Top > mnavi Works > Vol.32:ハヤシ&カヨ(POLYSICS)が語るシンセサイザーの魅力

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自分の想像を超えた新しい音楽を発見できる。
それが"シンセサイザー"の魅力

─ ギタリストであるハヤシさんと、小さい頃からピアノを習っていたキーボード・プレイヤーのカヨさんとで、シンセ・サウンドに求める役割や、音色をチョイスするポイントがそれぞれ違うように思うのですが、お2人が"シンセサイザー"という楽器に対して感じている魅力について、教えてください。

H:ボクが感じているシンセの魅力は、他の楽器では出せないようなクレイジーな音だったり、ピュンピュン鳴るような愛嬌のある音かな。シンセは、ギターでは表現できない新しくて面白い音を作り出せる機械だと思っています。ツマミを触ってシンセサイズしていくうちに、音色がどんどん変わっていって、そこで生まれた音色にインスパイアされて曲のイメージが変わっていくこともあるし、音楽そのものが生まれることもあります。たとえ、最初に作ろうとしていた音のイメージとはかけ離れていっても、それはそれで、また新たな発見がある。そうして作った音色やシーケンス・パターンから新しいアイデアが生まれたり、自分の想像を超えた新しい音楽を発見できるということが、シンセの魅力ですね。予定調和では生まれてこない、音楽の面白さ。あとは、楽譜では表現できないモジュレーション感だったり、ポルタメントのニュアンスだとかに、ボクはすごく面白味を感じています。音色だけでなく、そこで曲の個性を生み出すこともできるわけですから。ボクは、ずっとそういう感覚でシンセをいじってますね。もちろん、クラフトワークやOMDのファットなアナログ・シンセ・サウンドだったり、ヒューマン・リーグのリズム・マシンの音は完全に自分のルーツではありますけど、それ以上に、「今まで聴いたことのない面白い音」の方が、断然ワクワクするんです。ボクはゲームをやらないので、シンセでゲーム的な音を出そうという発想は、元々なかったですね。

─ カヨさんは、いかがですか?

K:同じ鍵盤楽器でも、やっぱりピアノとシンセってまったくの別物だと思っています。ですから、今、ハヤシくんが話した「ギター」を「ピアノ」に置き換えた感覚と、ほとんど同じですね。ピアノの響きはとてもきれいですけど、当然ひとつの音色しか鳴らせないわけで、ひとつの"色"しか表現できないじゃないですか。ですから、POLYSICSに入って最初にシンセを触った時は、とにかくいろんな音が出せることが面白くて、ピアノとかストリングスのようなスタンダードな音色は一切使わずに、「ギャンギャン」とか「ギーギー」っていう感じの、耳に痛い音ばかりを鳴らして楽しんでましたね(笑)。

H:それまでの反動だよね。カヨ版"積み木くずし"(一同爆笑)。

K:(笑)。だって、せっかくいろんな音を鳴らせるシンセを使ってるんだから、普通の音じゃつまらなくて(笑)。ピアノやオルガン、ストリングスといった音色もいいなと思い始めたのは、本当に最近のことなんです。

─ ベスト・アルバム『BESTOISU!!!!』には、そういったお2人の感性によって生み出されたシンセ・サウンドが満載ですよね。しかもそれらのサウンドが、SH-201(注:mnavi Interviewを参照)やJUNO-Gといった、アマチュアでも手にできる機材が核となって作り出されているという点は、読者の励みになると思います。

H:そうですよ! 使っているシンセは、ボクらもアマチュアのみなさんも一緒です。POLYSICSの音楽を聴いて「このシンセでこんな音が作れるんだ」って思ってくれて、みんなで一緒にいい音楽を作っていけるといいなと思っています。

K:今回のベスト・アルバムは、シンセに興味を持っている人には、ぜひとも聴いて欲しいですね。いろんなジャンルの曲が入っていて、たとえば、普通はシンセを入れないようなタイプの曲でも、そこにシンセの音色が入ることで、まったく違う世界観を生み出せるという面白さも感じてもらえると思います。その中から「自分はこういうタイプの曲が好きだ」という方向性を見つけてもらえれば嬉しいですし、さらに自分でシンセを演奏してみたら、また違う楽しさも見つけられると思います。

H:シンセ・ファンなら、カヨが弾くキーボード・プレイと、ボクのシンセ・プログラミングとの違いにも耳を傾けてみて欲しいですね。ボクはシンセのプログラミングで自分の個性を出しているし、カヨはプレイヤーとして演奏で個性を出している。その差というのも、すごく面白いと思いますよ。

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