アイデア次第で、いくらでも面白いことが
できる可能性を秘めている
─ 改めてお伺いしますが、TD-20KX-Sを試奏した感想は、いかがでしたか?
N:想像していたよりも、遥かにドラムとしてのクオリティが上がっていると思いました。このクオリティなら、実際にライブで使ってみたらどうなるのかなって、興味が湧きますね。タイミングを見て、今のドラム・セットに組み込んでみたいです。これでいけるとなれば、バンドにとっても相当な戦力になると思います。
─ 「ドラム」としてはもちろんですが、パーカッションの音色を演奏したり、エフェクティブなサウンドを鳴らしたりと、ドラムの概念を超えたプレイもできますからね。
N:もはや、「V-Drums」という1つの新しい楽器ですよね。いろいろと面白いことができそうな予感がします。
─ 具体的に、何かアイデアはありますか?
N:もう、実際にやっている方もいらっしゃると思いますけど、ライブで曲ごとにキットを変えたり、サビだけスネアの音色を変えたりといったことは、アコースティック・ドラムでは絶対に不可能なことですからね。スネア1台変えるだけでも、ステージではマイクを立て直したりだとか、現実的には無理な話ですから。もちろん、スネアのパッドでスネア以外の音色を鳴らしてもいいわけですしね。

─ スタイルとしては"ドラム・セット"となっていますが、各パッドへの音色の割り当て方は、まったく自由ですから。
N:先ほども、カホンの音色をドラム・スタイルで叩いてみましたが(プリセット・キット「No.8 Cajon」)、そういうプレイも面白いですよね。確実に、カホンを手で叩くよりも高速のフレーズが演奏できるし(笑)。アイデア次第で、いくらでも面白いことができる可能性を秘めていると思いますよ。V-Drumsが、新しいドラムのスタイルを生み出していくんじゃないでしょうか。
─ それでは最後に、V-Drumsでドラムを楽しんでいるアマチュア・ミュージシャンに、楽器上達のためのアドバイスをお願いします。
N:難しいなぁ……。確実に言えることは「基礎練習をしっかりやっておいた方がいいよ」ということぐらいですかね。その人によって目的が違うから、広くと全員に向けてアドバイスというのは、難しいんですよ。下手なことも言えないですし(笑)。例えば、よく「速く叩けるようになりたい」という質問があったりしますが、「何で速く叩きたいの?」と聞き返すと、理由を答えられない人が意外に多いんですよ。何となく「速く叩けるとカッコいいから」とかね。そうじゃなくて「バンドでこういうBPMの曲をやりたい、それをちゃんと表現したい」っていう理由があれば、じゃあこういう練習がいいと思うって、アドバイスできるんです。つまり、目的が明確であれば、こちらとしてもアドバイスしやすいわけですよ。
─ 趣味で音楽を楽しんでいる人と、プロを目指す人では、アドバイスの内容も変わってくるわけですね。
N:そうです。趣味でドラムを楽しんでいるなら、こういう考え方で練習に取り組めばもっと楽しくなるよって言えますし、プロ志望の人には、プロってどういうものなのかを伝える必要がありますし。そもそも、「プロ」ってひとことで言っても、バンドマンになりたいのか、スタジオ・ミュージシャンになりたいのかで、求められるスキルはまったく変わってきますから。でも、僕も高校時代は、その違いすら分かっていませんでしたからね。
─ その違いを明確に理解できたのは、いつ頃でしたか?
N:専門学校時代ですね。当然ですが、講師のみなさんは、いわゆるスタジオ・ミュージシャンの方が多いんですよ。それで「みんな何でも叩けて上手すぎる。僕はそんな叩けないし、スタジオ・ミュージシャンには向いてないかもしれない」って感じました。僕は当時、シャッフルがまったく叩けなかったんですけど、叩けなきゃダメだって危機意識もなく、講師の方からも「お前は、そういうものは叩けなくていい」って言われたりして。「ああ、そういうもんなんだ」って思いましたね。
─ 講師の方も、ピエール中野さんのタイプを見抜いていらしたんですね。
N:そうだと思いますよ。だって一度「ドラム講師をやってみたい」って言ったら、怒られましたもん(笑)。「何言ってんだ。お前はそんなことをやってる場合じゃないだろ」って。僕が、そうゆうタイプでないということが、先生には分かっていたんでしょうね。だから中高生くらいの方なら、自分のタイプが分からなくても、自分が好きなドラマー、自分がこういう風になりたいと思うミュージシャンをハッキリさせておくといいでしょう。目指す方向が明確にすることで、どうしていけばいいのかが、見えてくると思います。





