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Vol.23:つばきの3人が、ローランド/ボスのニュー・アイテムをチェック

TD-4K-S,CUBE-80X,TU-1000

V-Drums/CUBE/TUシリーズのニュー・アイテム

リズム・コーチ機能を搭載したV-Drums、TD-4K-S。洗練されたサウンドや機能を搭載したCUBE-80X。新コンセプトのステージ・チューナー、ボスTU-1000

 

バンド・アレンジで8割を完成させ、
残り2割にパソコンでプラスαを加えていった

▲写真1:一色徳保(Gt&Vo)

─ 新譜『流星ノート』は、どのようなイメージを持って制作を進めていったのですか?

一色徳保(以下、I):前作の『覚醒ワールド』や、さらにその前の『PORTRAIT+』を作った時は、すごくロック的な感覚が強くて、自分のイメージするロック・バンド感を意識した作品だったんです。それを2作続けたので、今回はちょっとフラットな感覚で、自分たちから出てくるいい部分をもっと大切にしながら、新しいことにもチャレンジしようという意識で作っていきました。時期的にも、ポップな作品やキャッチーな音楽をよく聴いていたので、そういったテイストを、つばきでやってみてもいいかなと思って。"泣きの曲"もいっぱい入っていますが、それでも作品全体としては聴きやすい、キャッチーな仕上がりになったと思っています。

─ ドラムの音色に関しても、ひとかたまりのキット感というよりも、ひとつひとつの音像がとてもクリアに感じられながら、ひとつの芯の通ったサウンドですね。

岡本奈穂子(以下、N):これまでのレコーディングでは、エンジニアさんと「こういう感じの曲なので、ドラムはこういう風に録りたい」って、1曲1曲でドラムの音色をすごく変えていったんです。今回のレコーディングでは、もちろん個々の曲に対して音色を考えるアプローチも取りつつ、それがバラバラにならずに、アルバム全体を通して「太くて芯のあるドラム」といった統一感を出せたかな、と思ってます。

─ 全体的に、スタンダードな音色でプレイしながらも、とても色彩感が豊かになったように感じたのですか?

I:今回は、「光~hikari~」と「銀河列車」の2曲だけはアレンジャーさんに入ってもらったので、その影響もあるかもしれません。それとこの作品から、僕らも制作にパソコンを使い始めて、曲によっては打ち込みのフレーズを入れてみたり、シンセ的な音色もいろいろと試してみました。今まで、そういったことをまったくやったことがなかったので、そういう意味でも楽曲がカラフルになったと思うし、音楽の幅も広がったのかな、と思ってます。

▲写真2:一色氏のメイン・ギターは、最近購入したばかりだというサイケデリズム製のテレキャスター。フロントPUにP90が使用されており、一般的なテレキャスターよりも太いサウンドが特徴的。

─ 確か以前は、アコギの弾き語りで曲を作って、そこからバンド・アレンジをしていくという流れでしたよね?

I:曲の作り方としては、今でも同じなんです。全体の7~8割ほどの作業は、スタジオに入って3人のバンド・アレンジでやってしまうんですけど、プラスαの要素として、残り2割の部分でパソコンを活用するといったスタイルですね。

─ 新しい手法を取り入れたことで、新たな発見はありましたか?

I:ツールを使うことで「こういうことができる、ああいうこともできる」っていう意思の疎通が、簡単にできるようになったと感じています。

小川博永(以下、H):僕としては、一番大きな変化はライブかと思っています。1年ほど前までは、サポート・ギターを入れた4人編成でライブをやっていたんですけど、最近はライブも3人でやってるんです。3人なら、3ピースなりのシンプルでソリッドなライブができると思うんですが、そこに同期もの(シーケンス・パート)をプラスすることで、またちょっとライブの見せ方も変えられるかな、と思っていて。3ピースのシンプルさに音楽的な幅の広さをプラスできたことは、僕らにとっても大きかったですね。

─ 岡本さんは、これまで同期を使ったライブの経験はありますか?

N:いえ、今回が初めてです。クリックは絶対にテンポがブレないので、それでいながら演奏に勢いを持たせるプレイというのが、まだまだ難しく感じています。「同期を使ってる曲はイマイチだよね」とは言われたくないので、そこはこれからの課題ですね。

─ 岡本さんのドラムは、かなりスクエアだという印象を持っているんですが......。

N:ありがとうございます。でも、サビでもっとドーンと行きたいところを同期でグッと抑えて、もっとじっくりと聴かせる展開の曲もあったりするので、その辺りはなかなか難しいです。クリックを聴いているのは私だけなので、クリックに対して少しだけ前に行きつつ......と、いろいろなことを考えながらプレイしています。

I:そのあたりはライブでやってみて、いろんな人の話しを聞きながら、自分たちでも試している段階ですね。CDで鳴ってる音が必ずしもライブで鳴ってなくてもいい場合もありますから、試行錯誤しながら、一番いいスタイルを探っている状態です。

ツアーを経験したことで、清志郎さんの
「100回の練習より1回のライブ」と言う言葉が理解できた

▲写真3:小川博永(Bs)

─ パソコンの導入以外に、何か新しい試みはありましたか?

