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ハード単体でレコーディングできる、
自由度の高さは魅力的

─ これまでの数々のレコーディングの経験から、ソフトウェアとハードウェアを統合したシステムSONAR V-STUDIO 100については、どのような印象をお持ちになりましたか?

Y:やはり、ハードウェア単体でレコーディングを行えるという点はいいですよね。いろんな場所で録音することで、音楽制作の自由度が広がると感じました。パッケージされているDAWソフトウェアのSONAR VSも使い勝手がよさそうですし、プラグイン・エフェクトが豊富な点も魅力的です。VS-1680内蔵の3バンドEQで、苦労しながら音作りをしていた頃のことを考えたら、7バンドのプラグインEQで細かくサウンドを調整していけるなんて、すごい進化ですね。しかもそれがマウス操作だけでなく、ツマミで直感的にコントロールできるという操作性は、素晴らしいと思います。

─ 長年VS-1680を活用されている安井さんから見て、DAWソフトで行うレコーディングのメリットは、どのような部分でしょうか?

Y:大きな画面で緻密な波形編集が行えることと、あとはパンチ・インですね。デジタルMTRの一番の難点が、パンチ・インなんですよ。そうは言っても、実は私、パンチ・インはかなり得意なんです。ウン十年前は「パンチ・インの神様」と呼ばれていたぐらいで(笑)。ただ今は、「パンチ・イン」という言葉自体が、なくなりつつありますよね。若い方だと、すでに「パンチ・イン」の意味が分からないかもしれませんね。

─ 今や、DAWソフトで何テイクも録音して、その中からいい演奏をつなげていくという手法が当たり前になっていますからね。

Y:ただ、そういった波形編集こそ、SONAR VSのもっとも得意とする部分でしょうね。演奏の前後の不要な波形も、マウス操作で簡単に削除できるようですし。

─ 元の素材自体に手を加えない非破壊編集ですので、いつでも元の状態に戻せますし、録音した演奏からフレーズをトリミングして、手軽にループを作ることもできます。そのオリジナルのループをライブラリ化しておけば、曲作りの際にいつでもすぐに利用できるんです。

Y:このようなシステムを利用する多くの方は、いきなり録音するというよりも、まずSONAR VSでループを組んだり、打ち込みでリズム・パートを作ったうえで、そこにギターや歌などの演奏を重ねていくというパターンがほとんどでしょうから、自分でループを簡単に作れるのは便利ですね。そういった多重録音を、SONAR VS上だけでなく、ハードウェア単体でも行えるというコンセプトが、ユニークですよね。

─ SONAR VSで作ったバック・トラックをSDカードに取り込んでおけば、ハードウェア単体だけで、そのトラックを再生しながら演奏を多重録音できるということが、SONAR V-STUDIO 100の大きな特徴のひとつです。

Y:録った素材をSONAR VSに取り込めば、PC上で詳細なミックスができるんですね。現状の私のレコーディング・スタイルだと、VS-1680で録った素材を、エンジニアさんに頼んで無理矢理にDAWソフトに取り込んでもらっているんです。そういったデジタルMTRとDAWソフトウェアと連携させた作業も、これならスムーズに行えそうですね。

優秀な機材をいかに使い倒して、
どれだけ面白い音楽を生み出せるかが大切

─ 通常はPCと組み合わせて使用し、シンプルに音を録りたいという場合に単体でレコーディングを行えるという、これまでにない新しい音楽制作のワークフローが実現できるハードウェアですが、何か気になった点はありますか?

Y:インプットの仕様は、どのようになっているのですか?

─ 2系統のマイク・プリアンプ内蔵インプットを含め、合計8チャンネルの同時入力が可能です。内部基板も、アナログ回路とデジタル回路を分離させることでノイズの影響を軽減させるなど、これまでのVSシリーズやオーディオ・インターフェース設計のノウハウがふんだんに取り込まれています。

