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Vol.48:コンピューター・ミュージック講師・近藤隆史が教育者の視点でGAIA SYNTHESIZER SOUND DESIGNER SD-SH01をチェック

パソコンで音楽を作ることだけではなく、いろんな知識と経験を得ることで、 自分の才能を広げていけるということを教えたい

─ 実に多彩な経歴を持ち、多方面でご活動をされている近藤さんですが、どのような経緯で音楽制作を始められたのですか?

近藤:元々、私はトロンボーンで東京音楽大学に進んで、室内楽のコンクールに出るなど、クラシック音楽を学んでいたんです。そこからジャズ・バンドもやるようになって、新宿コマ劇場では、オケ・ピットに入ってミュージカルの演奏もやったりしていたんです。それと並行して音楽制作にも興味を持ち始めて、その流れで一時期はDAWソフトウェアの開発やサポート的な仕事も行っていました。ですから、最初はマイクを立ててもらって演奏する立場だったのが、いつの間にか「こういうマイキングの方がいい音で録れる」というように、反対の立場に変わっていった感じです(笑)。ですから、簡単に自分の経歴を紹介するのがなかなか難しいんですが、プレイヤー・サイドのことも分かっていて、なおかつDAWソフトウェアを使った音楽制作も行える、しかも企業で社会人として働いた経験もある。このような経歴で得たことは、大学での講義内容に反映していますし、そこが自分の持ち味だと思っています。

─ 現在は、東京音楽大学と文教大学でコンピューター・ミュージック関係の講義を受け持たれているそうですが、具体的には、どのようなことを教えているのですか?

近藤:東京音楽大学では、音楽教育専攻の学生さんに授業を行っています。当然ながら、音楽に関してはものすごく勉強してきた人ばかりで、しかも各自が専門の楽器をやっていて、なおかつ教育者を目指しているという学生さんです。そういう中での音楽教育の一環として、コンピューター・ミュージックを教えているんです。もちろん、コンピューターで音楽を制作することやシンセサイザーを学ぶことが目的ではありませんが、指導者や社会人になった時に、パソコンやデジタル機器を使うことで、どういう風に自分を表現できるのか、どうやって自分の伝えたいことや音楽性を発信していけばいいのかということを教えています。一方の文教大学では情報学部で教えているので、学生さんは音楽を学びに来ているわけではないんですね。でも、デバイスやその扱いにすごく興味を持っている。そこで、パソコンを使っていかに音楽を処理できるかという、情報処理の中の1つとしてコンピューター・ミュージックやシンセサイザーを教えています。ですから、2つの大学でのスタンスは大きく違いますが、教育の根本的な部分ではつながっていると考えています。

─ そういった、ある意味でコンピューター・ミュージックが専門ではない学生さんたちは、シンセサイザーでの音作りにどのような反応を示しますか?

近藤:今の若い方は、"シンセサイズ"自体は経験的に知っているんですよ。日常的に、シンセの音は聴いている。ただ、自分で体験したことがないわけです。だから、例えばフィルターをいじって"ギュイーン"と鳴らすだけでも、みんな目を輝かせますね。「面白い!」って。私としては、そういったシンセサイザーの面白さ、スゴさを感じてもらうきっかけを作っているという感覚で授業を行っています。

─ 特に文教大学の学生さんは、そもそも音楽自体に興味がない可能性もあるわけですよね。

近藤:そうなんです。「久しぶりに音符を見た」という学生さんもいれば、高校時代に軽音部や吹奏楽部で音楽をやってた人、そして今DJをやっているという人まで、本当にさまざまです。意外だったのは、演劇をやっていて、そこで音響を担当した経験からもう少しオーディオ編集を学びたいといった学生さんもいました。ナレーションをやってる学生さんからは「ディエッサーって何ですか?」って質問されたり。そういった広い意味で、音楽制作の裾野はとても広がっているんだなと感じています。

その一方で、音楽大学でクラシック楽器を専門に学ぶ場では、「コンピューター・ミュージックやシンセサイザーの知識が必要なのか?」と疑問に思う学生さんもいるかもしれません。でも実際には卒業後、演奏さえ上手ければいいという人は、世界トップ・レベルのごく一握りの人たちだけじゃないですか。大学を卒業して社会に出れば、「音大出身なら、地元のミニ・コンサートで演奏して欲しい」とか「高齢者施設でレクチャーしてくれないか」といった依頼も少なくないと思うんですよ。その時に、いくらピアノやバイオリンが上手く弾けても、ミキサーも触れないしPAも分からないというのでは、結局は、自分をアピールできなくなってしまいます。もちろん、専門家になる必要はありませんが、基本的な音響機器の知識を持つことで、より自分の音楽性を表現できるわけです。

─ 逆に言えば、それができないことで、表現の幅を狭めてしまうわけですね。

近藤:そうです。それは、すごくもったいない。音楽大学の学生さんにとって、シンセサイザーの音作りは、一生のうちで必要になることはないかもしれません。でも、シンセサイズの原理を覚えて、自分の好きな音色を知って、自分の思う通りに音色を作れるようになるというプロセスを知るということは、社会に出た時に大切な経験になるんです。ですから私は、ただ単に「パソコンで音楽を作る」ということを教えているのではなくて、専門分野の知識や技術とあわせて、いろんな知識と経験も得ることで、自分の才能をより広げていくことができるということを教えたいと考えています。

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Profile

近藤隆史

文教大学・情報学部、東京音楽大学・音楽教育専攻、非常勤講師。東京音楽大学でトロンボーンを学び、室内楽やミュージカル、ダンス・バンド、ジャズ、ロックの演奏活動と並行して、多数の音楽ソフトウェアやハードウェアの企画・開発・サポートといった音楽制作関連の業務に携わる。その一方で、CD制作やインターネットでの音源公開、ライブ活動も積極的に行い、最近では近藤花#4「ミラー/わたしはドレミ」の制作にも全般的に参加。鍵盤ハーモニカやリコーダーなど教育用楽器を取り入れた楽曲を制作。このような多様な経歴を教育に活かすべくカリキュラムを構築し、大学では学生が社会に羽ばたく助けになるような講義を行っている。