H:個人的には、今回初めてピック弾きをやってみました。2人のどっちか忘れましたが「ピックで弾いてみたら?」って言われて。実はこれまで、ピック弾きは一度もやったことがなかったので、いい機会になりました。

N:「流星泥棒」では、これまでとは大きく違うアプローチでドラムをアレンジしていきました。曲ができた当初は、もっと大きなゆったりしたノリのファンキーな曲だったんです。それを途中から、ロック的な縦のノリを意識したプレイに変えてみたんです。このアレンジは、私の中では新しくて、ちょっとした"挑戦"でした。

─ その「流星泥棒」では、打ち込みのベースが入っていたり、ボーカルも極端にエフェクティブな処理がされるなど、つばきとしては斬新なアプローチが多々ありますね。

I:リフ的なフレーズを作った段階から、打ち込みだとか、そういう要素を入れられたらいいなと考えていて、いろいろと試したんですよ。ボーカルの加工も、ぼんやりとはイメージを持っていて、自分の持っていたエフェクターに声を通してみたりして。

─ プラグインで加工したのではなく?

I:ミックスの段階でプラグインもかけているとは思いますが、基本的にはスタジオにフィルター系のエフェクターを持っていって、そこに録音したボーカル・トラックを通してもらいました。こういったスタジオ・ワーク的なトライは、これまであまりやってこなかったので、これからもいろいろと覚えていきたいと思ってます。ただそうは言っても、やっぱり僕らの音楽は"メロディありき"で作ってますので、これまでと同じように、メロディの強さは追求していきたいですね。

▲写真4:小川氏所有のフェンダー・プレシジョンベース(66年製)。ジャズベースと比較して、適度な暴れ具合がよりロック的だという。レコーディング、ライブともにメイン・ベースとして使用している。

─ そのメロディを際立たせるために、ドラムをプレイする上で意識しているポイントはありますか?

N:メロディを身体に覚えこませることですね。バンドでアレンジしていく段階では、まだ歌詞も完全にはできあがってないんですが、それでも核になる言葉、耳に飛び込んでくる歌詞が形になっていることが多いので、それを覚えながら、自分がこう叩きたいと感じたフレーズを試していくんです。それと重要なのは、曲全体の流れですね。イントロから始まってA、B、サビと進んでいく中で、その流れに沿いながら自分の気持ちを込められるフレーズを考えていきます。ただ、リハーサル・スタジオのような狭い空間とライブ会場のような広い空間では、同じ曲でも感じ方が変わってくるんです。やっぱり、ライブで演奏することによって、曲の理解度が、より深まっていきますね。ですから、練習も大切ですが、ライブもすごく重要だと思います。

─ そのことに気付いたきっかけが、何かあったのですか?

N:私が10代の頃に、忌野清志郎さんが「100回の練習より1回のライブだ」って言っていたんです。でも当時は、その言葉が身をもって理解できなくて。それが、つばきに入ってツアーをするようになってから「ああ、こういうことなのか」って感覚的に理解できるようになりました。

H:ライブを繰り返すことで演奏がよくなっていくというのは、確かにその通りですね。例えばツアーをすると、何日間か集中してライブするわけじゃないですか。そういう経験をした後に、自分を含めて"バンド"としてよくなったなと、実感できることは多いです。

I:ライブに関して言えば、昔はガッと感情を高ぶらせて、勢いでライブをやれればいいと思っていました。でも今は、聴かせる歌はもっときっちり歌おうだとか、ライブに対する意識が変わってきましたね。がむしゃらにやるライブもいいとは思うんですけど、僕らが作る曲も変わってきたし、それに合わせたライブを展開していきたいと思ってます。

─ そういうお話を伺うと、4月末からスタートするアルバムのリリース・ツアーも楽しみですね。

H:ライブは、耳だけでなく身体全体で感じるものなので、CDとはまた違った楽しみ方ができると思ってます。ぜひとも多くの方に、僕らのライブに足を運んでいただけたらと思ってます。

N:皆さんと一緒に楽しめたらいいなと思っているので、アルバムを聴いて興味を持ってくれた方がいらしたら、ぜひツアーにもいらしてください。

I:中学生くらいの頃まで、実はライブに行くのが好きじゃなかったんです。だって、チケットが高いじゃないですか(笑)。それならCD買ったほうがいいじゃん、って。でも一度ライブで「わっ、すげぇ」という体験をしてからは、ライブにはそれだけの価値があるんだってことが分かりました。ですから、昔の僕みたいに「ライブはいいや」と思ってる方でも、ぜひ一度、ライブのよさを体感しに来てくれると嬉しいですね。

▲写真5:岡本奈穂子(Dr)