれますが、Fantom-G8の鍵盤のフィーリングがとてもいいですね。
─ 適度な吸湿性を持っていて、ステージ上で汗をかいても指にフィットしやすくなっています(PHA IIアイボリー・フィール鍵盤採用)。
M:実際に、ビンテージ・モデルを弾いているような感覚になりました。でも、ビンテージ・モデルって、やっぱりメンテナンスも大変ですし、どう頑張っても新品の状態には戻りませんしね。それに、ライブ会場に運ぶのも大変ですから、これなら気軽にライブでも使えますね。

音がリアルなだけでなく、ホーン・セクション特有の奏法が
キーボードで再現できる
─ 一方、新製品のARX-03"BRASS"はいかがでしたか?
M:音がリアルなだけでなくて、演奏ニュアンスというか、ホーン・セクション特有の奏法がそのままキーボードで再現できるという点に驚きました。普段も、PCM音源でホーン・セクションのアレンジを考えたりするんですが、やっぱり実際に吹いてもらうと、イメージが違うことが多いんです。それで、ハモリを考え直したりするんですが、これを使えば、実際に「こういう響きになるんだな」というところまでも分かりますね。制作時間も短縮できると思います。いろんな音源を聴いてきましたけど、リアルさは一番ですね。ソロだけでなく、パッチとして最大6管編成での演奏も可能なんですよね。演奏の正確さ(Stability)だとか、音量や消音タイミング(Personality)を楽器(プレイヤー)毎に細かく設定できるのも、ビックリしました。
─ サックスを強く吹いた時に生じる独特なニュアンス(Growl)や、トランペットやトロンボーンを弱く吹いた時のにごり感(Turbid)も調整できます。それに、6管編成をユニゾンで鳴らすだけでなく、各楽器を重ねていく順番なども設定できるんです。

M:じゃあ、4管編成で6音を鳴らしても、うまいこと6音鳴らしてくれるんですね。それは便利ですね。ここまで細かく設定できると、ブラス楽器の奏法だとかハーモニーの積み方だとか、そこそこの知識も必要になるかと思いますが、逆に言えば、そこまでやれば本当にリアルにホーン・セクションを作っていけますね。デモ制作にはとても便利だと思いますし、このクオリティがあれば、そのままこれでレコーディングで使うのも十分に"アリ"なんじゃないでしょうか。あ、そんなこと言ったら、メンバーに怒られるか(笑)。でも、コンピューター・ミュージック主体で音楽を作ってる方なら、これだけで十分だと思いますよ。
─ 確かにアマチュアの環境ですと、ホーン・セクションを録音するのはやっぱり大変ですからね。
M:そうですよね。あとバンドだと、トランペットだとかトップ・ノートだけ実際にプレイヤーが吹いて、その下をこれで支えるといったような使い方をしても、面白い効果が得られると思います。よく、トランペット1本とシンセ・ブラスでプレイしているようなバンドをライブで観るんですが、やっぱり生楽器とシンセ・ブラスだと、どうしても音が馴染まないんですよね。でもこれなら、生楽器との馴染みもまったく問題なさそうです。
─ それでは最後に、こういった最新の楽器を使って音楽を楽しむためのアドバイスがあれば、お願いします。
M:やっぱり音楽って、人前で演奏してこそ、本当の楽しみがあると思うんです。僕が大学に通っていた頃、「私は初心者で下手だから、まだステージには立てない」っていう人が多かったんですが、演奏を間違って、メンバーに迷惑をかけたとしても、何でもいいから、とりあえずライブをやってみて欲しいですね。いくら個人練習を積んでも、上手くなるのを待っていたら、すぐに歳も取っちゃいますし(笑)。ステージでの失敗をフィードバックさせることでテクニックも向上してくわけですから、頑張って演奏して欲しいですね。聴き手と弾き手がいて、音楽になるわけですから。

Profile:JABBERLOOP
サックス、トランペット、キーボード、ベース、ドラム、ターン・テーブルの6名で構成されたクラブ・ジャズ・バンド。メジャー・デビュー前の2007年5月、ロンドンのMukatsuku Records(Nik Weston主宰)より『UGETSU(12インチEP)』をリリース。Gilles PetersonのBBC Radio「WORLDWIDE」や国内外において多くのメディアに取り上げられ話題となる。そして同年7月、コロムビアミュージックエンタテイメントより1stアルバム『and infinite jazz...』でメジャー・デビュー。その独自の世界観溢れる楽曲は多方面において高く評価され、海外ではGilles Peterson、Jürgen von Knoblauch(Jazzanova)、Patrick Forge(Da Lata)など、多くのトップDJがプレイする。また日本国内でも「ADLIB AWARDS 2007 国内クラブ・ダンス賞(ADLIB誌)」を受賞。2008年7月には、デビュー後1年間に手掛けた、他アーティストへのプロデュース、リミックス、そしてデビューアルバムからの人気曲を、最大の魅力であるライブ感が伝わるLive Reconstructed ver.で収録したJABBERLOOPの全てが分かる作品集『Infinite Works』をリリース。様々なアーティストのプロデュースや楽曲提供、リミックスなど、今も進化し続ける彼らのINFINITE(無限大)な音楽表現は留まるところを知らない。
オフィシャルサイト:http://www.jabberloop.com/
Information
■CD
『CHECK THIS OUT!!』

COCB-53790 ¥2,800
■Live
3/27(金)札幌・クロスホテル札幌「agora アゴーラ」
3/28(土)大阪・NOON・FREEDOM TIME
4/18(土)京都・CLUB METRO・COOL TO KOOL
4/29(水)東京・渋谷JZ Brat・M-Swift presents 24Carat
5/2 (土)福岡・ROOMS
5/3 (日)宮崎日之影町
5/5 (土)宮崎・みやざき国際ストリート音楽祭2009
5/15(金)横浜・MOTION BLUE YOKOHAMA・『CHECK THIS OUT!!』Release Party
※詳細は、オフィシャル・サイトをご覧ください。


