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Vol.26:音楽プロデューサー松任谷正隆、V-Pianoの未知なる可能性を探る

タッチによってサウンドの表情が
曲線的に変わっていく感じがとてもいい

─ まずは、V-Pianoの率直な第一印象からお聞かせください。

松任谷(以下、M):なかなか伸びやかな音だと思いました。特にライブなどでは、音が作りやすそうな印象ですね。V-Pianoの実力をフルに使いこなすには、まだまだ時間がかかりそうですが、エディットに関しては、個人的にはタッチ・センスとフィルターの開き具合に相当する部分、つまり強く弾くと明るく、弱く弾けば音がこもっていくという特性を、もっと自分なりにカスタマイズしていけそうな気がしました。さすがにピアノだけを追求した楽器だけあって、ピアノの持ち味を活かしたエディットが細かく行える点は、素晴らしいと思います。

─ 先日開催されたMICAライブ(松任谷氏が校長を務める音楽スクール"マイカ・ミュージック・ラボラトリー"の学内イベント)では、プリセット・トーン「002:V1 Studio」で演奏されていましたね。

M:まだライブで1度弾いただけですが、「Studio」は使いやすかったですね。

─ 「使いやすい」とは、具体的にどういう音色のことなのでしょうか?

M:「モニター上の使いやすさ」と言い換えた方が、正しいかもしれません。バンド編成でのライブでは、ステージ上のモニター環境はそれほどよくはありませんから、自然とその環境の中で扱いやすい楽器や音色を選ぶことが多くなります。だから、もしデリケートな音がモニターできる環境であれば、使うサウンドも変わってくる気がするんですが、それほど繊細なモニター環境でなくても、V-Pianoのサウンドはモニターしやすかったですね。おそらく、サウンドに余分な成分がなく、モニターから変なピークが鳴るというようなことがないからなのでは、と思っています。

それと、これは想像でしかないんですけれども、僕がPAのコンソールに行ったとしたら、V-Pianoは音作りがしやすいだろうな、とも感じました。最初に言った「ライブでの音作りがしやすそう」というのは、そういう意味です。V-Pianoの音を単体で聴くと、ややあっさりしているようにも感じるんですが、バンド・アンサンブルの中に入った場合に、威力を発揮する音なんじゃないかと思います。そこは、従来のサンプリング音源のデジタル・ピアノとの差なのかもしれませんね(注:V-Pianoには、従来のサンプリング音源とはまったく異なる、コンポーネント・ベースの新ピアノ音源方式が採用されている)。

▲MICAライブでV-Pianoを演奏する松任谷氏。

─ 新しいピアノ音源方式という部分で、V-Pianoにデジタル・ピアノの新たな可能性はお感じになりましたか?

M:従来のサンプリング音源の「最大同時発音数」という考え方がないので(注:V-Pianoは「最大発音仮想弦数」という考え方となっており、最大264弦による独立した弦の響きでピアノ・サウンドが構成される)、同時にたくさん発音させても音が途切れたりする心配がない点は、新しいですね。それと、タッチによってサウンドの表情が変わっていく様が、サンプリング音源のように階段状ではなく、ちゃんと曲線的に滑らかに変わっていく感じが、とてもいいです。鍵盤タッチについては、そもそもアコースティック・ピアノと物理的な構造が違うわけですから、そこでの差は感じますが、デジタル・ピアノであるということを考えれば、これは十分以上だと言っていいでしょう。

─ エレクトリック・ピアノなどのほかの音色を一切搭載せずに、ピアノのみに絞り込んだコンセプトについては、どのようにお感じになりましたか?

M:やっぱりピアノって、シンセと違って、音色とタッチの要素がすごくリンクしている楽器なんですよ。そもそも、トランペットやストリングス、アタックの強い音色などを、全部同じ鍵盤で弾けと言う方がおかしな話でね。その点に関しては、ある程度ミュージシャンが慣れながらプレイしていくわけだけれども、でもそれよりは、ひとつのものに特化している方が、楽器としての完成度は高くなると思います。そういう意味でも、V-Pianoはピアノのみに特化しているという潔さがあって、ずっしりとした本体重量含め(笑)、それなりの説得力は、確かに持っていますね。

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VP-770

ピアノ・コンポーネント・ベースの新音源を搭載した新たなる"V"、V-Piano

歴史的な「Vintage」と先進的な「Vanguard」という2つのピアノ・モデルを持ち、演奏者自身が調律や整音が行えるという自由な発想の音作りが楽しめる新時代のピアノが誕生。

Profile

松任谷正隆さんのプロフィール、および最新情報は、mnavi Interviewページをご覧ください。