Y:ローランドの最高水準の技術が投入されているんですね。素晴らしいと思います。アナログ入力の6チャンネルに、ハードウェア上にコンプとEQが搭載されているというのも、ハードウェア単体でレコーディングする際にとても便利ですね。VS-1680で録音する際には、私もコンプやリミッターといったダイナミクスをコントロールするエフェクトをかけることが多いので、実用的だと思います。実用性という点では、タッチセンス付きのモーター・フェーダーが搭載されている点も、SONAR VSのコントローラーとして使う際には有効ですね。大きな画面でマウスによる緻密な編集ができて、なおかつツマミやフェーダーで直感的な操作も行えるというのは、ソフトウェアとハードウェアが統合されたシステムならではのメリットだと思います。

SONAR VSのトラック数も、オーディオが64トラック、MIDIは無制限ということですから、一般的な曲作りではまったく問題ないでしょう。特にこれからレコーディングを始めたいという人には、レコーディング環境がオールイン・ワンで手に入るということは、とても嬉しいことじゃないでしょうか。最初のレコーディング体験がこのSONAR V-STUDIO 100という人も、これらか増えていくんでしょうね。今の若い方は恵まれていますよ。うらやましいです(笑)。

─ そのような、これからレコーディングを楽しもうという方に、何かアドバイスはありますか?

Y:これほどまで高いクオリティで手軽にレコーディングができるわけですから、これを使い倒して、楽しんでもらうことが一番だと思います。その中で、自分が理想とするサウンドを追い求めていけばいいんじゃないでしょうか。VS-880の登場で、それまで数百万円をかけて行っていたレコーディングと同じクオリティが、自宅で数十万円のコストで実現できるようになったわけです。そこから先は、少なくともポピュラー音楽の世界では、音質面での進化よりも、音楽の進化を追及していくことが重要だと感じています。

ビートルズの時代って、アナログ・テープで録っていたわけじゃないですか。つまり音楽の輝きは、機材うんぬんではないんです。重要なのは当たり前のことながら中身であって、優秀な機材をいかに使い倒して、どれだけ面白い音楽を生み出せるかが大切です。ただし、そこへのアクセスは面倒でなければないほどいいわけです。そういう意味から言っても、SONAR V-STUDIO 100はクオリティも十分ですし、アイデアを具現化するまでのタイム・ロスもほとんどない、とても理想的な環境と言えるのではないでしょうか。

 
Profile:安井源之新

ブラジル音楽のパーカッショニストとしての活躍にとどまらず、松本英彦、中川昌三、小曽根真、高内晴彦、スティ-ブ・ガッド、アンソニー・ジャクソン、デヴィッド・マシューズ、デヴィッド・スピノザなど、ジャンルを超えた数々のア-ティストと共演/録音に参加。また、自己のグループ"FONTE"や佐藤正美、坂本龍一プロデュ-ス作品など、多数のアルバムに参加している。2003年にブラジルで発売されたフィロー・マシャードとの共作『F to G』は、ブラジル音楽界では既に「定番」となっている。4年間のブラジルでの活躍、マルコス・スザーノやフィロー・マシャード等先鋭的なアーティストとの活動(ライブ/録音)を終え、帰国。2007年、ブラジルと日本の超一流ミュージシャンと完成させたリーダー・アルバム『Oh!Bola!!』をリリース。プロデューサーとしても活躍しており、数々のブラジル・アーティストを日本へ紹介している。また、ジャズ界の重鎮、クリヤ・マコト(Pf)、コモブチキイチロウ(B)と共に形成するバンド"Rhythmatrix"の1stアルバムを7月8日にリリース予定。

オフィシャルサイト:http://www.gennoshin.com/

 
Information
■CD

GENNOSHIN『Oh!Bola!!』

『Oh!Bola!!』

サイデラレコード SD-4003


Filo Machado&Gennoshin『F to G』

『F to G』

Happiness Records HRBD-004 TBID


Rhythmatrix『Rhythmatrix』

『Rhythmatrix』

RBCP-2418 ¥2,940


■Live

Rhythmatrixリリース記念ツアー

7/16(木) 名古屋BLUE NOTE(ゲスト:土岐麻子)
7/17(金) 神戸WYNTERLAND(ゲスト:Saigenji)
7/18(土) 岡山COOKIE JAR
7/19(日) 東広島BLACK and TAN
7/20(月) 下関BILLIE
8/23(日) 目黒Blues Alley Japan(ゲスト:青木カレン、住友紀人、Wilma)

※詳細は、上記オフィシャル・サイトをご覧ください。