生楽器の"本当の音"を知っている人ほど、
Fantom-Gの"本当のすごさ"が分かるはず
─ アルバム『THE 金鶴』のレコーディングでは、まずはFantom-Gのプリセットから音色を選んで、そこからエディットをしていく音作りのスタイルだったのですか?
M:ある程度はサウンドのイメージを持って音色を選んで、音作りをしていきます。それでも、やはり偶然に面白い音色を発見して、それを使うということもありますね。そういう意味でも今回のアルバムは、ローランドの開発部署の方が作ってくれた音色を中心として制作を進めていったと言えます。それこそ、プリセットのリズムをそのまま使った曲もありますよ。
─ 「Scene~Ansel Rombert」のエレクトリック・ピアノの音は?
M:あの音色は、SuperNATURALエクスパンション・ボードARX-02"ELECTRIC PIANO"の「Suit Case」です。これを、オリジナルの音色を熟知している佐々木さんに、ピックアップの距離や、ビブラートの感じとかをエディットしてもらって、僕が弾きました。
S:「ここまでエディットできるのか」と驚くくらい、すごい音源ですよね。ビンテージのエレクトリック・ピアノも年代によって音色が微妙に違ったりしますが、それらのテイストまでもが緻密に再現できるので、逆に迷ってしまって(笑)。結果的には、僕が一番好きな音色を再現する方向で音作りをしました。
─ 「いとしの配偶者のテーマ」では、アコーディオンの音が印象的でした。
S:音域によって、定位が変わる音色ですよね? これはプリセットの音色(PRST0375:Vodkakordion)そのままです。このレコーディングのちょっと前に、実際にアコースティックのアコーディオンを使った仕事をしたんですが、その時と鳴り方が同じで、とても自然な印象を受けたんです。そこで特にエディットする必要も感じず、これはプリセットのままでいいかな、と。
C:佐々木さんは、生のオーケストラとか、小編成のアンサンブルの現場でたくさんお仕事をされているんです。ですから、三柴さんと私で室内楽的な編成の曲を作った時にも「本当のステージやホールでは、そういう音の鳴り方はしないよ」と注意してくださるんです。もちろん、本物のオーケストラではこういう風には聴こえないけれども、あえてマイクをたくさん立てて録音されたCDのような音にしたいからと、お願いすることもあります。ですから、その楽器編成を自然に聴こえさせたい場合でも、あえて聴こえ方を変えたい場合でも、本当の音の鳴り方を分かっている佐々木さんがいるっていうことは、私達にとってとても心強いんです。
─ 佐々木さんは、そういった"本当の音"は、これまでのキャリアで身に付けてこられたわけですか?
S:そうです。僕は、ホールの音響やレコーディングの仕事もやっていますからね。ホールによっても、ルーム・アコースティック(室内音響)はそれぞれ違いますし、オーケストラによっても、音の響き方が変わってくるんです。そこを知っているかどうかの差だと思うんですけどね。だから、Fantom-Gのような、生楽器のサウンドがすごくリアルなシンセを使っても、より生っぽく聴かせたいのであれば、その"本当の音"にとことんこだわることは大切だと思います。言い方を変えると、生楽器の"本当の音"が分かっている人ほど、Fantom-GやV-Stnth GTの"本当のすごさ"が分かるはずだと思います。
─ 最新デジタル・シンセのポテンシャルをフルに活かすためには、アコースティック楽器の"本当の音"を知っておくことが、より重要になってくるわけですね。
S:ステージ上の楽器の配置によっても響きは変わってきますし、その並び方がそれぞれのオーケストラ・サウンドの特徴にもなります。そういった細かいこだわりも、Fantom-Gクラスのシーケンサーであれば、十分に再現可能ですよ。コントラバス隊は、この範囲の定位で、バイオリンはここだとか、そんな細かい部分まで作り込んでいけますから。





