Top > mnavi Works > Vol.26:音楽プロデューサー松任谷正隆、V-Pianoの未知なる可能性を探る

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よりオリジナルなピアノとしての可能性を
追求することでV-Pianoの優位性が大きくなる

─ これまでの松任谷さんの長いキャリアの中で、音楽を作る発想そのものが大きく変わったような楽器との出会いはありましたか?

M:いっぱいありますよ。僕が最初にエレクトリック・グランド・ピアノに触れた時も、この楽器のどこがいいのか、当時は全然分からなかったんです。ただ、アコースティック・ピアノに比べて持ち運びが楽だな、というくらいで(笑)。結局、自分の中でその楽器のカテゴライズができてなかったんですね。「これはピアノなんだ」って思ってたから。だから、面白い使い方が全然分からなかった。それを面白く使ったのは、海外のミュージシャンが先でしたね。これはちょっと、ショックでした。何で僕には、この面白さが最初から分からなかったんだろう、って。ピアノだけを例に挙げても、やっぱり昔はいろんなことが分かってなかったわけだから。録音の仕方でも音が違ってくるし、どのマイクを使うかでも違うし、いわゆるエンジニアリングによっても、アンサンブルの中での聴こえ方が全然変わってくるわけで。誰でも、そういうことをまったく知らない状態から育っていくわけじゃないですか。そのうちに、自分でコンソールをいじるようになると、「ああ、こういうことかな」って、少しずつ理解できるようになってくるんです。初めてエレクトリック・ピアノに出会った時も同じでしたよ。最初は、どう弾いたらいいのか、分からなかったんです。当時の僕は、鍵盤が付いてればピアノのリプレイスができるものと思ってましたから。

─ ある種の先入観というか、固定概念だったわけですね。

M:20代前半の頃って、例えば自分が油絵を描いているつもりになっていたら、「何がなんでも油絵具を使うんだ」と考えていたわけです。それが、間違いだったんですね。楽器によって、描く絵の性質が変わるということが、分かってなかった。油絵だけでなく、時には水彩にもなり、時にはスケッチのような鉛筆画にもなるわけです。若い頃はそこに気付きませんから、余計に自分の中での衝撃が大きいわけですよ。まったく面白さが分からなかった楽器に、こんな面白い使い方があったんだというショック。アナログ・シンセとの出会いも衝撃的でしたね。こんな単音しか出せないシンセを、どうやって使うんだ? って(笑)。音の作り方も分からなかったし、どこがこの楽器の魅力なのかさえ、分かりませんでしたから。

─ 楽器以外にも、アナログ・テープの時代から、デジタル・テープ、ハード・ディスクとレコーディング機材の変遷も体験されてきた中で、レコーディング・システムの変化によって曲作りの発想や生まれてくるメロディも変化するのですか?

M:当然、それはありますよね。レコーディングを、絵を1枚描く作業に置き換えてみると、楽器っていうのは、まず何よりも最初に手に取るもの。筆や絵具です。だから、描こうとするそのものに、直接大きな影響を与えますよね。それから、その先に出てくるエンジニアリング的なもの、マイクやレコーダーなどは、描いた絵を額縁に入れるフィニッシングの作業になるわけで、最終的な作品の見え方に変化を与えます。ですからレコーディングの世界では、どんな細かい物でもそれは必ず音にフィードバックされてしまいます。機材から出てくる音は、すなわち、食材と一緒で、それでゴールが見えてしまうといっても過言ではないんです。

─ そういう意味でも、V-Pianoは「新しい楽器」としての可能性を活かした使い方をした方が面白そうだと、松任谷さんはお感じになっているわけですね。

M:V-Pianoこそ、そういうタイプの楽器だと僕は捉えています。個人的には、さらにダイナミクスを広げてもいい気がします。つまり、アコースティック・ピアノに近づける方向性ではなく、よりオリジナルなピアノとしての可能性を追求するということです。そうすれば、V-Pianoを使うことの優位性が、もっともっと大きくなるでしょうね。その点に関しては、やっぱり海外ミュージシャンの方が、先に面白がっていろんな使い方をするんじゃないでしょうか。海外で先に評価されて、それが日本に逆輸入されてくるようなことも起こりえると思いますね。

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VP-770

ピアノ・コンポーネント・ベースの新音源を搭載した新たなる"V"、V-Piano

歴史的な「Vintage」と先進的な「Vanguard」という2つのピアノ・モデルを持ち、演奏者自身が調律や整音が行えるという自由な発想の音作りが楽しめる新時代のピアノが誕生。

Profile

松任谷正隆さんのプロフィール、および最新情報は、mnavi Interviewページをご覧ください。